サテライトの生活




「決めろ、ろじこ!」
『よーし、行くわよー!ダイレクトアタック!!』



私のダイレクトアタックが決まり、相手のライフが0になる。












サテライトの生活











『勝ったー!よしっ、これでここのジャンクは私たちのものね!』
「ああ、他の奴らがくる前にとっとと漁って行くぜ!」
『おー!』



サテライトの住人は、シティからサテライトに流れたジャンクを漁り、金目のものを売ってお金を稼いでいる。

しかし、限られた金目のものを巡り、ジャンクの山では住人がデュエルで資源を争っているのだ。


私は、鬼柳とタッグを組んだり、それぞれ別にデュエルをしたりしては、相手を倒してジャンクを漁る。



「ろじこよぉ、お前も強くなったな。デュエルのセンスあるぜ!」
『ありがとう!鬼柳と組めば敵なしって感じ!』



何度もデュエルを繰り返す内に、何となくコツを掴んだ気がした。



それから、ジャンクの山を争い、金目のものを漁ってはお金を稼ぎ、食べ物を買ったり、カードを買ったりした。



デュエルで勝てば平和な生活。


負けなしの私たちは、もはやサテライトで恐れるものはなかった……はずだったが。










「てめーら、最近デュエルで勝って調子に乗ってるらしいな?」
『!?』



いつもは鬼柳と出歩くが、そこでたまたま一人になったとき、私は複数のサテライトの男に絡まれてしまった。



『え?………………え?』
「とぼけるなよ。仲間から話は聞いてんだよ。」
「何も、サテライトはデュエルだけがルールじゃねえんだ。要はケンカだぜ?」





すっげーーー怖い人に絡まれたんですけどーーーーーー!!!!



私がぽかーんと口を開けていると、男のうちの一人に腕を掴まれる。





『ひっ…!』
「あーあー、怖がってんじゃねーか。」
「いいんだよ、これくらい怯えてる女が可愛いじゃねーか。」
『まだ成人もしてない少女に手を出すなんてサイテー!AVの見過ぎなんだよ絶対JKもの好きだろこのロリコンが!!』
「んだと!?」
『ひええええ!鬼柳助けてえええええ!』
「黙れクソ女!」
『むぐぅ!』





男に後ろから羽交い締めにされ、口を塞がれる。

あー、終わった。
私の純潔はこんな形で汚れてゆくんだ…

デュエルでは負けない自信が十分にあったはずだ。
でも、やはり力となるとどうしてもかなわない。


こんなはずじゃ…

と思った矢先。



まるでマンガかドラマのよう、少し焦った表情を浮かべた鬼柳が現れた。



「ろじこ!!」
『鬼柳ーー!』



「なんだお仲間の登場か?」とニヤニヤ笑っている男たちを、鬼柳は睨みつける。


こういう鬼柳は仲間の私から見ても、ぶっちゃけちょっと怖い…



「ケンカなら尚更こっちは負けねーんだよ!!」



鬼柳は自分より歳上の、しかも複数の男たちに次々と殴りかかった。










私ね、一応シティでこう、平和に生きてきたからかな。


人が目の前で殴られてるのを、初めて見たんです。



思わず、「大丈夫ですか?」なんて気を使ってしまうくらい、鬼柳はケンカが強かった。



ちぎっては投げちぎっては投げ、という表現がピッタリだと思った。





その後、「悪ぃ、一人にしちまった…大丈夫だったか!?」なんて焦りと安堵の混じった顔で聞かれるから、私はただただかっこいいなぁなんて思いながら黙ってコクコク頷くしかなかった。



『鬼柳……ありがとう。』
「ああ。しかし卑怯な奴らだぜ、俺じゃなくろじこに絡むなんてな。」
『鬼柳と外に出て、デュエルで勝って、サテライトに怖いものなんてないと思ってた……でも、そうはいかないね。ちょっと、怖かったよ。』



はは、と笑うと、鬼柳は私の頭をぐしゃぐしゃと掻いて撫でた。



「強がんなって。大丈夫だ、何かあっても絶対俺が助けに行くからな。」
『き、きりゅ……』



鬼柳の男前さに、胸がジーンとなった。


そんな鬼柳は、頬を少し赤くしている。



頬を赤く、と言っても、それは照れや恥ずかしさではなかった。

きっと、ケンカの中で相手がどさくさに紛れてデュエルディスクでも振り下ろしたのだろう。
頬を切って血が流れ、言葉通り頬を赤くしていた。



『き、きりゅっ…!血が!』
「え?…ってぇ、くそ、切ったか。」
『でも、そんな深くないよ、ちょっと擦り切れたのかな。』
「あいつら……ちっ、男だって顔は命だっつーの!」
『あは、そうだね。…でも、大丈夫。』
「え?」





私は、鬼柳の頬に唇を近づけ、小さな傷口をペロリと舐めた。



「お、おいっ…!ば、ばかろじこお前!」
『それくらいの傷、舐めてりゃ治るんでしょ?』



ニヤニヤと鬼柳を見ると、そこには初めて見る恥ずかしさで顔を紅潮させる鬼柳の姿があった。





「ばかやろー、お前!このクソビッチ!」
『ビッチって言うな!この前の仕返しだから!』
「おら、日が沈む前に金目のもん見つけるぞ!働け働け!」
『照れかくしが下手ねー!』
「うるせー!」





いつまでも顔の赤い鬼柳に苦笑して、私はまたジャンクの山に目を向けた。





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