「……嘘、ダロ」


掠れた声の呟きは、沖田にしっかりと届いてしまう。訝しげに眉を顰めた沖田は、半ば強引に神楽の顔を正面へと引き戻す。


「信用出来ねェの?」
「自分のことゴリラ呼ばわりの男の告白なんて本気に出来る訳無いネ」


顔を合わせれば罵声が飛び交い、すぐさま得物を手に喧嘩を始める。そんな相手が自分を好きだなどと、誰が考えようか。


「あれは……」


“好きだから余計に虐めたくなる”。そんな子供じみた意識を吐露出来る筈も無く、突き刺さる冷たい視線に頭を掻く。


「ホラ。言い訳も出て来ないんダロ」
「るせー……。男に恥ずかしいこと言わそうとすんじゃねぇよ」


ぎゅう。と強過ぎる程の力で神楽を抱き締め、沖田は額、頬、鼻、とにかく神楽の顔じゅうに口付けた。言葉が駄目ならせめて態度で。そんな開き直りにも見える行動に神楽は苦笑する。


「……仕方無いアルな」
「何がだよコノヤロー」


すっかりいじけてしまった沖田の頭を抱き込み、神楽は小さく言葉を紡いだ。



「もっかい“スキ”って言ってみろヨ、ヘタレが」










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