旅立ち!再会、脱出、謎の脅威*10
こんな悲しい戦い、早く終わらせてしまおう。
旅立ち!再会、脱出、謎の脅威*10
ぱち。
目を覚ますと、私はゴドウィン邸の門の前にいた。
深影さんやアキもいる。
「ばるこさん?!どうしてここに!?」
『に、二フラム唱えられたのかしら…』
「何言ってるのか全然わからないわ。」
「イッヒッヒッヒッヒ!そろそろくる頃だと思ってましたよ。 」
『!』
門前には、イェーガーが立っていた。
「おやおや、全員揃ってないようですね。それどころか、シグナーでない方がいらっしゃる。」
『すいませんね空気読めなくて。』
相変わらずイヤミな奴!
イェーガーは、世界で起こっていることを、知りたければデュエルでイェーガーに勝ち、門の向こうへ行けと言う。
アキはまだ戦えるだけの体力を回復していないので、私がデュエルをすることになった。
…だって深影さんがそう言うから。
「イッヒッヒ!これなら大丈夫かもしれませんね。」
『はいはい、ワロスワロス。』
イェーガーはデュエルで私に負けると、素直に門を開いた。
『ったく、何なのよ…』
グラグラグラっ…!
『ひぃぁあああ!』
「な、何が起こっていると言うの!?」
「見て!ゴドウィンの屋敷が!」
アキが指した方を見る。
2-3階建てと思われていたゴドウィン邸が、ぐいーーーん!と伸びる。
…伸びる。
まじか。
「一体どうなってるんだ!?」
『遊星!』
ゴドウィン邸に、遊星や牛尾さんも駆けつける。
『遊星ー!聞いてよ!私がイェーガーにデュエルでどーーーんって勝ったら、ごごごごーってなって、ゴドウィンの屋敷がぐいーーーんってなったのよ!』
「ばるこ、落ち着け。擬音語が多いと馬鹿に思われるぞ。」
『まぁそうなんだけど!』
「突然、ゴドウィンの屋敷の地下にあったはずの神殿がせり上がってきたの。とても禍々しい力を感じるわ。」
「ほら見ろばるこ、何が起こったか説明するときには…」
『わぁぁ、もういいよーお説教は!』
「ばるこ!お前はサティスファクション時代からだな、そういう…」
『ひえええ助けてアキ!深影さん!』
遊星は、神殿を確かめてくると、ゴドウィン邸の中に走って行く。
それにアキも続く。
『うーん。ここまで来たし、これは私も行くか!』
「ばるこさん、気をつけて。」
「龍可や龍亞もここに来るかもしれないな。俺がここで待ってるから、ばるこも行ってこい!」
私もゴドウィン邸に入って行く。
ゴドウィン邸に入るとすぐ、ゴドウィンが私たちを待ち構えていた。
「お待ちしておりましたよ。」
「ゴドウィン!これはどういうことだ!?それに、冥府の扉が開こうとしている…」
「そうです。あなた達は冥界の扉が開くのを阻止できなかった。」
「そんな!?それじゃぁ世界はもう…」
「終わりです。」
ちょっと待って?
『おかしくない?私達は夕暮れまでに、確かに制御装置は封印したし、ルドガーも倒した。なのに間に合わなかったって…』
「もうすぐ冥府の王がやってきます。」
『なんでよ?』
「私が呼んだからです。」
「まさかゴドウィン!貴様!」
遊星が叫ぶ。
ゴドウィンはくっくっく…とのどの奥で笑う。
すると、ゴドウィンにもダークシグナーのアザが黒く光る。
ゴドウィンが両手を空に掲げると、ゴドウィンのスーツがバリバリと破ける。
『誰ウマな変身シーンよ…』
スーパーサイヤ人になったゴドウィン。
上半身がムキムキ、裸になったゴドウィンは、さぁ始めようかとつぶやくとD・ホイールに乗る。
『どこ行くのよ!』
「これから我は儀式に入る。」
「やめろゴドウィン!」
遊星の止めに見向きもせず、ゴドウィンはD・ホイールで走り出す。
『止めるには、ゴドウィンにD・ホイールで追いつくしかないわね。』
「ゴドウィンの好きにはさせない!行くぞばるこ!」
『あいよ!遊星!!』
アキの見守る中、私と遊星はD・ホイールにまたがり、エンジンを入れる。
さすが遊星、さっきまで故障していたD・ホイールとは思えないような精度で走らせている。
遅れを取らないように、私もハンドルをしっかりと握り、遊星に続く。
ゴドウィンに追いついても、彼は何のために冥王を復活させるのか、口を割らなさそうだ。
私と遊星はデュエルディスクを構える。
「ふはは、いいだろう。二人一度に相手してやる。」
『私と遊星を一度に味わえるなんて贅沢すぎるわよ?』
「ばるこ、やつを倒せば可能性が見えてくるはずだ!」
何気に、遊星とタッグ組むのは初めてなんだけど…
「ばるこ、俺たちの絆を信じよう。」
『遊星、大丈夫。信じてるよ!』
チーム・サティスファクション!
