デュエリスト!




『鬼柳京介のー?今日からあなたもデュエリスト!初級編、はっじまっるよー☆』
「真面目に聞く気あるなら態度で示よお前、おら正座しろ。」
『あ、はい…すいません。』












デュエリスト!










私は鬼柳に一通り基本のルールを教えてもらった。



「効果や魔法、罠によっちゃ細かいルールもあるが…まぁ習うより慣れろだな。ろじこ、デッキを出せ。」
『スパルタ!!』





鬼柳は誰にデュエルを教わったのだろうか。



サテライト生まれデュエル育ち、その辺の奴らはだいたい敵

…みたいな??



なかなか荒削りのデュエルをする。
素人ながらにそんな印象を得た。





『ねぇ、きりゅー。』
「ん?なんだ?」
『コンボっていうの?私、魔法と罠、モンスター効果をイマイチ使いこなせないんだけど、コツとかあるのかな?』



鬼柳は少し目を丸くさせてこちらを見る。



「そりゃぁお前……押して押して押しまくる!そうすりゃ勝てる!」





私ね、思ったのです。





人に頼ってばかりじゃだめだ……!!



鬼柳のことは頼りになると信じている、確かに。



しかし、それとこれとは話が別である。



私は、夜な夜なカードのテキストを見つめては、どのカードと組み合わせて使えるか考える。

独学のスタートであった。





『ふむふむ…万魔殿、このフィールドはデーモンのコストを0にするのね…で、ジェネラルデーモンでこのカードをサーチできる、と…』



「なに人のキーカード分析してんだよ?」
『!!!!!!!』



夜中、鬼柳が寝た後にも私はカードの勉強をしていた。

すると、寝ていたはずの鬼柳が突然耳元で話しかけてくるものだから、私は言葉も出ず驚いた。



『な、な、なに…っ!』
「っくく…何、驚きすぎだろろじこ!」
『だ、だって!耳!耳元で急にっ…!耳…!!』



ただただ顔を耳まで赤くしてうろたえる私に、鬼柳は笑いをこらえている。



『ば、ばか!私の耳がぁ…耳の処女膜がぁ…!!』
「っははは、ばか、耳の膜は鼓膜だけだよ安心しな…!」



ドキドキ


ドキドキ



速まる鼓動を落ち着かせようと胸を押さえ深呼吸をする。



『奇跡的に生き残った娘がサテライトで彷徨った挙句に男とイチャイチャしてると知ったら天国の両親もバチ切れるわ!』
「はは、怒んな怒んな。…まぁあれだ、早く寝ろよ。明日はお前も外に連れてってやるからさ。」
『……え?』



確かに、私はここ数日アジトにこもっていた。
危ないという理由で、外には出ず屋内でずっとカードの勉強やら鬼柳とデュエルの練習ばかりしていた。



『私も一緒にジャンク集めとか、デュエルとか、していいの!』
「ああ。ろじこも一生懸命頑張ったから、十分だろ。」



初めてのサテライト散策に、心は高まるばかりであった。










翌日、私は鬼柳に連れられジャンクの山に来た。
手分けして金目のモノを見つけることにした。



………が。



『きりゅ〜……』
「……ん?ろじこ、呼んだか?」
『きりゅ〜…ここ、ここ。』
「何か見つけたか?って、おいろじこどこにいるんだ?」
『ここ、ここ、きりゅ、足元。』
「うお!!!!!!」



鬼柳が足元を見下し、悲鳴をあげた。


私は、ジャンクに埋まり首から上だけが山から出ていた。


まるで生首、ホラーである。



「どうなったらそうなるんだよ!?」
『ジャンクの山が崩れたと思ったら埋まってた。』
「怖ぇーよ!」
『助けて。』
「世話が焼けるぜ…!」



ジャンクに埋れていたところから、鬼柳によって救出された。


あぁ、指を切ってしまっている。



『あー、何かの端っこで切っちゃったのかな。』
「ツバつけときゃ治るだろーよ。」
『!!!!!!!!』



ぺろ、と鬼柳は私の指の切ってしまった部分を口に入れた。


そしてその舌の感覚に、私の思考は一時停止をする。


そして、何が起こったか分かる頃には、私の顔はまた真っ赤になっているのであった。



『な、なんで、舐め、なんで…!』
「大丈夫だ、すぐ治んだろ。」
『そっ、そーゆー意味じゃなくて…!』



何か昨日から性的なんですけど!?





と、口にも出せず、ただ私は悶々とした感情を心に燻らせるのであった。





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