これが私の日常








「あれっ、未央また行くの?」

「昨日も行ったのに」

『美月、葉月!うんっ、今日も行くって約束したんだー。二人も一緒に行く?』

「…暑いからやめておく」

「葉月は暑さに弱いもんねー。ごめんね未央、実は私たち今日お母さんと買い物に行く約束してるんだ」

『そっかぁ。ううん、大丈夫!』

「行く時はちゃんと車に気をつけてね。あと変なおじさんに着いて行っちゃだめだよ!」

『さすがに6年生にもなって着いて行かないよ…』



心配性な美月と暑そうにしている葉月と名残惜しげに別れて。

私はランドセルを背負って教室を飛び出した。




目的地まではバスで15分。
早く行きたいが故にバス停までの距離も自然と駆け足になる。

バス停が見えてきたかと思えば、ちょうどバスが停留所に到着した所だった。





『あっ、待って!待ってくださーい!乗りまーすっ』


ギリギリセーフで滑り込むと、バスの運転手さんに「今日も元気だね」と笑いかけられた。
よくこのバスを利用するから運転手さんとはすっかり顔なじみ。



『はぁっ、…葉月の言う通り、今日も暑いなぁ』


今は9月。
まだまだ夏の暑さが残る季節だ。

席に座って汗を拭い、ランドセルの中から巾着袋を取り出す。
中にはいろいろな種類の飴が入っていて、私はくじ引きのようにゴソゴソと中を掻き混ぜてから一個取り出した。



『あ、今日は青りんご味だ』


馴染みのある香りが口の中いっぱいに広がり、舌で転がしながら窓から外の景色を見つめていた。



早く着かないかなぁ…。





バスから降りて、私は真っすぐに目的地へと走る。
何度も来ているから迷うこともない。

そこに近付くにつれ、パコーンッと気持ちの良いボールが当たる音が聞こえてくる。




『はぁっ…はっ、…』


たくさんの中学生のお姉さん達の邪魔にならないよう、出来るだけ空いているフェンスから辺りを見渡す。

すると、探していた目的の赤い頭を発見。


……いたっ!!








『…ブンちゃーーーん!!』




大声を出した私に周りの視線が一気にこちらに向く。


大きく手を振る私に、ブンちゃんは太陽よりも眩しい笑顔で同じように大きく手を振ってくれた。








  


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -