あとがき

 長い間お付き合いいただきありがとうございました。
 着想は2012年、連載開始は2014年4月、脱稿は2016年9月。そして2016年11月、遂に完結です。
 いやほんと長い。大学時代の執筆生活はほとんどこいつにかかりきりと言っても過言ではない。


 個人的には"過去の自分との決別"という意味合いを込めて”等身大”というテーマを据えてこの作品を書き始めました。作品中で登場人物を死に至らせるのは初めてのことで、自分の貫いてきたポリシーを曲げるのも嫌だったので、結末だけどうしても悩みました。 (人が死ぬお話は、苦手なのです)
 でも、だからこそそうすることが自分として一番の決別の形になると思い、選択しました。
 作品最後にもあるように、作品全体が越路謙太の遺書になっているという体裁は、現実を夢と捉えようとして奮闘する登場人物のあがきを、うまく表現し、かつこの長いお話を締めくくるために据えました。


 全体を通して生きるとか人を好きになるとか、そういったことがものすごくまどろっこしく描かれていると思います。私の作品の大体がそうだと言ってしまえばそれまでなんですが……。
 この作品を執筆する数年間、自分が小説を書く意味を今一度振り返りました。生きる意味とか人を好きになる理由とか、そんなことがわかってしまっているのなら何も悩むことはないのです。生きたいと思って生きて、愛したいと思って誰かを愛せればそれで何も問題はない。
 でも、そんな単純明快なことを書くことに、私は意味を見いだせない。
 なぜ、好きでも愛せない人がいるのか、死にたいのに生きている人がいるのか、生きたいのに死にたがる人がいるのか、私には”説明"できない。
 わからないこと、少なくとも昔の自分がわからないと思っていたことを書こうとすることに意味があると思って書いています。だから「AとはBということである」と言い切ることなんてできないし、どう言えばいいかわからないからとりあえず物語という体裁を借りて語ろうとする。説明ではない。答えでもない。じゃあなんだと問われると、やっぱりそれもうまく言えない。
 でも私にとって小説とはそういう手段であり、それを踏まえた上でこの作品は”(過去の)自分"であり”等身大”です。


 思い入れのある作品なので、webだけでなく何かの機会に冊子にできたらいいなと考えています。でもどう考えても加筆修正が必要なのでまだ先の話です。
 こんな作品はもうかけないんじゃないかという不安が今後は付きまといますが、まあそれはそれで、大学時代のいい思い出かなということにできます笑
 次回作、かけたらまたご報告します。
 それでは読者の皆様、特に感想をくださったり作品のファンだと言ってくださった皆様、ありがとうございました。
 読後の感想など頂けると、次回作の参考・励みになるので、Mail/Twitter/個人サイト等いつでもどこでもお待ちしております。


 2016.11.26
 灯火野


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