私のために争わないで!!


期待を、してしまう―――










私のために争わないで!!










本日の実技デュエル

万丈目 準  VS  ゆにばーす ろじこ


このデュエルは、全校生徒が注目していた。
今まで一度しか負けていない、万丈目か。
はたまた、ミス・アカデミアをデュエル勝ち取った、ろじこか。


「わ、私まで武者震いがするノ〜ネ」


クロノス教諭までもが、そう口にするのであった。


『よぉし!!頑張るぞッ!!ダイレクトアタックするぞ!!』
「その意気込みは嬉しいのですが、万丈目にダイレクトアタックするのはろじこではなくモンスターですよ。」
『わ、分かってるわよ…』
「言っておきますが、”銀の弓矢”を装備できるのは天使族ですよ。」
『あ、当たり前じゃない…!!』
「なら良いのですが…これ装備してダイレクトアタックするんだ♪とか言って、ろじこならデッキに入れ兼ねませんから…」
『ばっ、ばか!!私だってだてにブルー生じゃないんだから!!』


そう言いつつ、ろじこはこっそり、デッキからカードを1枚取り除いた。


「ろじこ……いえ、何でもないです。」
『そ、そぉ??(…バレた!!)』


一通り話が済むと、ろじこはデュエル場へ足を踏み出す。


ドキ、ドキ、


ろじこと同じくらいに、丁度万丈目も向かい側から出てくる。

二人が揃ったところで、観衆は大いに盛り上がる。


「ろじこ……あなたの好きな人って……」


……万丈目くんだったの。

十代たちと一緒にデュエルを見る明日香は、やっぱりね、と思う。
昼休みに、午前中に万丈目と一緒に居た理由をろじこから聞いたときも、たまたま朝会ったから、と少し曖昧にされていた。
しかし、明日香の中では、これではっきりした。


「それで、あんなに焦っていたのね。」


あたふたするろじこを思いだし、苦笑を浮かべる。

つぶやきは十代たちには聞こえていないようだった。


デュエル場に対峙する、ろじこと万丈目。


「ミスコン以来、気を抜いていないだろうな。」
『もちろん。日々精進よ。』
「午前中の授業は寝ていたようだが…??」
『うっ…それは、ほら、恥ずか……えふんえふん、このためにエネルギーを温存してたの。』
「フッ、それは楽しみだな。じゃぁ、さっそく始めるぞ。」
『うっし!!』




「『デュエル!!』」


……と、そういくはずだったのだが……





「そのデュエル、ちょっと待ったぁぁぁ!!」


「な、何だ!?」
『だ、誰!?』


出鼻をくじかれた万丈目は不機嫌そうな顔をしている。


デュエルがまさに始まろうとした瞬間、場に乱入する男あり。


「俺の名は、ブルー1年、割込太郎だ!!」


そう、この男子生徒は堂々と名乗りを上げる。


『…割り込みタロー??』
「そのままではないか。」


白い目で見るろじこと万丈目に、男子生徒は弁解をする。


「ちっ、違う!!割込 太郎、ではない!!割 込太郎と書き、さき こめたろう、だッ!!」
『分かりにくッ!!』
「あまり変わらんな。」
「くっ…万丈目ごときが…」
『あれ、私は良いんだ。』
「…俺が何かしたか??」


割は万丈目を睨む。
そして、名乗りを上げたときのように、高らかに叫ぶ。


「今ここで、俺はゆにばーすろじこにデュエルを挑む!!」
『は、はぁっ!?』
「よって、万丈目!!お前の出番は無い!!」
「ふざけるな!!」
『そうよ、邪魔しないで!!』
「俺はゆにばーすろじこ、キミに勝ち、キミのハートをゲットする!!」
『な、何を……』
「き、貴様…!!そんな話が通用するか!!」


割はここで、クロノス教諭にウインクする。


「教諭!!よろしいですよね!!俺の愛のデュエルを許可してください!!」


クロノスは一瞬だけたじろいだが、すぐにそれを容認する。


『何でぇ!?』
「うーむ、愛と聞いては黙ってらろないノ〜ネ。昔を思い出します〜ノ。」
「知るか、そんなこと!!」
『万丈目くんの言う通りよ!!』
「さぁ、ゆにばーすくん、始めようじゃないか!!」
『い、嫌……』


万丈目の不機嫌さは、頂点に達した。


「ふざけるな!!お前ごときに、ろじことデュエルがさせられるか!!偉そうな口を叩くなら、まず俺に勝つことだ!!」


ろじこの一歩手前に立ち、割と対峙する万丈目。
割は驚いた表情を見せたが、すぐに余裕ある顔をする。


「ほほぉ、万丈目。お前もゆにばーすくんに惚れたクチか。」
「フン、そんなことは関係ない。ただ、本人が嫌がっているから止めろと言っただけだ。」
『……』


少し俯くろじこ。
庇ってくれたことは嬉しいのだが、”関係ない”という言葉が寂しくもある。

そんなろじこに気付く万丈目は声をかける。


「…大丈夫だ、ろじこ。俺は勝つ…俺がお前を守る。」
『!!』


名前で呼ばれ、さらにこの発言。
ろじこは顔を真っ赤にして頷き、黙って万丈目と割のデュエルを見守ることにした。





「な、何なんだよ、そのモンスター…反則だろぉ…!?」
「フン…光と闇の竜!!相手を粉砕しろ!!」
「わ、わぁぁぁ!!」


ドォォォン


「フン…口ほどにもなかったな。」


言葉通り、万丈目は特に苦戦することなくデュエルに勝利した。


『ま、万丈目くん……』


踵を返すと、万丈目の目の前にはろじこが立っていた。


『あの、その、ありがとう。』
「あ、ああ…礼を言うほどのことでは無い。」
『でも、嬉しかったから…』


頬を染めて頷くろじこ。
それを見て、万丈目も少し赤くなる。

誰が見ても、これは―――


「その、なんだ、ゆにばーす…」





「シニョール割!!ドンマイなノ〜ネ!!恋に挫折は付き物なノ〜ネ!!」

「『……は??』」


ひざまづく彼に、クロノスは叫ぶ。
そのせいで、万丈目の言葉は掻き消されてしまった。


「ク、クロノス教諭……」
『KY(空気読めよ)だよ!!』
「シニョール割、簡単に叶う恋なんて、面白みもクソもないノ〜ネ。」
『教師がクソとか言うな、クソとか!!』
「教諭、俺……出直して来ます!!」
「貴様、何を言って……」
「ゆにばーすろじこ、待っていてくれ!!俺はまた、キミにふさわしい男になって帰ってくる!!」
『要らん!!』


果たして、この先二人はどうなるのだろうか―――





「ふぅ、あわや告白って感じだったな。」


三沢が緊張の汗を拭った。


「いいじゃない。この先は楽しみだわ。」
「あ、明日香くん!!僕たちは…」
「えっ、なぁに??」
「いやいや、何でもないんだ、ハハ…」


「はぁ、三沢くんも三沢くんッス…」
「くそぅ、見たかったのによぉ、ろじこと万丈目のデュエルー!!」
「アニキには分からないっすよね…」


翔は一人、先が思いやられると大きなため息をつくのであった。





++ To be continued ++




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