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立海大付属中学校の文化祭、「海原祭」を約一ヶ月後に控えた今日。
私たちテニス部は演劇を出し物にし、それの準備を少しずつ始めている最中だった。

私とブン太、ジャッカルと赤也の四人で演劇に使うための道具などを買いに街に来ている。




『えーっと、大体の小道具は演劇部から借りるとして…。足りない物で使えそうな物は、っと…』

「これなんか良いんじゃないか?」

『あ、良いかも。ジャッカル、ナイス!』


100均で使えそうな物をジャッカルと吟味しながら籠に入れていく。


『やっぱりブン太や赤也じゃなくてジャッカルと来て正確!あの二人だとお菓子やネタグッズに夢中で買い出しどころじゃなくなっちゃうもん』

「あー…、容易に想像がつくな」


ジャッカルは真面目だから安心安心。

その代わり、ブン太には衣裳関係を、赤也には文房具屋さん関係の買い出しをお願いした。


私たちはお会計を済まして、待ち合わせ場所の駅広場のベンチへと向かう。





『あ、ブン太!お願いした物ちゃんと買ってきてくれた?』

「おう!俺の天才的センスで買ってきてやったぜぃ」

「どれどれ…。布だろ、糸だろ、裁縫セットだろ……買い忘れはなさそうだな」

『うん、この布の柄可愛いっ。やるじゃん、ブン太』


ブン太が買ってきた袋の中の大きめの赤い花柄の布を見ながら言う。


「天才的だろぃ?」

『うん、天才天才』

「もっと心込めて言えっつーの!」




…さて、後は赤也が帰ってくるのを待つのみ。

すると向こうから「せんぱーい!」と言いながら大量の紙袋を抱えて走ってくる赤也の姿が。




「先輩っ、お待たせッス!」

「おっせーぞ、赤也!どこまで買い物行ってたんだよぃ」

「すんませんっ、いろいろ迷っちゃって」

『うわ、凄い荷物…』

「おいおい…」

「お前に頼んだのって、模造紙とペンだけだろぃ?なのになんだよ、その紙袋の山は?」

「いや、それがッスね?文房具屋に行ったら模造紙が売り切れてたんスよ」


だから折り紙セットをたくさん買ってきた、と言う赤也に私たちは一瞬目が点になる。

え、模造紙の代わりが折り紙?
嫌な予感しかしない…。



「くっつければ模造紙の代わりになるっしょ!?」

『……やっぱり』

「はぁ…、お前なぁ」

『あのね、赤也。模造紙は背景を描くために必要なの。折り紙をくっつけたら背景を描けないでしょ?』

「え、なんで?」

「そんなカラフルな背景があるか!」


ジャッカルの鋭いツッコミが炸裂する。



『もう…。…ん?ブン太どうしたの?』

「いや、マジックペンの代わりにクレヨンが入ってっけど…」

『クレヨン?』

「あぁ、いやね、クレヨンで描く方が楽しそうかなーと思って!」

『……』

「楽しそうって、……お前は幼稚園生か!あぁ、頭痛がしてきた…」

『赤也…』


ちょっとお馬鹿な子だとは思ってたけど、ここまで馬鹿だったなんて…。
呆れて何も言えなくなった。




  

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