逢瀬




夜。

鉱山での1日の労働が終わると、労働者たちは翌日に備えて、食事とも言えないような質素な食事をし、すぐに眠る。


『京介…いる?』


私は京介の眠る部屋を訪れた。














逢瀬











京介の部屋、と言っても京介を含めた大勢の労働者が睡眠をとるためだけに設けられた質素な部屋である。
他の労働者たちは、疲れ果てたのか、すでに眠りに着いていた。

京介はまだ起きていたのか、窓辺で外の景色を眺めていた。
遊星はその隣で眠りについている。

外を眺める京介は、いつかセキュリティの牢獄で見た、希望を失ったかのように力なくぼんやりとしている京介と重なって見えた。


『……京介…っ!!』
「…ろじこ…」


部屋に入るなりいきなり抱きつく私に京介は身を少し大きくして驚く。


「お前、こんな夜中に…」


離れようとしない私の背中に手を回し、撫でると京介はなだめるように言う。


「他の労働者たちが起きる。外へ出るか。」
『うん…』


外はすこし肌寒い。
風が京介の長く伸びた髪をサラサラと揺らした。


「…ろじこ、どうした。」
『京介、ずっと会いたかった…!』
「…すまねえ。」


クラッシュタウンで出会った京介は、以前の京介とは違う、憂いを帯びた表情をしている。
私はただただ戸惑うしかなかったが、やっぱり京介は京介なわけで、私の中からは確かに京介に対する恋しさがこみ上げてくるのであった。


『どうして私を置いていったの…!』


どうしてサテライトに私を一人残して言ったのか。

なぜ一人で死に場所を探していたのか。


京介の胸にしがみついてなく私に、京介はひたすら憂いの表情を変えずに詫びる言葉をつぶやくだけであった。


『本当は、私のことなんて、どうでもよくなったかと…!』
「ろじこ、それは違う。違うんだ。」
『嘘、よ…』
「俺は、どんな時でもお前を忘れたことなんてない。」


それまで単調に話していた京介が、静かに、しかし強いトーンでそう言った。


「好きだ、ろじこ。」
『きょう…んっ』


京介は私の顎を持つと、静かに口付ける。







 「ろじこ…相変わらず耳弱いな…」
『っ、っ…!!』


久しぶりに真近で感じる京介の体温に、憂いを帯びた声はひどく色気を感じさせた。

私が身悶えする間に、次々と服は脱がされて、京介は首筋から背中にキスを落としていく。


『ひぁ…!』


京介の長い髪が、サラリと私の肌を撫でる。
それにすら私はいちいち反応してしまう。


「ろじこ…いつもより敏感だな…」
『だって、京介が…』


久しぶりで、と言うと、京介は何を思ったのか、顔をあげた。
そして私にその顔を近づけると、不敵な笑みを浮かべた。


「俺のいない間…どうしてた?」
『えっ…?』
「一人で、してたのか…?」
『っ…!』


私は顔が赤くなるのを感じた。
そして黙る私を察したのか、京介は私から密着させていた体を離す。


『し、してないっ』
「してなくないだろ。見せてくれよ、ろじこが一人でしてるところ…」
『なっ、や、やだよ!』
「ほら…」
『っ…』


京介に言われるがままに、私は岩場にもたれかかって立ち、片足を背の低い岩に乗せるような格好をさせられる。
そして、左手を胸に、右手を秘部に誘導される。


「ほら、指を動かせよ。いつもしてるみたいに…」
『く…んっ…』


私は京介の視線を感じながら、自分で自分のいいところを刺激する。


「今…何を考えているんだ?」
『きょ、すけ…のことっ』
「ろじこ…」
『あっ、京介ぇっ…あぁっ』


目を強く閉じ顔を背けて、押し寄せる快感に耐える。
体は無意識に力が入り、のけぞってしまう。


「…こっち見ろろじこ…」
『あ、京介ぇ…い、やぁぁっ…!!』


私は京介を見つめながら絶頂を迎えた。
脱力した私は、体を京介に預け、息を整える。

『はぁ、はぁ…』
「いやらしい」
『ち、ちが…っ』
「でも、可愛い。」


京介は私を抱き、頭を優しく撫でる。
私は、その腕の中で完全に京介に寄りかかりながら、京介のズボンのベルトを外し、既に大きくなったモノを握る。


『…私なしじゃ、いられなくしてやるんだから…』
「な、ろじこ…んっ」


私は顔をあげて京介に深くキスをする。
京介のモノを優しく握って上下させながら、誘導して低い岩場に座らせる。
私は座った京介にもう一度軽くキスをしてひざまずき、握っていたものを口に含んだ。

快感に表情を歪ませる京介の顔が、前と変わっていないことに私は安心し、また愛しさを感じた。


「ろじこ、もう出る…」
『ら、らめ…!』


いつもなら、こうして京介の限界が近づいてきた頃にフェラをやめて、ひとつになるのだが、私はやめなかった。


「あ、くっ…ろじこ…!」
『んんっ』


精液が流れ込む。

ごくり、と私はそれを飲み込んだ。

口の中に広がる京介の味に、私は恍惚を感じていた。


『繋がるのは、京介が本当に私を離さないって言ってくれたときにしようって思ったから…』
「ろじこ…お前…」


ペタン、とその場に座り込み、先ほどの恍惚の余韻に浸る私の髪を、相変わらず京介は優しく撫でてくれる。




「お前ってやつは…ったく。」





クラッシュタウンで私や遊星と出会っても表情ひとつ変えなかった京介が、少し、笑ったように見えた。


+continue+




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