Dejave!




「俺のD・ホイールがない!!」



朝一番、私たちのガレージにトオルの声が響く。












Dejave!










『ふぁ〜…おじい、おはよー!』
「ろじこよ、お前は本当によく寝るのぅ。わしは夜中のD・ホイールの音が煩くて寝れんかったわぃ。」
『夜中に…?そんな非常識なやついる?』
「あのD・ホイールの音はトオルじゃな。あいつに会ったら、練習はいいが時間を考えろと言っておいてくれ。」
『トオルが?そんな迷惑を考えない人間じゃないと思うんだけど…わかった。』



いくらここがライディングデュエルが盛んだからって、夜中にエンジンをふかしてる人なんていない。
しかも、誰よりも常識人なトオルがそんなことするなんて。



『トオルー、おは…』
「俺のD・ホイールがない!!」



私たちのガレージには、トオルとミサキ、そして私のD・ホイールを停めてある。

そのうち、ミサキと私の愛車は無事だったのだが、トオルのD・ホイールだけが忽然と姿を消していた。



『やっぱり、昨日の寄る走っていたD・ホイールはトオルじゃなくて、トオルのD・ホイールを盗んで運転した誰かなのね…』
「くっそー!許さねえぜ…!」



トオルは犯人を探しに、ガレージを飛び出して行ってしまった。



「ろじこ…サテライトに…部品…流れてる…噂。」
『サテライトに!?』



私たちの古巣でまた好き勝手やってるやつがいるのね…



『ちょっとサテライトに行ってくる!』
「無茶…しないで。」



私はサテライトに向けて愛車を走らせる。

心当たりがあるのだ。



サテライトにある、パーツを破格の値段で売る店。


そう。


私がずっと前に騙された店…!!





「いらっしゃいませ〜。激安でパーツを売ってますぜ!」
『ちょっとあんた!!!!』



私が店員に駆け寄ると、店員は驚いた顔をする。



「何だお前……あ、思い出した!!鬼柳の仲間のやつか!!」



店員は辺りを見回す。



「鬼柳はいないようだな…で、何か用か?」
『用も何も、あんたD・ホイールなんて窃盗してないでしょうね!?』
「…………知らねーな…俺は何も知らねーよ。」
『へぇ?じゃぁその激安で売ってるパーツはどこから仕入れてんのよ?正規ルートならありえない安さよね?』
「…な、なんだよしつこい女だ!知りたいことがあるならデュエルで勝つのがスジだぜ!」
『そうね。デュエルよ。』
「へっ、鬼柳がいないならテメーなんて楽勝だぜ!」
『京介がいないからってナメんじゃないわよ!』



私はデュエルで店員を下す。



「くそっ…俺もスジは通すぜ。シドって男が、パーツを破格の値段で売りに来たんだ。」
『シド…?そいつはどこにいるの?』
「居場所は知らねーが、いつも港から来てるみたいだぜ。」



謎の人物、シド…

恐らくトオルのD・ホイールを盗んだのはやつの仕業ね。


私は足を港へ向けた。



そういえば、サテライトは昔より整備され、だいぶキレイになった。

私と京介が過ごした、チーム・サティスファクションのアジトも、跡形がなくなっており、ビルに建て替わっている。


少し寂しいが、私たちも今の自分を今の場所で過ごしているのだ。









港に着くと人影が見えたので、私は物陰に隠れて様子を伺う。



「今日の収穫は2台か。まったく、チョロいもんだぜ。」



男が二人、D・ホイールを運んでいる。


あれは、トオルの…!!


やっぱり、こいつらがトオルの愛車を盗んだ犯人!



もう一つのD・ホイールは…?



私は目を凝らしてもう一台のD・ホイールを見る。



『ジャックの……!?』



まさか、ジャックのD・ホイールまでもが盗まれているなんて!



とりあえずジャックは今頃怒り狂っていそうだから、まずは遊星のところに…!


私が港を後にしようとしたその時。



ガタッ



『あ。』



やっばー…もたれかかっていたコンテナにデュエルディスクが当たり、物音に気づかれる。



「誰だ!!」
『(ひええ〜〜!)』
「隠れていても見に行けば分かるぜ。大人しく出てきた方が得だぞ?」
『得も何も…気づかれたからには仕方ないわね!』



私は黙って、コンテナの影から男たちの前に出る。

それに男たちは、見つかったからには帰すわけにはいかねえと笑った。




私は覚悟して、デュエルディスクを構える。



「待て!!」
『…!!』
「貴様らか、俺のD・ホイールを盗んだのは!!」
『ジャック!!』



どこから現れたのか、ジャックが男たちの前に立ちふさがる。



「ろじこ、やるぞ!俺のD・ホイールを盗んだらどうなるか、わからせてやる!!」
『うん!』



ジャックのドラゴン族と私の戦士族。
パワーデッキにパワーデッキを重ねた私たちの力で、男たちを圧倒する。



「何が元キングだ!今でも十分強えーじゃねえか!!」
「逃げろー!!」



デュエルで負けると、男たちは逃げ出す。



「逃がすものか!!」



ジャックも後を追うので私もそれについて行く



……が。



『っきゃ!!』
「おいおい、ずいぶんワルやってるじゃねーか。」



何者かに首根っこを掴まれる。



「ボス!!」



ボス、と呼ばれた人物は、私の首を腕で締めるように抱えると、手下にあたる男たちに命令する。



「さっさとその元キングに引導を渡してやりな。俺はこっちの女と遊んでるからよ。」
『あんたがシド…!!』



ジャックは先ほどの男たちとその増援に囲まれている。



『ちょっと離してよ!』
「ほれ、怖がるなよ。なぁ?イイコトしようぜ?」
『しないわよ!…あんた、こんなことしてると痛い目みるわよ!』
「くく、随分強気な女だな。」
『まじで痛い目見るわよ!私の経験によると、こーゆー私の身の危険があるときは…』



前にもあったのだ。

私のピンチに駆けつけてくれる…





「てめー!人の女に手ぇ出してんじゃねーぞ!」



ほら。





+continue+




[ 13/20 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -