大好きな幼なじみとその仲間達








私が到着して少し経ってから、休憩タイムに入って。

ブンちゃんは私の所に駆け寄ってきてくれた。




「よく来たな、未央」

『だって昨日ブンちゃんと約束したもん』

「えらいえらい。…ん?なんだよぃ、走ってきたのか?」

『なんでわかるの?』

「前髪、おでこに張り付いてる」

『えっ!?』


ケラケラと笑うブンちゃんに、私は慌てて前髪を直す。



目の前でぷくぅとガムを膨らます赤い頭の男の子は丸井ブン太。
通称ブンちゃん。
私より一つ年上の大好きな自慢の幼なじみ。

ブンちゃんは今年の春、テニスで有名なこの立海大付属中学校に入学した。
もちろんテニス部。


立海テニス部はこの夏、全国優勝を成し遂げた。
それの最も立役者となったのは……。






「やぁ、今日も元気いっぱいだね。未央」

「うむ。健康な証拠だ」

「未央が今日もここに来る確率100%」

『幸村さん、真田さん、柳さん!』



彼らはブンちゃんと同じテニス部一年生の幸村精市さん、真田弦一郎さん、柳蓮二さん。

三人は一年生ながらにしてレギュラーを勝ち取り、その勝利に大きく貢献した。
天才的ぃ、が口癖のブンちゃんもあの三人には頭が上がらないらしい。



それにしても、確率100%って…昨日私とブンちゃんが話してるの柳さんも隣で聞いてたんだからわかってて当たり前じゃ…。

なんて思ったことは心の中だけに留めておこう。

思ったことを何でもすぐに言っちゃうのは良くない、みたいなことをこの間テレビで言っていたのを思い出した。






「なんだ、未央またブン太のこと観に来たのか?」

「ご苦労なことじゃのぅ」

「本当に丸井くんが好きなんですね」

『ジャッカルさんに仁王さん、柳生さんも!』




ブンちゃん達と話していると次々に集まってきた彼らは、ジャッカル桑原さん、仁王雅治さん、柳生比呂士さん。

みんなブンちゃんのチームメイトだ。
そして、こうしてブンちゃんの応援に来ているうちに知り合いになり今では妹のように可愛がってくれている。(…はず)


「あ、そうだ!母さんが今日帰りにうちん家寄ってけってだってさ」

『え、なんで?』

「夕飯、お前ん家と一緒に食べるんだってよぃ」

『やった!』


ブンちゃんママのご飯いつも美味しいから、こうやって私の家と合同の夕飯は密かに楽しみなんだよね!



そんな会話をしていると、コートの方から休憩タイム終了の声が掛かった。


『ブンちゃんもみんなも頑張ってくださいね!』

「ふふっ、ありがとう」

「んじゃ、練習終わるまでそこで大人しく待ってろぃ!」



ラケットを持ち直してコートへと戻っていくブンちゃん達の後ろ姿を見送る中、右からボソリと誰かが呟く声が聞こえた気がして。
声が聞こえた方に視線を向ける。




「あの子、小学生のくせに幸村くん達と仲良いなんて…」

「なんか生意気〜」




『……』


二人の女の人をじぃっと見つめる。





「やばっ、聞こえてたんじゃない?」

「な…何よ、何か文句でもあるの?」

『……私、来年は絶対ここに入学するって決めてるんです』

「は、はぁ?」

『お姉さん達みたいに、その制服可愛く着こなしてみたいなぁって思って…。あっ、ジロジロ見ちゃってごめんなさい』

「…あ、ううん。大丈夫だけど、」

『そうだ!応援してると喉痛めちゃうから………はいっ!』



巾着袋から飴を二個取り出してお姉さん達の手の平に乗せる。


「え、飴…?」

『これ舐めて応援頑張りましょうねっ』



何故かポカーンとしているお姉さん達を疑問に思いながら、私はコートに視線を戻した。






『ブンちゃーん!頑張れーっ!』


またまた大きな声で叫ぶと、「もう少し静かに応援せんか!」と真田さんに注意された…。

それを見て笑っているブンちゃんに、大好きだけど若干腹が立った。


『真田さんの声の方が大きいのに…』







「…あの子、結構良い子だけど…」

「ちょっと変わってるかも…」



そんな会話が右の方で行われているとは、全く知る由もなかった。







  


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