過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*4




『ふんふふーん♪』


私は機嫌良くスキップしていた。

その前を2台のD・ホイールが駆けていく。


『なんじゃありゃ?』











過去へ!よみがえる記憶、チームの絆*4











『クっロウー!あっそぼー!』
「よう、ばるこ。」


クロウのところへ遊びに来たのだが、丁度そこへ慌てる様子のアニーが走って来た。
アニーとは、イツキと同じ年くらいの小さな女の子で、クロウがよく面倒を見ている。


『どうしたの、アニー。』
「クロウ兄ちゃん!大変だよ!イツキがさらわれちゃったよ!」
「なんだって?!誰にさらわれたんだ?!」
「わかんない…でもD・ホイールで連れて行かれたの!」
「ちくしょう!どこに行きやがったんだ!!」
『あっ、私見た!怪しいD・ホイール!』
「よし!追いかけるぞ!アニーは家の中にいろ!」
「わ、わかった!ちゃんとイツキを助けてきてね!」
『任せて!』
「ばるこ姉ちゃん、待ってるからね!」


あんな小さな男の子を誘拐するなんて許せない。
これは私たちをおびき出す作戦ね。
サテライト…卑怯な奴ばっかりだわ…!!


「ばるこがD・ホイールで先行してくれ!急ぐぞ!」
『うん、行くわよ!!』


少し行くと、イツキが2人組の男に連れられ建物に入ろうとするのが見えた。


『そこまでよ!!』
「てめぇらはチーム・ダーティワークス!イツキを返しやがれ!!」


私たちが後ろから叫ぶと、男たちはびっくりした顔で振り返る。


「クソ!まさか追いつかれるとは!チーム・サティスファクションめ!」
『私のD・ホイールのスピードなめんじゃないわよ!覚悟しなさいよ!』
「こうなったらデュエルだ!」


男たちはデュエルをふっかけてきた。
しかし、そんな卑怯な相手に負ける私たちではない。
軽く倒してやる。


「お前、なかなかやるじゃねーか。」
『うるさいバカ。あんたたちみたいなのに負けるわけないわよ!』
「ち、ちくしょう!覚えてやがれ〜!」
「逃げて済むと思なよ!」


ほら、クロウも怒ってる。

向こうからイツキが走ってくる。


「クロウ兄ちゃん!ばるこ!ありがとう!」
「大丈夫だったか?!」
「大丈夫だよ!2人が来てくれるって信じてたから、ちっとも恐くなかった!」
「そうか、それなら良かったぜ。さて、それじゃぁ帰るとするか。」
『そうね、イツキに怪我がなくて良かった。』


私たちはイツキを連れて、クロウの家まで帰る。
すると、アニーが笑顔で迎えてくれた。
安心したアニーはイツキと外へ遊びに出た。

「ばるこ、お前がいなかったらイツキを見つけてやれなかった。お前がいてくれて本当に良かった。」
『そんな。私たちはチームなんだもんね、当たり前じゃん!』


私たちは安堵の表情を浮かべた。
そこへ、アニーが思い出したように戻ってきた。


「そうそう!さっき鬼柳兄ちゃんが来たよ〜。」
『えっまじで?探してた、私?私を?』
「2人はいないって言ったら帰ってきたらアジトに来るように伝えてくれって言ってた。」
『ああん!すぐ行くー!』
「鬼柳も待ってるようだし、アジトに行くとするか。」


私たちはアジトに向かった。
京介が待ちくたびれたように私たちを迎えた。


「よう。遅かったな。2人ともどこに行ってたんだ?」
『スリルドライビング。』
「は?」
「それが、うちのイツキがダーティワークスの奴らにさらわれたんだ。それで2人で追いかけてたんだ。」
『そうなの。浮気じゃないの。』
「おいばるこ…心配したじゃねーか。クロウに手を出されてんじゃねーかと思うと気が気じゃなかったぜ…」
『きょーすけ…』
「ばるこ…」
「おーい、何その茶番。」


私たちのやり取りにクロウが水をさす。


「クロウ…まぁ、だからアニーのやつは落ち着かない様子だったのか。それで、イツキは無事なのか?!」
「あぁ。ばるこが奴らのD・ホイールが走り去るところを見ていたんだ。おかげですぐに追いつくことができた。今はもう外で遊んでるぜ。」
「そうか、そいつはよかった…それにしても、ダーティワークスめ、許さねぇ!」
「あぁ、卑怯なことしやがって!」
『それで、京介はどうして私たちを集めたの?』
「ちょうど次のエリア争奪戦の相手を相談しようと思ってたんだ。手間が省けたぜ!チーム・ダーティワークスだ!すぐにでもブッ潰してやる!」


イツキを誘拐したのが、ボスの命令なのか、ただあの男たちの遊びだったのかはわからない。
ただ、あんな小さな子供が感じた恐怖を、あいつらにも味わせたいと思う。
クロウも同じ考えのようで、すぐに準備するとアジトを飛び出して行った。


「ばるこ。」
『っは、はい!』


いつもより低めのトーンで私の名前を呼ぶ京介。
た私は少しビクっとしてそちらを見る。


「お前なぁ…今回はクロウもいたし、無事だったから良かったものの。」
『ご、ごめんなさい。』
「確かにイツキがさらわれたのは一大事だ。でもな、俺はばるこに何かあったら一番嫌だ。ましてや俺の知らないところで…」
『あぅあぅ』
「何かあったらまず俺に言う!俺と行動する!いいな!」
『うぅ…』
「これは俺がリーダーだから言うんじゃない。彼氏としてだからな!」
『きょーすけぇ…』


確かに相手はダーティワークス。
何をしてくるか分からない連中だ。
そのときの感情で動くのは控えよう…


明日はチーム・ダーティワークスとのエリア争奪戦。
負ける気がしない。


+continue+




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