「日、大丈夫かィ?」
「……ウン」


問いかけに対して素直に頷くし、さりげなく繋いでみた手も振り払われることは無い。……今日のチャイナはやけに大人しくて、おかしな緊張を感じる。


「……海」
「ん?」


小さな声を聞き零さないように、そっと身を屈める。歩みを止めて、チャイナは俯きがちに話しだした。


「やっと来れたのに、やっぱり日が出てるときは動けなくて、何も出来なかったヨ。でも、今ならもう大丈夫だと思って」
「あァ」
「……オマエも、珍しく仕事してたみたいだし、海なんて楽しめてないダロ。だから……」
「……だから?」


沈みかけの太陽、消えた人影。チャイナはぱたんと傘を閉じて、上目に俺を見つめる。


「……一緒に、遊んでやるヨ」


素直になれないお嬢さんは、どうやら俺を気遣ってくれているらしい。この年じゃあもう海で遊びたいなんて思いやしないが、コイツからの誘いとあっちゃあ話は別。


「それはありがてぇ。よろしくお願いしまさァ」


不器用なコイツなりの優しさに、思わず顔が綻ぶ。成程、今日は俺もいつもの調子じゃないらしい。







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