一瞬きょとんとデカい目をぱちくりさせていたが、「早く」と急かせば馬鹿正直に近寄ってくる。寒さに小さく震える手を引くと、なんとも簡単に腕の中へと収まった。 「……ふぁ、な、何するアル」 「何って……、寒いっつうから」 胡坐を跨がせ、腰を引き寄せる。密着した身体はまだ冷たくて、微かな潮の匂いがした。 「……濡れちゃう、ヨ?」 「平気でィ、これぐらい」 直に触れる肌は、驚く程柔らかい。張り付く髪を指で除け肩口に顔を埋めれば、小さな肢体はぴくんと揺れる。 「ッ擽ったいアル」 「海を楽しんでるんでさァ」 「バカダロ……」 チャイナは呆れたように言うも、俺のシャツをきゅっと掴んで離れようとしない。ツンデレ万歳だ。 「……オマエ、体温低いアル。大してあったかくないヨ」 「そうかい?なら……」 身体のラインをなぞる指に身を捩るチャイナ。動けば動く程俺が良い思いをしているということに、きっとコイツは気付いていない。 「っうあ……!?」 目の前の項に噛み付き、ねっとりと舌を這わせる。塩気を纏っている筈が、ほんのり甘い白い肌。 「暖まること、しましょうや」 チャイナの吐息が熱を帯び始めたのを感じ、ほくそ笑む。 ──兎は、手中に堕ちた。 → |