過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*13
約束したの、
会いに行くと。
過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*13
私はB.A.Dエリアを歩き、京介との思い出にふけっていた。
約束通り夕方にはクロウのアジトに戻り、早めに体を休めた。
そして夜もまだふけない時間、私は目を覚まし、鏡の前に立つ。
服は、サティスファクションのものではない。
デッキを取り返すため、クロウにもらっていたいつかのセキュリティの制服である。
あの時使用したカードキーも健在である。
これで堂々とセキュリティ内に侵入できるほど甘くはないと思うが、うまく行けば京介に会いにいけるかもしれない。
着替えた服をたたんでいると、サティスファクションのチームの証ともいえるベストから、1枚のカードが出てきた。
これは、京介のカードだ。
いつのまに紛れていたのだろうか。
私はそのカードを制服のポケットに入れ、身だしなみを確認すると、クロウのアジトを後にした。
『…お疲れ様です。』
「お疲れ様です。」
門の入り口に立つセキュリティに挨拶をすると、カードキーで入り口を開けて中に入った。
潜入したものの、京介はどこにいるのか、牢屋の場所がわからない。
しまった、ここで変な動きをすれば怪しまれる。
とりあえず人目のつかない場所で考えるため、私は個室で一人になれるよう、女子トイレに入った。
「…ばるこ。」
『疾風の暗黒騎士ガイア。』
「私が牢屋の道を探してきましょう。セキュリティには私が見えませんから。」
『確かに!…お願いできる?』
「はい。私がばること出会えたのも、運命か、しかしそれも鬼柳のおかげですから。」
『ありがとう、疾風の暗黒騎士ガイア。…頼んだわよ!』
「はい!」
しばらくして、道を見つけて戻ってきた疾風の暗黒騎士ガイアに案内をしてもらい、私は牢屋まで進む。
牢屋に入る手前で、人の声と鈍い音がした。
「このサテライトのごみくずが!」
「うぁっ…かはぁっ!!」
看守が囚人に暴力を振るっているのだとすぐに分かった。
「サテライト統一だと…ふざけてやがる!ごみ野郎のくせに!」
看守の蔑むような罵声で、暴力の対象である囚人が京介だと知る。
『…っ!』
「行ってはいけませんばるこ!今行けばここまでセキュリティに模して潜入した意味がなくなります!!」
『くっ…京介…こんな目に……』
私は今にも走り出しそうな我が身を必死で抑え、看守が京介の元から去るのを待った。
京介の悲痛な声が、私の身をも引き裂いてしまいそうだった。
なぜ京介がこんな目に合わなければならないのかと思うと、嗚咽が止まらない。
「ばるこ、ひとまず看守が行ったようですね。しかしいつ戻ってくるかわかりません。なるべく足音を立てず行きましょう。」
私は泣くのを必死で抑え、疾風の暗黒騎士ガイアの言葉に黙って頷くと牢屋へ進む。
京介……!!
京介は疲労困憊した様子で、ぼんやりと小さな窓から外を見ている。
こちらに気づく気配はない。
看守は次の暴力のターゲットを別の場所で見つけたようで、先ほどのような罵声が道を曲がった先の部屋から聞こえてくる。
京介の名を呼びたいが、一切音を立てることのできない状況で、私は葛藤を感じた。
すぐそばに、目の前にいるのに…
京介は今にも意識を手放しそうな状況で、気づいてくれない。
せめて手を伸ばそうとしたその時。
「ったくどいつもこいつもすぐくたばっちまう!ホネのねぇごみくずだ!…さっきのサテライト統一の野郎に戻るか。」
部屋の奥から看守の声が聞こえてくる。
こいつ、また京介を痛めつけるつもりだ!!
私は冷静さを欠き、デュエルディスクを構えようとするが、疾風の暗黒騎士ガイアの制止で我に返る。
今私が京介を助けようとすれば、きっと京介はもっともっと想像できないくらいひどい目に遭う。
とっさに、私はポケットのカードを取り出し、牢屋の鉄格子の隙間から京介にカードを投げつける。
そして看守がこちらへ戻る一瞬前に牢獄を後にした。
「…カード…?っ、ばるこ…!」
力なくカードを見る京介が、かすかな声で私の名を呼んだのを、私は聞くことができなかった。
私は急いでセキュリティの建物から出ると、真っ先にダイダロスブリッジへ向かった。
『私、もしこの先京介が猥褻罪か何かで捕まっても会いに行くね!』
「なんで猥褻罪なんだよ!…だいたい、セキュリティに捕まったら会えねえだろーが…」
『そう、なんだ…じゃぁ、私も翔ぶわ。』
「はぁ!?」
『ここから飛べば、セキュリティの牢獄からも見える気がする。』
「本気かよ…」
『京介が捕まったらね。』
あの日の会話を、京介は覚えてる?
牢獄では、看守が京介を再び痛めつける前に、セキュリティに呼ばれてどこかへ行った。
「っく…身体が痛ぇ…ばるこ、あいつまさか本当に…」
京介は痛む身体を引きずるようにして、窓から外を見た。
夕日が見えるのと逆の方角から朝日の光を受けるダイダロスブリッジが目に入る。
「眩し…、!!あれは」
光の中に見える、ダイダロスブリッジに立つ人影。
「…ばるこ…!!」
私は京介がこちらを見ているか、ダイダロスブリッジからセキュリティは遠すぎて、わかるはずがなかったが、きっと京介は気づいてこちらを見ている気がしていた。
『京介ーーー!私たちはいつも一緒よ!!』
私は、翔んだ。
+continue+
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