旅立ち!再会、脱出、謎の脅威*6
ジャックは京介がダークシグナーになったことを聞くと、やはり驚いていたが、倒さなければならないと割り切ったように言った。
知っている。
ジャックだって、京介が好きだから、この事実はツライ。
そう、みんな京介が好きだから、京介が道を外したならそれを止めなければならないと思っている。
旅立ち!再会、脱出、謎の脅威*6
まず、私は龍可と精霊世界へ向かった。
エンシェント・フェアリー・ドラゴンを解放するためだ。
「おお、待っておったぞ!龍可ちゃんとばるこ!」
『久しぶりね、トルンカ!』
私はトルンカに挨拶をし、杖のお礼を言った。
せっかく精霊世界に戻って来たというのに、今度はレグルスが捕えられてしまったらしい。
仕方なく、私はゼーマンの気を引きに、龍可とトルンカはレグルスの救済に二手に分かれることにした。
「何だ、貴様は!」
『ごきげんよう!私はばるこ、エンシェント・フェアリーは解放してもらうわ!』
レグルス捕獲のせいか、ゼーマンの館は見張りが手薄だったようだ。
私はすぐにゼーマンの元にたどり着き、デュエルを申し込む。
ゼーマンの魔力が甘かったのか、マイナスの杖の暴走のせいでお互いのLPがジワジワ削られる中、私はゼーマンのライフを0にする。
「なかなかやるようだな。だが、この程度では私を倒すことはできんぞ!」
『デュエルに勝ったのに…ゼーマン、ピンピンしてるうう!』
「ばるこ!!」
その場に、レグルスが駆けつける。
龍可とトルンカも、レグルスを助け出すことに成功したみたいだ。
「ばるこ!あなたのもつマイナスの杖を貸してください!」
『あい!!』
私はレグルスの背中に乗り、トルンカがくれた杖をかざす。
レグルスは私を乗せたまま、ゼーマンに突っ込んでいく。
「ばるこ!レグルス!」
龍可の声が聞こえる。
私たちは白い光に包まれる。
何が起こってるか私もわからないが、ゼーマンとレグルスの叫び声が聞こえる。
ゼーマンは、ディマク様には敵わんわ!と言い残し、消えてしまった。
すると、ゼーマンの部屋に光が差し込む。
エンシェント・フェアリー・ドラゴンが解放されたのだ。
私たちはエンシェント・フェアリー・ドラゴンが解放され、精霊世界に平和が戻ったことにことに安堵する。
しかし、現実世界では龍亞が龍可の代わりにダークシグナーと戦っているという。
龍可、ばるこ、二人に神のご加護がありますように…
エンシェント・フェアリー・ドラゴンの祈りとトルンカの魔法に包まれ、私たちは龍亞の戦う旧モーメントへ送り出された。
「龍亞!」
龍可が叫ぶ。
龍亞はディマクというダークシグナーと戦っている。
しかし、傷つき、ライフも残り少なく、今にも倒れてしまいそうだ。
ディマクが龍亞にトドメを刺す前に、龍可が間に入る。
「おや、今度は本物のシグナー殿だ。お待ちしておりました。」
「私が相手よ!」
「勇ましいお嬢さんだ。いいだろう。」
「ばるこ、力を貸して。一緒に戦いましょう!」
『オーケー!龍可!』
精霊世界を共に守った、私と龍可のタッグでディマクに挑む。
「この私が、こんなところで負けるとは…ルドガー様、お許しを。この役立たずのディマクを!」
『ルドガー…?』
「ダークシグナーに栄光あれ!」
そう言い残すと、ディマクは黒い闇に包まれて消えた。
「勝ったわ…」
『うん…』
龍可はホッとした表情を浮かべる。
一方で私は、消えゆくディマクを見て強い不安を感じる。
シグナーとダークシグナーのデュエルでは、負けた方が消える。
つまり、京介と遊星が戦ったら…
「龍亞!」
「へへ、倒しちゃったな…俺が龍可を守るつもりだったのに、逆に助けられちゃった…」
「そんなことない!龍亞がいてくれたから私は頑張れたんだもの!」
龍可は制御装置を、エンシェント・フェアリー・ドラゴンのカードて封印した。
制御装置を封印したところに、牛尾さんがやってくる。
龍可は牛尾さんと、シグナーとのデュエルでボロボロの龍亞の手当をするため一度引き返すそうだ。
「ばるこはどうするの?」
『龍可…私は進むわ。』
「そっか…でも、無理はしないで。」
龍可、龍亞、牛尾さんと別れ、私は前に進む。
一人は不安だ。
でも、進めば京介に会える。
『!!』
私の目の前に、四輪のD・ホイールが止まる。
「お前は誰だ?シグナーの反応があったはずだが…」
『私はばるこ。ディマクなら倒したわよ?』
「まぁいい。私の名はボマー。」
ボマーは故郷、家族をゴドウィンのせいで失ったらしく、その復讐のためにダークシグナーとなったらしい。
私をシグナーを呼び寄せる囮とするため、ボマーは私にデュエルを申し込む。
ライディングデュエルだ。
『モンスターで攻撃、そしてスピードカウンターを4つ取り除いて800ポイントのダメージを与える!』
「ぐぁっ…!!」
私はボマーを倒す。
シグナーじゃないからってナメんじゃないわよ!
「くっ…これほどの実力者だったとは…しかし、これで良かったのかもしれない。」
『え?』
「デュエルの途中、弟達の声が聞こえた。」
『・・・』
「復讐をしても、故郷や家族が戻ってくるわけではない…」
『ボマー…』
「ありがとう…」
ボマーはデュエルの前とは全く違う、穏やかな顔で消えていった。
確かに、復讐をしても失ったものは返ってこない。
でも、きっとそんなこと、誰もが頭ではわかってるはずだ。
ただ、自分の気持ちが収まらないだけなんだ。
京介もきっとそうだ。
ゴゴゴゴゴ…
『!!』
不穏な音が聞こえる。
空に、巨人の絵が浮かぶ。
地縛神がどこかで召喚されている!!
私はその絵が浮かぶ方向へD・ホイールを走らせた。
「ひゃはははは!遊星〜!デュエルってのは楽しいな〜!」
「くっ…鬼柳、何故なんだ…」
地上絵の方角へ行く道は、炎が立ち込める。
まだ、地縛神の攻撃の余波もあり、進むにはかなり危険だ。
『っああ、きつ…!』
地面から燃え上がる炎、空中からの地縛神の圧力、D・ホイールがぐらつく。
私は必死に耐え、無我夢中で進んだ。
炎の道を抜けると、遊星が佇んでいた。
『遊星!』
「ばるこ…!」
『大丈夫?!』
「…ああ、鬼柳とライディングデュエルをしていたんだが、俺のD・ホイールが不調で走れなくなったんだ…。」
『不調…?うわ、D・ホイールがすごいダメージを受けてるみたい。D・ホイールをこれだけ破損させる地縛神の力って…』
私も遊星も、地縛神のその圧倒的な力に恐怖を覚える。
そのとき、背後からD・ホイールの鈍く響くエンジン音、そしてドリフトをしながらこちらにホイールを急停車させる、キィィィという音がした。
「遊星〜。D・ホイールの不調くらいで俺たちのデュエルが終わると思うなよ!」
『…京介…』
+continue+
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