目覚め、アルカディアムーブメント!*4




ブゥゥゥン…

D・ホイールのエンジン音が聞こえる。

私の鼓動が高鳴る。











目覚め、アルカディアムーブメント!*4










ここ、アルカディアムーブメント本部の訓練は多岐にわたっている。
詰めデュエル、ストラクチャー対戦、そして、D・ホイールレース。

私は今日、詰めデュエルとストラクチャー対戦の訓練を終え、明日からD・ホイールに乗れるらしい。
私は昔からD・ホイールに乗るのが好きで、久しぶりに乗れるかと思うと心が躍る。


あれ?私いつからD・ホイール乗るようになったんだっけ?
どこ走ってたんだっけ?


最近はいろいろ、思い出そうと思っても思い出せないことが多すぎる。
あー、これそろそろ頭キたなあははあは、なんて思うけど、やっぱりこれは記憶障害というのか、すごくもやもやして気持ち悪い。


そんな時、ディバインに話しかけられる。
十六夜アキとの対戦相手になれというのだ。
ディバインはアキに、肩慣らしのつもりでやれと。
うわぁ、練習台ってとこかしら。


「あなたが対戦相手ね。訓練で疲れているでしょう?付き合ってくれてありがとう。」
『え?いや、大丈夫よ。』
「アキ、余計なことは言わなくていい。自分の感覚を取り戻すことだけを考えていればいいんだ。」
「…はい。それじゃぁ、始めましょう。」


このアキという女性は意外と心優しそうだ。

それに比べディバイン!お前はダメだ!

とにかく、私はデュエルディスクを構える。


「『デュエル!』」


『ダイレクトアタックよ!!』


何やかんやで勝ってしまった!

・・・と。


ドンッ


『っうぅ…』


何かよくわからないけど飛ばされ、私は身体を壁に思い切り打ち付けた。


「ごめんなさい!!サイキックパワーを抑えていたつもりが溢れてしまったみたい…」


アキは私を心配してくれたが、ディバインがそいつなら大丈夫だからと言い残し、アキを連れて行ってしまった。




次の日。
私はまだ身体が痛むというのに、それと対象的にリキッドは元気に訓練へ出かけた。
あー、今日はD・ホイールの訓練だった。


「すごいなばるこ!今日が初めてとは思えないぞ!」


リキッドが尊敬の目で私を見る。
おぉ、いつも見下してくるくせに今日のこいつはいい目をしている!


『やだ、私今日がは、初めてよ…あんやだ//』
「何がだよ気持ち悪い!実は前に乗ったことあるんじゃないか?」
『うん、確かにD・ホイールに乗るのは好きだったんだけど、いつ乗ってたのかほんとに乗ってたのかイマイチよく覚えてなくて。』


私の返答にリキッドは、はぁ?という顔をする。


「まぁ才能があるってことだろ。」
『おぉ、初めて褒められた!』


リキッドと本部へ帰ろうとした。
その時。


「ばるこ!?ばるこじゃないか!!」

『?!』


すれ違った蟹…男性に声をかけられる。

この前のフォーチュンカップで優勝した、不動遊星。
激しい頭痛の中で見た、ジャンクの山の幻影にいた人物だ。


何か胸騒ぎがした。


『ひっ…』


私は何か怖くなって後退りをする。
そしてまた頭痛が私を襲う。


「預かっていたD・ホイールの試作機、調子が良くなった。」
『えっ、遊星まじでー!』


「ばるこがD・ホイールで先行してくれ!急ぐぞ!」
『クロウ、任せて!行くどー!』


「おお、ばるこ!どうだい調子は?満足してるか?」
『京介!私は京介がいるだけで毎日満足よー!』
「はっ、相変わらず馬鹿だなー、お前は。よしよーし。」
『わんわん!きゃんきゃん!』
「あはは、犬かよ!」


『…っ、』
「顔色が悪いぞ、大丈夫か?あいつ、お前の知り合いなのか?」
『ゆ、ゆう…』


心配そうに駆け寄るリキッドと、目を見開いてこちらを見て立ち尽くす、不動遊星。


「あいつ、お前の知り合いか?」『えっ、ただの友達よ!』「ほんとか?怪しいな。」『ほ、ほほはほほんと!ただの友達!何でもないわ早く行きましょうリキッド!』「ばるこ、俺は友達か?あの時のことはただの遊びだったのか…?」『ぎくぅっ!』

なんてやり取りをする余裕もなく、ただ私は何かもう一歩で思い出しそうなもやもや、そして割れそうなくらい響く頭痛に耐えていた。


「貴様!不動遊星!我々の活動の邪魔をするな!誰かばるこを本部まで連れて帰れ!」


どこからか現れたディバインが不動遊星がこちらに近づこうとするのを制する。


「ばるこ!おい!大丈夫か!?」


不動遊星の声を背に、私はリキッドに連れて帰られる。


私は本部に着くや否や、ディバインにセリアの元へ連れていかれた。
朦朧とした意識の中、カプセルのような装置の中に入れられる。


「意識レベルが低下しています。このままだと意識を失うかと。」
「やはり、洗脳の効き目が弱くなっているのか?」
「そのようです。過去の記憶に関わる、大きなショックがあったものと思われます。」
「不動遊星…つくづく邪魔をしてくれる!これ以上コイツに近づかれたら厄介だ。より親しかった人間ほど強い抵抗を起こすように、洗脳を強化しろ!」
「しかし、今は脳波が不安定です。無理をすると命に関わる可能性が…」
「…ふん、仕方ない。大事なコマを失うわけにはいかない。生命維持を最優先しろ。」
「了解しました。」


ぼんやりとそんな会話が聞こえたが、私はどうでもよかった。

疲れた、眠りたい。

私は意識を手放した。


+continue+




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