旅立ち!再会、脱出、謎の脅威*3




私たちは、遊星に連れられ、ブートレグという地区の、雑賀さんのマンションに足を運んだ。











旅立ち!再会、脱出、謎の脅威*3










アキは医者によると問題ないそうで、今は雑賀さんがついてくれている。

私は雑賀さんのマンションの大きな部屋で、遊星と二人でいる。


「…それにしても、お前も大変だったようだな。」
『うん…まとめて言うと、京介が捕まって、実はセキュリティに潜入して、京介には会えなかったんだけど、それからダイダロスブリッジから飛んだり意識を飛ばしたり、精霊世界に行ったり、アルカディアムーブメントにいたり、精霊世界にまた行ったり。』
「そんなことがあったのか。」
『そんなすんなり話入る?今の、クロウだったら絶対頭爆発してるよ!』


遊星は何事もなかったかのように、フォーチュンカップのときに現れた赤い龍について話した。

シグナーとか地上絵、アザ、いろんなことを言われたが、私は遊星のように頭が良くないのであまりわからなかった。


「…それで、俺は嫌な予感がするんだ。話の筋は分かったか?」
『ん〜、わかんない☆ふふふっ☆』
「おま、ばるこ…」


遊星が半ば飽きれて私を見るところに、雑賀さんが現れた。
私をパシってバーに届け物をしたいそうだ。


『マスターへの届け物?』
「よろしく頼んだぞ。」
『あい。』


よく分からないが、遊星はこの雑賀さんにとてもお世話になっているらしい。
遊星が、雑賀さんのことなら何でも手伝うというのだから、私も雑賀さんのことはできるかぎり協力しようと思った。


『ところで遊星。』
「何だ。」
『私がいなくなってから、何年経ったの?』
「3年だ。」
『!!』


さ、さささささささささささささささささささささささささささささささささささ


さんねん!!!!

さんねん!!!!


『3年経ったら私今何歳よ!まじで!私の青春いっぱいヒストリーに3年の空白が!まじか!ふっざけんなよディバインあのやろー!3年あったら結婚妊娠出産いろんなイベントできるわ!』
「落ち着けばるこ…」


私は遊星の言うとおり心を落ち着かせ、遊星に今までで一番聞きたかったことを問う。




『…京介、は…?』


無言で首を振る遊星。


それが問う意味なのか


会えなくてわからないのか

それとも…


私は、わかった、と一言だけ言って、マンショんを出た。


ここの地区は、シティほど綺麗でもないし、治安もよくなさそうだが、サテライトほど暗くはない。

3年経っても格差は変わらないのね。


京介に、会いたいなぁ…

生きているかも、これから会えるかもわからない。


私は、不安定な気持ちのままお使いをすませマンションに戻った。

戻ると、雑賀は出かけなければならないらしく、私と遊星は夜の間、留守番をすることになった。


ーーー真夜中。

私は胸騒ぎがして目を覚ました。


『ゆーせー…?』


返事はない。


部屋に遊星はいない。

嫌な予感がして部屋を出ると、遊星がクモのアザのある町民に襲われている。


「ばるこ!」
『遊星!これは!?』
「こいつら、クモのアザがある!十六夜のところにも一人のデュエリストの波動を感じるんだ!」
『わかった、見てくる!』


私がアキの部屋に行くと、男が一人デュエルディスクを構えている。
アキは戦える状態じゃない。


『あんたの相手は私!』
「・・・」


私は男の前に立ちはだかる。



男をデュエルで下すと、男は正気を取り戻す。
記憶がないようなので、いいように言ってマンションから帰した。


「はぁ、はぁ…ばるこ、ありがとう。」
『大丈夫?まだ体つらいよね、ゆっくり休んで。』


私がアキをベッドに戻そうとすると、アキが突然頭を抱えて叫ぶ。


「アアアッ…!」
『え、ちょ、アキ!?』
「破壊する…全て破壊する。」


アキの目つきが変わる。

ひええええ!

そうか、体調も悪いし気持ちも不安定だからサイキックの力が上手くコントロールできなくなったのね…!


