カードショップ




「じゃぁいいカード引いた方が勝ちな。」
『じゃぁそのいいカードの基準は私の独断と偏見ね!』
「ぜってー勝てねえな、チートか!」
『京介こそ。』











カードショップ










私はカードショップの前にいる。
ここは、デュエルポイント、といつデュエルに勝つともらえるポイントでカードを購入することができる。

私と京介は、いい人も悪い人も含め、よくサテライトの住人とデュエルをしては、たまったポイントでカードを買いに来ていた。

冒頭のようなやりとりと、京介とよくしたものだ。


「じゃぁ開けるぜ!」
『私も!』
「おお…」
『なに?どーだった?』
「俺が開けたパックにはこれが入ってたぜ!どうだ!」
『疾風の暗黒騎士ガイア…!すごいね!いいなー京介!』
「どうだー!俺の勝ちな!」


ヒャーハハハ、とテンションの高まる京介を思い出す。


『京介の勝ちでいいよ!そのカードちょうだい!』
「お前遠慮ないな!」
『私、京介にも運命感じるけどそのカードにも運命感じる!』
「なんつー口説き方だよ!…まぁ、俺のデッキには入れれねえカードだしな…やる。」
『まじでっ!やたー!疾風の暗黒騎士ガイアゲットだぜ!』
「おう、良かったなばるこ。」
『嬉しいー!ひゃーはは!』
「その喜び方はやめろ。」
『京介のマネなのに?』
「おいカード返せよ。」
『あはは、ごめんってー!ありがとう京介!ちゅ!』
「おまっ…!」


後にカードの精霊となって私の目の前に現れる疾風の暗黒騎士ガイアは、このとき京介にもらったカードだった。
私は京介がカードをくれたことが嬉しくてほっぺたにキスしたのを、京介がめちゃくちゃ照れてたのを思い出す。


『ありがとう、等価交換には程遠いかもしれないけど、これあげる。』
「これは?」
『今、私の開けたパックに入ってたの。』
「悪鬼蹂躙…直接攻撃以外の相手へのダメージを2倍にするトラップカードか。」
『容赦ない京介にぴったりだね!』
「複雑な気持ちだが、確かにこれは使えるぜ!サンキューばるこ!俺もお礼にキスしてやろーか?」
『いらない!』
「何でだよ!」


そうだ、初めて私がデッキを作ったときのことを思い出した。

私は京介と会ってからしばらくは、自分のデッキを持っていなかった。
デュエルということも、デッキの組み方、ルール、私にすべてを教えてくれたのは京介だった。


「ばるこもそろそろデュエルのルールも覚えたし、自分の好きなデッキ作って満足したくなってきただろ?」
『確かに。京介のお下がりデッキも強いし楽しいけど、ちょっと満足できないわ!私、前に京介がくれた疾風の暗黒騎士ガイアを活かせるようなデッキで満足したい!』
「じゃぁ俺の他のあまりカードと…ジャンクから拾って来たやつと…よし、またデュエルポイント貯めてパック買うか!」
『うん!』


パックを買ったり、カードを交換したり、ショップにいる子供に負けてガチで泣いて京介に慰められたり、レジのブラックマジシャンガールのコスプレしたお姉さんに京介がデレデレしてたからしばいたり、その後拗ねてたら京介がどこのジャンクから見つけて来たのかブラックマジシャンガールのコスプレ持って来てこれ着て今日の夜は師弟プレイしようぜとか言い出して喧嘩になったり


このカードショップには思い出がいっぱいあった。


久しぶりにカードショップに入ると、レジにいるブラックマジシャンガールのお姉さんのうち、占いを副業にしているお姉さんに話しかけられる。


「そなたは久しく顔を見かけていなかったな。」
『最近いろいろあって…』


昔、まだ京介と出会って間もなく、付き合う前はいろいろ、カードも買わないくせに占ってもらっていた。
今思い出すと、あの頃はただ京介のそばに居たくて、どうしたら恋愛に興味のなさそうな彼に振り向いてもらえるか必死だった。
そばに居たいのは今も変わらないが…


「元気ないな。今日は特別にデュエルポイントなしで占ってしんぜよう。」
『ほんとですか?ありがとう!』
「ふむ…時には立ち止まることも良し、とな。最近いろいろあったと言っていたな?今日はゆっくり思い出にふけり休まれるとよかろう。」
『思い出に…そうね。ありがとう!そうします。』


私はカードショップを後にした。


+continue+




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