19 《magician side》

 通し練習が終わって、休憩且つダンスの反省を[魔法使い]のみんなでしていたら、北島君が輪の中に顔を出してきた。開口一番、「お疲れ様。ダンス、また上手くなってましたね」と言ってくれた。頑張ってきたことを褒めてもらえるのは、悪い気分じゃない。


「でですね、もっと笑顔でハッピーに踊ってもらえると、もっといいんだ。どう、できる?」


 まあ、そうだよね。だってあたしら、[魔法使い]だもんね。そう思っていたら、[魔法使い]の仲間が笑って言った。


「そうは言うけどさー、結構キツイんだよね、このダンス」

「そうそう、この衣装で体動かすので精一杯」

「北島は全然ダンスないからいいよなー」


 最後の言葉を、誰が言ったのかは覚えていない。[魔法使い]じゃなかったような気もする。あたしはその時、北島君の表情が引きつるのを見逃さなかった。

 言葉を一瞬失っていた北島君の肩を、ポンと叩く人がいた。


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