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『あ。赤也くん、ごめんね。今日は日直だったから』
「は、はははいっ!!!」
ガッチガチに緊張した俺の前に、名前さんは小走りでやってきた
…うん、間違いなくぶつかったあの人だ
『じゃ、えっと…用事は何、かな?』
「っ………」
丸井先輩の計らいで、見事に名前さんのアドレスをゲットした俺
先輩にはやし立てられ、無理矢理待ち合わせをしたわけだけど…
「と、特に用事とか決めてねぇ…!!」
『え?』
「あ゛…いや、あ…そうだっこの前はすんませんでしたっ!!!」
『この前…ああ、ぶつかったやつか。いいよ、気にしないで』
とりあえず、この前の件を改めて謝罪しておく
すげぇ今更な気もするけど、名前さんが律儀だねと褒めてくれたからよしとしよう
「今度から気を付けますっ!!」
『うんっ!』
「あと…汗くさくなかったかなぁ、とか…朝練のあとだったし」
『え…ううん、気にならなかったよ。朝練かぁ…赤也くんはやっぱり偉いね!』
「っ!!!!!」
ほ、褒められたっ!!!
ニッコリ笑った名前さんが、俺を偉いと言ってくれた
いや朝練なんて当たり前。そう答えたら、それでも偉いんだってさ
『幸村くんも言ってたよ。赤也くんもヤル気満々だって』
「そりゃ…三連覇がかかって…」
『うんっ!!だから、その責任感が偉い!さすがレギュラーさんだね』
「…………」
なんか知らないけど、幸村部長ありがとうございましたっ!!!
名前さんになに言ってくれたんスか。彼女の中で俺はかなりいい感じらしい。きたよコレ
「へへっ…俺なんかまだまだッスから!」
『謙遜しないで赤也くん…あ、私、そろそろ行かなきゃ』
「ええっ!!!?」
『ちょっと帰りにノート買いにいくの。遅くなる前にね』
じゃあね赤也くんと手を振る名前さん。俺も振り返す…ってダメじゃんっ!!!
せっかく仲良くなれそうなのに…!!そう思った俺は次の瞬間、彼女の手をギュッと握っていた
『え…』
「っ…お…」
『お…?』
「俺も、行きます…!」
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