過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*7
「ウワァァァァ!!」
!!
遊星の声だ!
過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*7
「遊星!しっかりしろ!!すぐに引き上げてやるからな!!」
さきほど私と京介は遊星と合流した。
ところがすぐに遊星は相手の罠にかかり、屋上から落下して、とっさのところで京介が腕で引っ張り上げようとしている。
鉄の手すりが曲がり崩れており、この建物が非常に老朽化しているのがわかる。
『遊星!左手!私にも捕まって!!』
「鬼柳!!ばるこ!!もういい!離してくれ!このままじゃお前たちまで…!」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!俺がお前を見捨てるなんてするわけがねぇ…できるわけねえだろうが!!」
「鬼柳…」
『それ!遊星、前の争奪戦のときにも言ったの忘れた?』
「お前は…俺の…仲間だ!」
「ばるこ、鬼柳…!」
しかし、腕だけで男一人を持ち上げるのはかなりキツイ。
遊星が左腕を上げて私に捕まろうとしたが、不運にもデュエルディスクが折れ曲がった鉄格子にひっかかってしまった。
やばいこのままじゃーーー
その時、最悪なことに相手チームのボスが高笑いをしながら現れる。
「グワッハッハッハ!いい見せモンだぜ、お前ら!しかしそんな友情ごっこもいつまで続けられるかな?」
どいつもこいつも、サテライトにはシャレになんない罠を仕掛ける奴ばっかり…!
「ちょっと痛めつけたら、すぐにでも手を離すだろうよ。」
ボスは鬼柳の手を踏むつもりだ!
私はボスの前に、鬼柳や遊星をかばうように立ちはだかる。
「なんだぁ、お前は…!ああ、そいつらの仲間か。ふん、一緒に痛めつけてやるよ。仲良く落っことしてやるから安心しな。」
『京介と一緒の墓に入るなら本望だわ。…ただし、あんたは一度きっきりシメる!!』
「ばるこ!!こっちは大丈夫だ、俺に任せろ!お前はそいつをぶっ潰せ!」
『任せて、リーダー!』
「ふん、お前みたいなやつが俺に勝てるとはとても思わないがな。」
『・・・』
私は無言でデュエルディスクを構える。
「そうか、引く気はないか…それなら相手してやるよ!!」
六武衆モンスターのデッキはかなり手強い。
1対召喚されると、モンスター効果で星5つのモンスターも特殊召喚されてしまう。
こちらの攻撃力を下げる六武衆の城…フィールド魔法も厄介だ。
しかし、私は怒っている。
こいつを倒せばサテライト統一だが、それより何より仲間をキケンな目に遭わせられたのが許せない。
「ばるこ、行きましょう!!」
『…!疾風の暗黒騎士ガイア!』
私の身のピンチの時には京介が、デュエルのピンチのときには精霊が助けてくれる。
『これで最後ね!』
「ぐわぁぁっ!」
私のモンスターの攻撃が決まり、ノンセキュリティのボスを下す!
「なかなかやるじゃねーか…!」
『ふん!』
…はっ!
京介、遊星は…!?
「よお。愉快なマネしてくれたじゃねえか。」
京介が不敵な笑みを浮かべ歩いてくる。
遊星も一緒だ!
「ゲッ、お前らいつの間に!?…クソッ!」
ボスは一目散に逃げて行った。
「ケッ!情けねえ奴だぜ!」
京介が吐き捨てる。
すると、遊星が申し訳なさそうな顔で口を開く。
「鬼柳、ばるこ、すまなかった…」
「なに言ってんだ遊星!俺たちは仲間じゃねえか。助けるのは当たり前だぜ!」
「ああ、この前もばるこに言われたな。」
『うんうん、私たちはかけがえのない仲間よ!』
「それに……これでこのエリアも制圧だ!」
『と、いうことは…!』
「ついにサテライト統一だぜ!!」
「そうだな、俺たちの念願がかなったんだ。」
『ねぇ、ほんと…すごいね!ねぇ!』
私はまだ実感が湧かないが、ノンセキュリティのボスを倒したということは、そういうことだ。
「それにしても、最後のボスもばるこに倒されちまったぜ。」
『ねぇ、京介、ほんと不思議なシナリオだね!』
ジャックとクロウと合流し、アジトに戻る。
みんなで地図を黒く塗りつぶし…
「全く、俺は最高の仲間を持ったぜ!チーム・サティスファクション、サテライト統一だ!!」
京介が真っ黒になったサテライトの地図を空に投げる。
この地図が全部黒く塗りつぶされることで、私はやっとサテライトを統一した実感が湧くのであった。
みんなで笑い、最高の時を過ごした。
ーーーその夜
「ったく、今日はいい一日だったぜ!」
『本当にサテライト統一しちゃったんだねぇ…私たちがこの界隈で最強のチームかぁ』
「まぁ、ばるこお前、ボス相手になかなか苦戦してたみてぇだけどな?」
『う、うるさいな!勝ったからいいの!結果オーライ!』
「はは、まぁばるこが俺と同じ墓に入っても本望だってのも分かったしな!」
『あ、そういや言ってたなぁそれ。』
明日から何しようかなぁ…
もうエリア争奪をする相手も、襲って来る相手もいない。
ゆっくりできるし、イツキやアニーとまたデュエルして遊んであげよーっと。
私はそんなことを考えていた。
でも、それより今は京介とゆっくりしたい。
『ねー、京介。手ぇつないで寝てよ。』
「え?おぅ、いいぜ。」
ベッドに仲良く横に寝ている私たちは、手を繋いだ。
『ありがとう、今日。』
「うん?」
『迷子になった時、助けにきてくれて。』
今日はいろいろあったけど、やはり目に浮かぶのは、相手のアジトで道をなくして私が泣いている時、どこからかやってきて手を差し伸べてくれた京介だ。
京介、私といい遊星といい、今日は仲間を助けまくりだなぁ。
さすがリーダーだ!素敵!
そんなことを思い出し、余韻に浸る私と、笑い出す京介。
…え、なんで笑ってんの。
「迷子な…ぷぷ、そんな年じゃねえのによ!」
『んなっ!!』
「可愛い可愛い俺のばるこはもう子どもじゃねえのに迷子になるんでちゅね〜よしよし〜」
『ば、ばか!ちくしょう!言い返せない!でも子どもじゃないもん!』
こんなしょーもない会話ですら愛しい京介との時間。
これからも続くだろうか。
『子どもじゃないわ…。私は…オトナの悦びを知ってしまった、一人のオンナよ。』
「…それを教えてしまった俺も立派な一人のオトコだよ、ははは。」
『そんな乾いた笑いを。』
そんな話をしながら、疲れた私たちはいつの間にか眠りにつくのであった。
+continue+
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