初恋 (1/8)











他人に然程興味は持たない。



沖田にとっての絶対は近藤で、気に食わないのは土方で、亡き姉は永遠に大切の最上位。沖田の意識に存在するのはそのくらいで、沖田にはそれで十分だった。



──うっわクソサド。

消えろヨドS。

喧嘩売ってんのカ?このサディストが。



「……また、かィ」



自他共に認める犬猿の仲だった筈のあの少女が自分の脳内を支配し始めたことに気付いたとき、沖田は愕然とした。

口は悪いしゲロは平気で吐くし、何より、戦闘において自分と対等に渡り合う。


生意気なガキ。


ただそれだけの認識だった筈なのだ。それがどうだ。その“ガキ”は今や自分の中で“女”になっていた。思えば、飛び出る罵倒とは裏腹に湧き上がるのは確かに恋慕の情、それであった。



「知らねえフリも限界、ってか……」



自嘲気味に呟き、沖田はアイマスクを装着する。馴染んだ公園のベンチの上、彼女が現れるのを待つ自分が酷く滑稽に思えた。








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