いつだってヒーロー!




なんでこうも私のピンチに駆けつけてくれるのか。

愛か。


それとも何、私のピンチに立ち会うべくストーカーしてんの?












いつだってヒーロー!












私は今日、サテライトを散歩している。
というのも、クラッシュタウンの友人に頼まれたのだ。

D・ホイールの部品を探すべく、いつもお世話になっている店に行こうとすると、ゴードンという一人の男に声をかけられる。


「何かお探しかい?」
『えっ何ナンパ?私おっさんには興味ないんですけど…』
「俺もお前みてーのに興味ねえよ!」
『おいレディーに向かって何よ!私は今からD・ホイールのパーツを買いに行くのよ!』
「ほぉ、ならいい店を紹介するぜ?こっちだ。ゴードンの紹介って言えば安くしてくれるぜ。」
『え、まじで?』


私はゴードンの後について行く。
最近まではなかった店だ。
新しくできたのかな、と思い店に入りパーツを買う。
ゴードンの言うとおり、安くしてくれた。ラッキー!


〜♪

私は呑気に鼻歌を歌い歩いていると、後ろから衝撃が入る。
誰かがぶつかったようだ。


『った!ちょ、誰よ!!』


ぶつかった相手は走って逃げて行く。


『ったく、何なの…って、え、買ったパーツがない!!』


やっばー…パクられた!!!!


私たちがサテライト統一を目指し、数々の地区のギャングを倒していると、治安の悪いサテライトの住人たちも、私たちを恐れ、おとなしくなったと思っていたのだが…どうやらまだまだ、治安は悪いままのようだ。


…許さん…!


私は逃げた男を追いかける。
ピンクのシャツ…おそらく、先ほど店を紹介してきたゴードンだ。


『待てやコラァ!!!!!』


ピンクのシャツの男はある建物に逃げ込む。
私もすぐ中に入ろうとすると、別の男が出てくる。


「勝手に人様の家にあがりこむとはいい度胸してんじゃねーかこらぁ!!」
『うるせー!ピンクのシャツの男がここに入っただろーが!出せよ!!』
「ピンクのシャツを着たおかっぱのチョビヒゲなんか見てねーよ!」
『なんでおかっぱのチョビヒゲって知ってるんだよばかやろー早くあいつ出せよ!』


私が引かないことを見て、男は力づくでねじ伏せると言う。
おいおい私のこと知って言ってんのまじふざけんなー、と思ってると、物陰から次々とキャップを深くかぶった男はたちが現れる。


『……まじで?』


なにこれ輪姦されるのやだーやだー京介しか知らないこの体を!

ちょーーー怖いんですけど!


男たちはニヤニヤとした笑みを浮かべながら私を取り囲む。
私のこめかみを嫌な汗が伝う。


『ちょっと、私を誰だと思ってるの?チーム・サティスファクションのメンバーよ?』
「もう解散した昔のチームだろ?関係ねぇよ。」
「まぁ、美人がそうやって強がるのもなかなかそそるぜ?」


ばるこ、性的な意味で人生最大のピンチ!


ああ、私今からこいつらに羽交い締めにされて、服をビリビリにやぶかれて犯されるんだ…
京介ごめんなさい、ばるこは汚れてしまいます…


ふええ…





「おいおい、そんな無茶があるかよ。絵に描いたような悪人だな。」
「誰だ!!」
『!!』


声のする方を見る。


「おいおい、ここは俺たち、チーム・サティスファクションが制圧した地区のはずなんだけどなあ?」
「それ以上に、悪事を見過ごすわけにはいかない。」
『きょ!きょきょきょ、きょーすけーーー!!』
「ばるこ、俺は。」
『ゆーせー!』


かっこいー!かっこいー!
さすが!
私の男!
私のリーダー!
私の京介!


「おい、中に入っていった男を追ってるんだろ?ここは俺たちに任せて、ばるこは行け!」
『ありがとう、京介!後で京介は私のナカに入ってそしてイってね!』
「うるせー!早く行けよ!」
『ああん!照れ屋なんだから!』


京介に投げキッスをして、私は建物に入る。

パーツを奪ったあいつをシメるために。


『弱いくせに悪さすんじゃないっ!』


私はゴードンからパーツを取り返した。

建物から出ると、外では京介と遊星も仲間の男をデュエルで下したようだ。


「弱いくせに悪さすんじゃねーよ!」
「うっ…俺のことはもう忘れろー!」


男は走って何処かへ行く。

私、最近なんか京介の口調が似てきたな…野蛮だわ、気をつけよーっと。


「ばるこ、大丈夫だったか?」
『京介、ありがとう。取られたD・ホイールのパーツ、取り返せたわ。新しい店を案内されて安く買えたと思ったらこれよ。』
「この辺りではよくある手口だな。気をつけろよ、ばるこ。」
『まさか自分が引っかかるとはね…情けない。』


額に手を当て、まいった、という顔をする私に遊星が話しかける。


「そのパーツ、見せてくれないか?」
『えっ、これ?…はい。』
「…やっぱりな。」
『え?』
「それらしく作られているが、似せて作った粗悪品だ。」
『えええっ』
「ぷ。ばるこパチモン買わされてやがんのー!」
『うるさい京介ー!』


悔しい…!