「私はひとりぼっち。誰もいない…誰もいらない…」
『大丈夫よ、アキ!』
「こんな世界、壊れてしまえばいい!あなたも壊れてしまえ!」


アキのサイキックパワーに圧倒されつつも、アキを助けるべく、私は立ち向かった。

デュエルが終わると、アキは涙を流して膝をつく。


「やはりこのアザ、忌むべきものだった…なにがシグナーだ。この世で私を受け入れてくれたのはディバインだけ…」


ディバインの死が、アキの精神に相当なダメージだったらしい。
そりゃそうだ。

私だって…


「ディバインのいない世界なんか、壊してやる!」
『アキ!』
「アキ!俺の目を見ろ!」
「!」
「俺たちが受け入れる!俺やばるこ、仲間たちが!」
『アキさえ望めば、そこがあなたの居場所だからね!』
「みんなこのアザに引き寄せられる。そして、仲間になっていく。忌むべき印じゃない。」
「仲間…?」
「ああ、俺たちは仲間だ。少なくとも俺はそう思っているし、ばるこだってそう思っているはずだ。」
『いぇーす!』
「この私が仲間だっていうの?」
『ね、遊星!』
「ああ、俺たちは仲間だ。」


私たちは、少し分かり合えた気がした。


翌日。


『ゆーせー、アキ、おっはー!』
「ばるこ。ありがとう、昨日はあなたがいたから、遊星の言葉が届いたわ。」
『いーえ!』
「でもあなた、アルカディアムーブメントにいたわよね?遊星の仲間だったなんて知らなかったわ。」
「ああ、どうやら洗脳されていたらしい。」
『そして3年というわたしの空白の青春時代が。』
「そう、そんなことをしていたのね…」
「ばるこ、根に持ちすぎだ。後悔しても、なんの前触れもなくばるこに来てしまった適齢期は今だ。早く人間として落ち着け。」
『何よ適齢期って!そして余計なお世話よ!同い年のくせに!』
「ふふっ…仲いいのね。」


そんな会話をする中、訪問者が現れた。

狭霧深影さん。
治安維持局の人だ。

遊星とアキがゴドウィン長官に呼ばれているらしい。

ゴドウィンは信用できる相手ではないが、この世界で起こっていることを知っているのは彼だけなので、遊星はゴドウィンに会いに行くつもりだ。


「遊星。ゴドウィンの誘いに乗るつもりか。」


マンションを出ると、ジャックがいた。


『うぇーい!ジャック!うぇーい!』


私が真っ正面からジャックに向かい、両手をジャックの脇に突っ込むと、案の定ジャックは驚き、取り乱す。


「な!なんだ貴様!こ、こ、このジャック・アトラス様の聖域にっ…、ばるこ?!」
『何が脇が聖域だこら。ばるこだよーん!』


ちなみに、深影さんは私がジャックの脇に手を突っ込んだのを見て、何も言わなかったが苦笑いでおでこに青筋を浮かべていたので、怒ってるなと思った。


「なぜここに!?…いや、それよりも生きていたとは…」
『勝手に殺すな。』
「アルカディアムーブメントに囚われていたらしい。」
『それでこの服。どー?似合ってる?』
「ふん、貴様にはあのジャケットがお似合いだ。」
『ふん、ジャックもね。』
「何だと!」


久しぶりの再会にも関わらず火花を散らす私とジャックに、深影さんは時間がないと急かす。





私たちはゴドウィン長官のもとに訪れた。


数千年前、冥府の王が世界を破壊しようとしたとき、赤き龍が降臨し、大地に封印した。
しかし、ダークシグナーがそれを復活させようとしている。
遊星たちシグナーは、冥府の王を復活させないよう、ダークシグナーを阻止しなければならないらしい。

私たちのいたサテライトにある、旧モーメント、そこが冥府の王の復活する場所らしい。
世界を救うため、旧モーメントにある制御装置の封印、それが今のシグナーに託された使命なのだとか。


遊星は、信じられる話ではないが、かけがえのない仲間のいるサテライトの危機を救いたいと言う。

シグナーではないが、私もそうだ。

サティスファクションのみんな、そして京介との思い出の場所。

私たちは、決心した。


+continue+




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