帰郷!受け継ぐ想い、希望の手*3




バン!!と、十字路に面する花屋から遊星が飛び出してきたのだ。

い、いつからそこに!!












帰郷!受け継ぐ想い、希望の手*3










「どちらが勝っても何も変わらない!今は逃げるんだ!」
『…え?え?』


遊星は私と京介の手を引く。


「バーバラ!急げ!!」


私と京介が困惑していると、花屋からバーバラという女性がゆっくりと現れる。

バーバラ…確か、あの花屋の店主だ。


「バーバラ!車はどうした!?」


遊星が焦った様子でバーバラに叫ぶ。


「そんなもん、どこにもないよ。」
「どういうことだ!?」
「ちょっとは落ち着いたらどうだい。いい男が台無しだよ。…とは言っても、本当のいい男ってのは力のある男のことだけどね。」


そう言ってバーバラはマルコムに寄り添う。


『ちょ、ちょっと!イマイチ状況が飲み込めないわ!どういうこと!?』
「あら、ろじこちゃんじゃないかい。ふふ、前からこの子はやる子だと思ってたけど、男2人引き連れているなんてなかなかやるじゃないか。」
『バーバラ!ヤる子なんてそんな言い方やめてよ!京介はまぁあれだけど、遊星とはヤってない!』
「ろじこ、お前何言ってるんだ。」
「あはは、そうかい。意外と硬派じゃないか。…まぁ、あまりいい男とは言えないけどねぇ。」
『京介は今でこそこんなやる気ない男だけど充分いい男だし!』
「…ろじこ…」
「おい、俺は。」
『あと力のある男って言ってもデュエルで勝ったの私だし!なんならマルコムも私には負けてるわよ!』
「ふっ、まぁいいわ。もう終わりよ。」
『!?』


マルコムファミリーの手下が四方八方からやってくる。
私や遊星、京介、ラモンは完全に囲まれてしまった。


『うっそー、私まで…?』
「悪いな、すべてはこの街を手に入れるための作戦さ。」
「バーバラ、騙したのか!」
『マルコム、騙したのね!』
「ははは!まぁ本来ならば鬼柳の最後の対戦相手は不動遊星だったが、ろじこ、お前さんで良かったぜ。泣かせるデュエルだったよ、ははははは。」
『汚いわよマルコム!!』
「厄介なデュエリストは鉱山に閉じ込めておいたほうがいいからな。」
『こ、鉱山!?』
「ああ、争いに無関係だったお嬢さんは知らないのか。この権力争いで負けたやつは鉱山に送って働いてもらうのさ!」
『わ、私も…!?』


ってことは・・・!!


「お前さんが探してた男も今頃は鉱山で働いているか死んでるかだろうな。すぐに確認できるさ、自分の目でな。」
『なんて街なのここはー!』


マルコムは京介の隣で歯を食いしばるラモンに話しかける。


「ラモン、良いことを教えてやるよ!明日、俺の弟のロットンが修行の旅から帰ってくるぜ。」
「な、なんだと!?」
「だからよ、明日は戦争だ!荷物をまとめるなら今のうちだぜ!」


ラモンは焦った表情でマルコムを睨む。
バーバラはそのマルコムに腕を絡め、余裕そうな顔で私と遊星に話しかける。

バーバラは遊星に、奴隷になれば許してやると話を持ちかけたが、遊星が断ると思いっきり顔を平手打ちした。
こええええええ!

そして彼女は今度は私に向かう。


「ふふ、ろじこちゃんもロットンの女になれば良かったのさ。マルコムの弟、強くていい男だよ?」


そう言って私の首筋を綺麗に爪を伸ばしたてでなぞるものだから、不覚にも私は変な声を出してしまった。


『ひぁ…!』
「あんたはこの街でもなかなか良い娘だったからねぇ…」
『あん、やめてくださいお姉様ぁ…!』
「ふふ、ロットンに差し出す前に私がまず味見してやるわろじこ…」
「…コホン。」
「『あ。』」


ついノリでバーバラとやらしい世界に入ってしまったが、マルコムの咳払いで私たちは我にかえった。

そしてマルコムは、手下に叫ぶ。


「さっさとその3人を運んじまいな!!」


抵抗をするものの叶わず、私と京介、遊星は鉱山送りとなってしまった。


『遊星!なんであんな女に騙されてんのよー!』
「すまない…俺は、鬼柳を助けようと思って…」


どうやら、バーバラから鬼柳を助けてくれと手紙が届いたらしい。
そして、遊星はバーバラと共に京介を助けようとしたが、バーバラには遊星を利用して京介を鉱山送りにしようという策略があり、まんまと騙されてしまったということだ。


『確かに京介を助けたい遊星の気持ちは…私も一緒だけど。でも、バーバラの色気にやられて油断したというのなら許さないから。』
「ろじこ、妬いてるのか?」
「妬いてない!!」
「ろじこ、お前やっぱり俺のいない間に….」
『ないないない!!』
「おら!!鉱山だ!降りろ!!」


そうこうしているうちに鉱山に着き、私たちはマルコムの手下に強引に車から降ろされた。




ど、どうなっちゃうのこれ…!?


+continue+





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