11/12/02(金)
▼焦がれ


「おきたっ……」

息も切れ切れに訴え、蜂蜜色を押し返す。当然のように力は入らず、ただそれを押さえ込むような形にしかならなかった。

「なんでィ、もう限界?」
「っ!」

じゅる、と響く水音に羞恥心を煽られる。生温い感触は尚も神楽を責め立て、下肢の震えは激しくなる一方。口端からとろりと零れる輝きは、重力に従い顎から地へと垂れ落ちた。

「おき、っや……」

あまりにも突然だった。
引き摺り込まれた薄暗い路地裏。
目の前には、誰よりも嫌いで誰よりも自分を知る男。
──“恋人”という関係を強要されて数ヶ月。
拓かれた身体は意志に反して男の熱を狂うように求めてしまう。

「……気持ち良い?神楽」
「知らな、っん……」

妖しく輝く蘇芳に射ぬかれ、ささやかな抵抗も敵わず脱力した腕がぶらりと垂れ下がる。

「ああ、俺にゃあお構い無く。イきたいときにどーぞ」
「オマエがそうさせてくれないんダロ、っ……」

絶えず迫り来る刺激と快感、それはとても正気で居られるものではない。しかし、寸前の神楽を絶頂へと導く決定的なものを沖田は一向に与えてくれはしなかった。

「……まあねィ。仕置きがただ気持ち良いだけじゃ意味が無ぇ」
「しお、き……?」

神楽は残された理性にしがみつき、尚も続く波に呑まれぬよう必死に耐える。焦点の定まらない目を落とし熱い息を吐き出し続ける神楽は、思わぬ光景にそれを見開く。
苦しげに歪んだ沖田の表情に、じくりと胸が疼いた。

「いい加減旦那から卒業してくれや。もう我慢の限界でさァ」





挫折。
無理矢理な隊長が書きたかった。

 



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