『くっ…このチーム・サティスファクションのばるこ。パチモンも見抜けないゴミくずですわ…!』
「しっかしそんなことするなんて、ゴミくずのばるこ以下の野郎だ。」
「ああ、許せないな。」
「よし、店に乗り込もうぜ!」


そしてゴミくずの私は、京介と遊星を連れて、先ほどの店に行く。


「ここか!」
『へぇ、兄貴。すいやせん…俺のせいで兄貴の手を借りるとは…』
「おう、可愛い弟分がコケにされてたまるかってんだ。」
「おい、そのやりとりデジャブだぞ。」
「まぁあれだ。俺のばるこが騙されたと聞いちゃ黙ってられねーのは事実だからな!行くぜ!」
『京介…!』


キュン!


私はすごい勢いで店に入る京介の後に続く。


「てめーか!ニセモンを売りつける悪人は!」


店員は驚き、あたふたする。


「お前は鬼柳!いったいなんの話だよ!」
「とぼけんな!ネタは上がってんだよ!!」
『ふふ!観念しなさーい!』
「げ、お前はさっきの!!」
「俺の女をよくもコケにしてくれたな!」
「ひ、ひぃえ〜!!」


京介は、容赦なく店員の男を懲らしめる。


『…遊星。』
「…ばるこ、俺たちは何も見てない、何も見てないからな。」
『うん…』
「……」


こうなると逆に店員が可哀想なくらいだ。
京介怖えええ…!


「ほらよ。金は取り返したぜ。」
『わぁ!』


京介は、店員から取り返したパーツの代金を私にくれる。

…少々額が多い気がする。
京介怖えええ…!


しかし、私の求めていたパーツの正規品はないようだ。
困った、頼まれたからにはちゃんと買って置きたかったのに。


「ばるこ、お前が友人に頼まれたパーツの製品名は分かるか?」
『え、これ…このメモ。』
「…よし、これなら俺の方でなんとかなりそうだ。」
『え、遊星ほんと?』
「さすがだな、遊星。」
「ああ、ちょっと待っててくれ。」


遊星はいつもよりイキイキした目でどこかへ走っていった。
さすが!D・ホイールに関して知識半端ないもんね!
はじめから遊星に相談しとけば良かった!


私と京介は、アジトで待つことにした。


『きょーすけっ!』
「うお!」


アジトの京介の部屋に入るなり、私は京介に抱きつく。


「なんだよばるこ!」
『かっこよかった京介ー!なんであのタイミングで現れたのー!かっこよすぎ!!』


「ばーか、お前のことなんて何でも分かんだよ。」
『えっ、やだーさすが京介だね!』
「分かりやすいんだよ、お前はー!」
『やーん☆』
「こいつー☆」


「…ばるこ、鬼柳。」
「『ゆ、遊星…!』」


私たちがバカップルごっこをしていると、いつの間にか遊星がいた。
全然気づかなかった!

危ない危ない、油断してるとそのうち、京介と超融合してるところを遊星に見られる事件が起こりそうだ。

遊星は私の欲しかったパーツを持ってきてくれたようだ。


『やったー!これこれ!ありがとう、遊星!』
「いや、ばるこも喜んでくれたみたいで良かった。」
『おっとこまえー!』
「おいばるこ!遊星に浮気すんなよ!」


京介が、わしっ、と私の頭を掴む。


『いたっ!』
「大丈夫だ鬼柳。お前が今日みたいに四六時中ばるこを監視してたら誰も浮気できないぞ。」
「ちょっ!言うなよ遊星…!」
『か、監視ぃ!?』
「ふ。実はな、ばるこ…」


遊星曰く、いつもなら「クロウの家」やら「D・ホイールショップ」やら、行き先を京介に伝えてアジトを出る私が、今日は「ちょっと友達!」と言ってアジトを出たので、京介が心配したらしい。

私は、ちょっと友達の頼みでD・ホイールショップにパーツ買いにいってくる、ということを伝えたかったのだが、はしょりすぎた。


「だって、その、お前が、友達としか言わなかったから!」
「鬼柳、友達って誰だよまさか他の男じゃねーだろーな心配だぜ!って言いながら、俺を誘ってばるこの後を追ってたんだ。」
『京介…』


顔を少し赤くして、拗ねるようにそっぽをむく京介。


『かわええ…萌え。』
「え?」


そんなに私のことを思って…!


『京介可愛いよ!可愛いよ京介!』
「えっばるこおま…」
『ストーカーする君かわうぃーーーね!!!』
「ばっ、ストーカーじゃねえよ!」
「いや。鬼柳、ストーカーだろ。」
「ちげーよ遊星!」


その後、このかわうぃー京介は私が美味しく頂きました!
本当にありがとうございました!


しかしどこで見られてるか分からないから浮気しないようにしよーっと!しないけど!


今日も平和です!


+fin+





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