\(`д´)ゝデュエッ!
「さすがだな。貴様らの力、十分に見させてもらった。」
げ。
デュエルで勝ったのに、ゴドウィンは嬉しそうに笑っている。
「やはり冥府の王に捧げるのにふさわしい!」
「なんだと!?まさか、このデュエルの意味は…」
『え、何。』
「気づいたか。儀式に必要なのは、シグナーの力の他に、優れたデュエリストの力なのだ。」
『試されてたってこと!』
ちょうど、そこにジャックや、龍可たちも到着する。
「冥府の王も現れたようだな。」
!!
遠くの方から、4つ足歩行で黒い大きな影が迫ってくる。
「ククク…これで条件は整った。」
シグナーが神殿に揃う。
ゴドウィンが、冥府の王を復活させた。
何の条件が揃ったのかは分からないが、確実にヤバイ気がしてならない。
「さぁ、始めようか。」
「何をする気だゴドウィン!」
『ボスの第二形態だわ…!』
ゴドウィンは、己の左腕にドラゴンヘッドのシグナーの証、右腕に鳥のダークシグナーの証を宿した。
「はっはっはっは!これで私はシグナーとダークシグナー、二つの力を有した!」
『ゆ、ゆーせー…どうしよ!』
「うっ、アザが!」
『えっ?』
遊星のシグナーのアザが光る。
そして、ジャックやアキ、龍可のアザも光を放つと消えてしまった。
『どうなってるの…?』
「かつて、我が兄ルドガーの体にはシグナーとダークシグナー、ふたつのアザが宿った。しかし、兄の心は邪神に支配されそうになった。」
ルドガー。
ダークシグナーの…
ゴドウィン長官のお兄さんだったのか。
「その時兄は、シグナーの証と共に自らの腕を切り落とし、我に託した。いつかシグナーが揃った時に、自分を含めたダークシグナーを倒すために。」
「しかし私は気づいた。シグナーがダークシグナーを倒しても、いずれダークシグナーは復活し、再び世界に危機が訪れると。」
そして、ゴドウィンは言う。
シグナーとダークシグナー、両方の力を得た彼が神になると。
冥府の王の力で世界を破壊し、赤き龍の力で世界を再生すると。
『意味わかんない!あんたのそのワガママのせいでどれだけの人が傷ついたと…!』
「ふざけるな!貴様の妄想になぜ俺が付き合わなければならぬ!」
「罪も無い人も消すというの!?そんなの…許されることじゃないわ!」
「ゴドウィン!お前は間違っている!その運命を打ち破るものは、神の力じゃない!俺たちみんなが抗い、戦い、勝ち取るものだ!」
私たちがどんなに言葉を叫んでも、ゴドウィンは聞く耳を持たない。
「ふん…無力な人間が、どうやって運命に抗おうと言うのだ。」
「それは、俺たちの絆だ!絆の力で、運命を変えてみせる!」
『遊星いいこと言うー!』
ゴドウィンは、くだらん、と吐き捨てる。
神殿は、けたたましい音と共に高さを増してゆく。
「私と戦いながら、私の高さまで登ってこれるかな?はははは!」
D・ホイールで神殿の階段を高く高く登って来いというのか。
一歩間違えれば、階段を踏み外してしまう。
とても危険なデュエルだ。
まぁ、この期に及んで危険だとな安全だとか関係ないんだけど。
「行くぞ、ばるこ!」
『おいっす!』
「!!…まだ直ってなかったのか!?」
『遊星?』
遊星のD・ホイールにエンジンがかからない。
京介とのライディングデュエルのダメージから、完全に回復していなかったようだ。
『ジャックは…?』
「ダークシグナーとの戦いで壊れてしまった…」
遊星とジャック以外に、D・ホイールに乗れるデュエリストはいない。
『・・・』
ここはーーー
「ばるこ!やめろ、無茶だ!」
『やめない!私はシグナーじゃない、でも、シグナーのみんなと繋がってるでしょ。絆でね!』
「ほう、シグナーでないものが向かって来るか。その勇気に免じて、全力で相手をしてやろう!!」
「ばるこ…」
『龍可?』
「精霊世界のみんなも、きっと力を貸してくれるわ…!」
『そうね…ありがと、龍可!!』
私はヘルメットをかぶり、D・ホイールのエンジンを入れた。
+continue+
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