出会い、精霊世界と新たな仲間*1
……誰か…
誰か…
私は今、精霊世界で囚われているの。
お願い、助けて…
誰か…この声が届いて、お願い…!
出会い、精霊世界と新たな仲間*1
『…はっ!』
目が覚めると、私は森の中で寝ていた。
地面に直に横になっているとは…むさすがにサテライトでもなかったな…
いてて、と腰をさすりながら、私は起きる。
『この森は…』
私がダイダロスブリッジから飛んで、ついでに意識も飛んだ後に見た夢の森だった。
精霊世界、ここが…!
『疾風の暗黒騎士ガイア…おはー。』
「はい、ばるこ。おはようございます。」
『まじで精霊世界なのね…』
「そうです。声、聞こえましたか?この世界に、人間の女の子が囚われています。」
『助けて、って言ってた…行こ、疾風の暗黒騎士ガイア!』
「はい!」
私が先の道を進もうとすると、大きな木がそびえ立ち、行く手を阻んでいる。
『なにこれ!…登るか?』
「ちょっと無理そうですね…」
『いきなり壁が立ちはだかるなんて…って、何これ?』
私は土に棒のようなものが突き刺さっていることに気づいた。
棒の先には、2本の金の角のようなものがついている。
「杖のようですね。」
『うわ、なんか懐かしい…昔よくヒロインごっことかしてたんだけど、こーゆーロッドみたいなの振り回して、魔法〜とか言って遊んでた!』
私は土からその杖を抜き、手にとった。
『うわー、こーゆーのジャンクの山で拾ってね、相手にね、こう、ぱるぷんて!!!みたいな!』
私は笑いながら先ほどの大樹に杖を向ける。
すると、なんと持っていた杖が光って消え、目の前の大樹は小さな苗木になった。
「・・・」
『まじで?』
私と疾風の暗黒騎士ガイアは目を丸くさせた。
まさか、私まじで魔法使えるようになったんじゃ…
「あ!聞いたことがあります。カースド・ニードル、自然現象を逆転させる杖。」
『カースド・ニードル!』
私は道を進むと、何やら迷路のような場所に出た。
「辺りを見回すと、ところどころにカースド・ニードルが突き刺さっていますね。これで大樹を消しながら進めということでしょうか。」
『カースド・ニードルは1回使えば消えてしまう…使いどころを考えなきゃね。』
「大丈夫ですか、ばるこ?」
『こーゆーのまじで苦手なわけだが…ねぇ疾風の暗黒騎士ガイア代わりに考えてよ。』
「ちょっとばるこ!精霊世界と人間世界の平和はばるこにかかってるんですよ!ちゃんとしてください!」
『はは…だよねぇ。』
なんとか迷路を抜けると、街が見えた。
『綺麗な町なのに、誰もいない…』
英国風の綺麗な建物のある町だが、人の気配が全くしない。
不審に思うと、物陰からから何者かに呼ばれる。
「こっちじゃこっちじゃ。早くこっちに隠れるんじゃ。」
『隠れる…!?』
何か良くない気がして、手招きされるままに声の方へ行く。
私が隠れると、大通りでは猿が何者かを探すように歩いている。
しばらくすると、猿は私のいた道を通り、どこかへ行ってしまった。
「ふぅ、危ないところじゃったの。」
『あ、ありがとう!あなたは?』
「ワシはトルンカじゃ。」
『トルンカね。私はばるこよ。』
トルンカ、という可愛い魔法使いのコスプレロリータにお礼を言う。
「おぬし、人間じゃな。」
『うむ、いかにも。』
「ここにいるということは、選ばれた人間であるということじゃ。」
『運命でござるな。』
「さっきのはゼーマンの手下じゃ。今、この世界は猿魔王ゼーマンによって支配されているのじゃ。」
『ややっ、なにやつ!それは許し難き!』
「…なんじゃ。ばるこは武士の末裔か?変わったしゃべり方をするのう。」
『トルンカの話し方うつった。』
「そんな話し方はしとらん!」
『えー、そうかな!でもトルンカ可愛いよね!ロリ魔法使いのおじいさん言葉使いは可愛いね!可愛いよトルンカ!』
「誰がロリ魔法使いじゃ!ワシはこう見えても、元はダンディでイカした魔法使いじゃよ!」
『ダンディ…えっ何トルンカ男の子!?えっ男の娘!?』
「当たり前じゃ!ワシは今でこそそんな姿じゃが、本当は少し枯れたところが渋くて素敵な魔法使いじゃ!」
『にわかに信じがたし。…でもなんで??』
「ゼーマンの呪いじゃ。」
トルンカは眉尻を下げて話す。
カースド・ニードル、猿魔王ゼーマンはその杖を使って、精霊たちを捕まえているらしい。
そのカースド・ニードルのマイナスの効果によって、トルンカは幼い容姿になってしまったらしい。
なんてオイシイ…!!
「というわけで、行くぞ!」
『えっ、どこに!?』
「そんなもの、ゼーマンの館に決まっておろう!」
『あ、あ、あ〜、そういうこと!』
「あれ?そういえば言ってなかったような…」
『うん…聞いてない…。』
どうやらこのショタっ子魔法使い、おっちょこちょいらしい。
どこまでもオイシイ設定の奴だ!
トルンカに話を詳しく聞くと、この世界にもう一人、龍可ちゃんという女の子がエンシェント・フェアリー様を解放するためにやって来たらしい。しかし、トルンカのおっちょこちょいのせいで、龍可ちゃんだけがゼーマンに捕まってしまったらしい。
これまで私がこれまでに何度か聞こえていた声は、龍可ちゃんからの助けを求めるサインだったのか。
精霊世界と繋がっているという私の運命に従って、これは助けに行くしかない!
『行くわよ、トルンカ!』
「おお、さすがはワシが見込んだだけのことはある!」
私はトルンカの案内で、ゼーマンの館に向かった。
+continue+
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