帰郷!受け継がれる想い、希望の手*5
私たちが洞穴を抜けると、鉱山の外に出た。
そこへ、2台のD・ホイールが到着する。
帰郷!受け継がれる想い、希望の手*5
「トオル!ミサキ!」
遊星が叫ぶ。
そちらの方を見ると、確かに二人が駆けつけてくる。
「大丈夫か!?っていうか、ウエストたちにろじこが鉱山送りにされたって聞いたから来てみれば、もう抜け出してやがる!」
「…助け…不要だった?」
『うわぁぁぁん!トオルー!ミサキー!』
私は繋いでいた京介の手をパッと離し、二人に泣きつく。
「あっおいろじこ!」
ちょっと怒る京介を見て、トオルは頭に?を浮かべる。
「ろじこ、遊星ともう一人いるあっちの男は…?」
「おいてめー!何、人の女のこと呼び捨てにしてんだ!お前誰だ!」
「…嫉妬…?」
『ちょ、ミサキ!…トオル、こっちは鬼柳京介。私の彼氏!』
「えーーーーーー!っていうかお前彼氏いたの!?」
『京介、こっちはトオル。クラッシュタウンで私と、ニコとウエストがお世話になってた近所のお兄ちゃん。』
「ふん!」
彼氏、というとトオルはすごく驚いていたが、ミサキは特に無反応だった。
「えっ、ミサキ、お前知ってた!?」
「なんとなく…わかってた…」
「まじかよ〜!」
京介は私の手を取って半ば強引に手をつないだ。
「ろじこが世話になったのは例を言うが、俺の女に手を出したら許さねーぜ!」
『ちょっと京介!何でそんな敵対心むき出しなのよー!』
「うるせー!この浮気ろじこ!」
『なっ…!!』
「は、はは…」
「面倒くさい…男……」
苦笑いをするトオルと、バカにするようにトオルと京介を見るミサキ。
私と遊星は、昔の京介に戻ったことに安心していた。
「…安心するの…まだ早い…」
『どういうこと、ミサキ?』
「そうだった!街で戦争が始まりそうなんだ!」
遊星は、やはり…と案じるように言った。
マルコムの弟のロットンが帰ってきたって言ってたもんな…
クラッシュタウン出身のトオルは、鉱山で働く他の住人を解放したいと言い、ミサキと共に鉱山へ乗り込んでいった。
私たちは、戦争を止めるため街に戻った。
『おかしい…普段なら、このクラッシュタウンは昼からお酒を飲む大人たちで賑やかなのに…静かだわ。』
「街が妙に殺気立っているな。まさか戦争が始まっちまったのか?」
「お前たち…なぜここに!」
クラッシュタウンの入口で私たちが街の様子をうかがっていると、マルコムの手下が私たちに気づき駆け寄って来た。
「この男は俺が相手をする!ろじこと鬼柳は子どもたちのところへ!」
『わかった!』
「負けるなよ遊星!行くぜ、ろじこ!」
私は京介に、秘密基地の場所を教え、そこにニコとウエストが隠れていると思うと伝えた。
「秘密基地…?またお前らはそんなことして。」
『いいでしょ!…楽しかったの、アジトみたいで。』
「ろじこ、お前…」
十字路の辺りを走っていると、向かいからラモンが現れた。
「なんでお前たちがここに…!」
『死神は地獄から何度でも蘇るって言うでしょ。』
「まぁいい。今この街は戦争中だ!ザコは俺にやられる運命だぜ!」
私はデュエルディスクを構え、ラモンの前に立ちはだかる。
『京介、行って!!』
「ろじこ!」
『ウエストはチーム・サティスファクションが大好きなの。リーダーの京介が助けてくれたらすごく喜ぶと思う!』
「…わかった、任せたぜろじこ!」
京介は秘密基地の方へ走って行く。
「なんだあの野郎?妙に気合い入ってやがる。」
『あれが本当の京介よ!前までの陰キャラ京介とは違うんだからね!』
「まじか…まぁいい。俺の相手はてめえだな!さぁ始めようじゃないか!」
『かかってきなさーい!』
デュエルでラモンを倒すと、彼は汚ぇやり口だぜ!と行って去って行った。
正々堂々としてるっちゅーの!
京介は京介で、マルコムに捕まったらしく、私がデュエルを終えるのと同じくらいに京介もマルコムを下したようだ。
『京介も勝ったみたいね!』
「すまねぇ、俺も面倒なのに絡まれちまった。よし、気を取り直して行くぜ!」
『おー!』
しかし、それも叶わず、私たちの目の前にロットンが現れる。
「『…!!』」
「お前たち、見ない顔だな。ラモングループではなさそうだが…」
『どっちの味方でもないわよ?』
「ふっ、味方でない以上は敵とみなす!一人ずつ相手にするのは面倒だ!まとめてかかってこい!」
ロットンはデュエル修業の旅を終えて来ただけに自信満々な様子。
何気に京介とタッグを組むのは初めてだわ!
どっ、ドキドキする…!
『きょ、京介、あのね…』
「なんだ?」
『私、初めてなの…』
「いや違うだろ、お前はもう処女じゃ…」
『わーーー!やめてよ!京介とタッグ組むのが初めてだねって…』
「紛らわしい言い方すんなよな!お前、てっきり…」
ロットンは何だこいつらみたいな感じでこっちを見てくる。
『何ガン飛ばしてんのよ!デュエルよ!』
「ふん!潰してくれる!」
ロットンは魔法カードやモンスター効果でライフを削るデッキらしい。
「俺のターンからだ!俺はデス・メテオを発動!」
1ターン目早々、私は大きな炎の玉をぶつけられる。
『きゃぁぁ!』
「1000ポイント?はっ、効かねぇよな?」
『いやいや効く効く!!』
その後も、ロットンは次々とライフを削る魔法を発動する。
『ちょっと!魔法ばっかり汚いわよー!モンスターを召喚しなさいよ!デュエリストでしょー!』
「ふん、リアリストだ。」
『!!!!!』
リアリスト、とよくわからないことを言うと、ロットンはまた魔法カードを発動する。
「俺は波動キャノンを発動だ!」
『やば…!』
発動キャノンとは、発動してからのターン数×1000のダメージを与えるカードだ。
なんやかんやで3000まで削られた私たちのライフだと、あと3ターンのうちに勝つか、波動キャノンを破壊しなければならない。
『やばいー!京介早くあのカードを止めてー!』
「ろじこうるせえ!言われなくてもわかってるよ!」
京介も負けじと、ハンドレスコンボを見せつける。
だって2ターン目なのに気づいたら京介の手札は0だしモンスターゾーンに5体も召喚されてたし!
京介のおかげで、次の私のターンになると、もう勝利が見えてくる感じだった。
『これで最後よ…!私の!』
「俺の!」
「『ターーーーン!!』」
えへ、ジャックとカーリーのタッグ見て、私たちも1回言ったみたかったんだよねー!!
私たちがロットンを倒すと、ロットンは、まぁ負けたけど街の至る所にいる俺の手下がお前らをぶっ潰すぜ的な様子だった。
「きたねーぞ!お前それでもデュエリストか!」
「リアリストだ。」
京介、絶対リアリストって言わせたかっただけだよね。
「ふん、俺はこの街を支配しに来た。手段なんてどうでもいいんだよ!手下を全員集めて潰してやる!」
一難去ってまた一難…!?
+continue+
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