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「まぁまぁ!買い出しは俺たちの方でやろうぜぃ」


ブン太がそんなこと言うの珍しい!

と思ったら、紙袋の中からさっき買ってきた布を広げて見せてニヤリと笑う。



「代わりに、赤也には海原祭で頑張ってもらえばいいからさっ」

「…ええっ!?劇の配役、もう決めたんスか!?」

『……あ、』



その言葉に、私は先日みんなと話していた内容を思い出した。

そういえば、まだ赤也には言ってないんだった。
精市のことだから、面白がって劇の練習ギリギリまで言わないんだろうなぁ。
なんてドS…。

実はジャッカルの次に可哀相なポジションって、赤也なのかもしれない。


……って、あれ?あそこにいるのって…。





「えっ、嘘ッスよね!?」

「さーて、どうかなぁ〜?」

「え、あ…いやっ、俺そういうの絶対着ないッスからね!!」


ジリジリと後ずさる赤也。




『あ、赤也!後ろ危ないっ』

「え?………っわぁ!?」


後ろを歩いていた人にドンッとぶつかって、その人が持っていた荷物が地面に落ちた。



「いててっ、…す、すんません!」

『ごめんなさい!大丈夫ですか、………あっ、やっぱり河村くんだ!』

「えっ?あ、君たちは立海の…」



さっき駅から出てきたの、やっぱり青学の河村くんだったんだ。
やけに見たことある人だなぁって思ったんだよね。




『あ、マネージャーの中津川です』

「俺が丸井でこっちがジャッカル。そんで、コイツが切原!」


ポンッとブン太が赤也の頭に手を置く。
罰が悪そうな赤也は、地面に落ちているピンクのうさぎのぬいぐるみを拾った。



「これ、アンタのッスか?」

「あ、うん。ありが、………」



赤也が河村くんにぬいぐるみを手渡そうとすると、どこからやって来たのかわからないが大きな犬が向こうから走ってきた。



――ワンワンッ!



大きな犬は赤也に飛び付き、その拍子に持っていたぬいぐるみを落としてしまった。




『大丈夫!?赤也っ』

「な、なんだよこの犬!?」




――ワンッ!


「あっ、俺のぬいぐるみ!」


あっという間に犬は河村くんのぬいぐるみをくわえて、また走っていってしまう。



「あ!赤也行けっ、早く追い掛けろぃ!」

「ラ、ラジャー!」

『あっ、待って!』

「おい、荷物忘れて……ったく、なんで俺が持っていかなくちゃいけないんだ。…おい、待てって!」



盗られたぬいぐるみを取り返すべく、私たちは犬が走っていった後を追い掛けた。


な、なんでこんなことにっ…。





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