過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*12
外が、セキュリティのパトカーの灯りで眩しい。
私が目を瞑ったのは、その灯りのせいなのか、目前の未来を見たくないからか…
過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*12
「俺が、サティスファクションのリーダーだ。」
入り口を出ると、セキュリティが待ち構えていた。
遊星はゆっくりとセキュリティの前に歩み出ると、自分がリーダーだと申し出た。
「セキュリティを襲ったのは俺だ。他の奴らは関係ない。」
「……」
ところが、セキュリティは黙ってこちらを見るだけであった。
「どうした!俺を捕まえろ!」
遊星がセキュリティに駆け寄る。
するとセキュリティは、冷静に、私たちに告げる。
「確かに、私達が確保すべきはサティスファクションのリーダー。…だから、貴様らにはもう用はない、帰れ。」
『…えっ?』
「どういうことだ!?」
「あれを見ろ。」
私たちはセキュリティの指す方に目をやる。
今、私の一番見たくないーー
『きょ…すけ……?』
「ちなみに、一緒だった二人はもう帰ってもらった。抵抗したようだが、無駄なあがきだ。セキュリティへの反逆は、第一級犯罪だ。二度と奴に会えると思なよ。」
京介がセキュリティに捕まっている。
身動きができず、ただ叫ぶ京介。
どうして?
裏口から逃げたんじゃなかったの?
「遊星!俺を売ったな!裏切ったんだな!!」
「違う!鬼柳!俺はーー」
「俺たちは仲間じゃなかったのか!遊星!!」
『京介!!!!!!』
「ばるこ!お前も、俺と同じ墓に入るんじゃなかったのかよ!お前も来いよ!!!なぁ!!」
『行く!私も…!!京介えええ!!』
私は京介の元へ走ろうと思った。
京介がセキュリティに捕まるなら、私だって一緒についていこうと思った。
京介と一緒なら、どんな牢獄でも行くーーー
「貴様は来るな!」
『っ!!』
セキュリティは私が走り寄るのを3人掛かりで阻止する。
『やだやだ!行かないで京介!やだぁぁぁーーーー!京介ーーーー!』
遊星ーーーーーー!
ばるこーーーーー!
京介の叫ぶ声だけが、いつまでも私の耳に響いた。
「鬼柳……そんな…俺は……」
遊星も、目を瞑り、下を向いて拳を震わせていた。
ーーこうして、チーム・サティスファクションは、一時はサテライトを統一したが、その歴史に幕をおろしたのであった…
私はクロウのアジトにいた。
京介の部屋は、京介を思い出してつらい。
京介を忘れるためではないし、もちろん忘れたくはないが、その部屋に一人でいると、寂しさや自責の念で、命を絶ってしまいそうだった。
「鬼柳の奴、どうなるんだろうな…」
『……』
「お前も疲れてるだろ?今日はもう休んだ方がいいぜ?」
『…うん…』
クロウに休めと言われたが、そんな気にもなれない。
私は一人、フラフラとクロウのアジトを出た。
「ばるこ、どこ行くんだ?大丈夫か?」
『うん…夕方には帰るね。』
「おう…」
クロウのアジトの外では、イツキとアニーが心配そうに私を見る。
「鬼柳兄ちゃん捕まっちゃったの?もう会えないの?」
『イツキ…ね、せっかく私、イツキのおかげて京介と仲直り出来たのにな…』
「ばるこ、元気出してね…」
『アニー、ありがとう。大丈夫だから、心配しないで。』
まだこんな小さいのに、大人の私を気遣ってくれるイツキとアニーはいい子だ。
あの時、サティスファクションのアジトでセキュリティに追い詰められたとき、遊星の判断がなければ、私は後先考えず、京介について一緒にサテライトを襲撃しようとしていたかもしれない。
しかし、そうしたら彼らのような何も悪くない子供たちまで巻き込んでいたのだ。
遊星の判断、京介が捕まったという事実、これは間違ってはなかったのだとも思う。
「鬼柳は俺を恨んでいるだろうな…」
遊星は、そう自分を責めていた。
私だって、それ以前に京介の焦りや心の闇を払拭できていたらと思うと自分を責めても責めきれない。
今はまだ、京介が捕まったなんて、京介ともう会えないなんて考えたくない。
私は過去の思い出にすがるように、B.A.Dエリアを歩いた。
+continue+
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