夜も眠れない!!


きっと、運命の出会い―――










夜も眠れない!!










A.M.7:00


「おはようございます、ろじこ。」
『う、ん…』
「起きてください!!学校に遅れてしまいます!!」
『眠い…よぉ。』
「何時間寝たら気が済むんです。昨日10時には寝ていたではないですか。」


本当は揺さ振って起こしてやりたいのだが、なんせコマンド・ナイトは精霊なので、触れることが出来ない。


『実際、眠ったのは3時頃なの…』
「5時間もベッドの中で何してたんですか。」
『何て言うか、その、あの、ねぇ、コマンド・ナイト……』


ろじこは少し俯き加減で、頬を染めてゴニョゴニョと話す。





「何ですってぇぇぇ!!万丈目のことが頭から離れない!?」
『こ、声が大きいよ!!』
「し、失礼しました…まぁ、私の声はろじこ以外には聞こえない………あら??」
『え??』




コマンド・ナイトの隣には、ちゃっかりと光と闇の竜が居座っていた。


『いつの間にいらしてたんですか、あなたぁぁぁぁぁ!!』
「ま、万丈目には内緒ですよ!!」


あわてふためく二人をよそに、少し目を細めたような表情を見せると、光と闇の竜はブルー男子寮にへと帰っていった。


『ま、まさか本人もいたりしないでしょうね!?』
「さすがにそれはないでしょう。」
『ふぅ…』
「ま、光と闇の竜がこれを知ったことで、何かろじこを手伝ってくれるかもしれませんよ。」
『かなぁ…』
「さ、学校へ行く準備をして下さい。」
『分かったぁ…』


ボーッとしながら着替えるろじこを見て、コマンド・ナイトは過去を振り返る。


―――こんなろじこ、初めてだ。

人を好きになるのはこれが初めてではなく、以前にも『好き、かも…』とつぶやいたり、ポーッとすることはあったが、それでも普段の行動にはメリハリがあったし、ましてや寝不足になるなんて有り得なかった。
本当の恋、なのだろうか…

そこで、ハッとする。

ろじこが万丈目と会ったのは、ミスコンの日が初めてではないか―――


「…一目惚れ…ですか。」
『うわぁ!!言わないでよぉ!!』
「またろじこにしては珍しいですね。」
『うーん。あの、ミスコン委員に見つかりそうになったときのね…』

「ま、まさかろじこ、押し倒されたとき……」
『うーん…何て言うか、そのときのことばかり思い出しちゃうの…』


顔を赤らめて頷くろじこに、コマンド・ナイトは衝撃を受ける。


「な、何て淫らな!!」
『み、みだっ…!?』
「いえ、私は何も言いません!!ろじこの選んだ人です!!」
『ち、違うの!!その、押し倒されたことに惚れたんじゃなくて、私を助けようとしてくれたり、そのときの顔にドキッとしたっていうか…』
「大丈夫です。いざというときには私、カードに戻りますから!!」
『そんなんじゃない〜〜〜』
「ほら、着替えたなら行きますよ。」
『もぉ。』


女子寮から出て、校舎へ向かうのだが、どうしても男子寮の前を通らなければならない。


タイミングがよかったのか、はたまた神の悪戯か―――


「ミスコンではずいぶんと大暴れしたようじゃないか。」
『っ!!ま、万丈目くん…!!』


丁度ブルー寮から出て来た万丈目とはちあわせするろじこ。
コマンド・ナイトはカードに戻っていたので、ここでは二人だ。


『大暴れって、そんなんじゃないよ。』
「見ていたぞ。勝ったじゃないか。」
『まぁ…危なかったけどね。』


ろじこが会場へミスコン委員に連れていかれ、コマンド・ナイトがそれを追い掛けていった後、万丈目も会場へ向かったのであった。


「ずいぶんと小日向に説教をしていたようだが…」
『うっ』
「もし、実際そうされていたらどうしたんだ??」
『そのとき、ホントはね…』


自然と二人は並んでアカデミアへ向かっていた。




「あれ??前にいるの、ろじこさんと万丈目君じゃない??」
「あいつら、面識あったか??」


後ろを歩いていた、翔と十代は不思議そうに顔を見合わせる。
ろじこも万丈目も、十代たちとは仲が良かったが、ミスコン以前は、二人は互いに面識がなかったのである。




「やっぱり、怪しいっすよ!!」


授業中にも関わらず、翔は机に伏す十代に話し掛ける。


「何がだよ??」
「ろじこさんと万丈目君!!前までは知り合いじゃなかったどころか、ろじこさんは万丈目くんの顔と名前も一致しないくらいだったんす!!」
「俺が万丈目の話しても、あいつは『すごい人だね!!顔知らないけど!!』って言うだけだったな…」
「でしょ!!なのに、急に仲良くなってるし…」


翔はチラリ、と遠くの席を見る。
そこには、ろじこと万丈目が並んで授業を受けていたのだ。


「何があったんすかね…」
「何だぁ、翔。妬いてんのか??」
「そ、そんなんじゃないっす!!」


少し焦る翔を見て、十代はカカカッと笑い、また眠りの体制に戻った。





その頃、ろじこは尋常でないほどに焦っていた。


『(いつもなら明日香と一緒に授業受けてるんだけど……何で今日はこうなのぉぉッ!?)』


ろじこは、ソワソワしそうになる体を必死でこらえる。


『(ドキドキして授業に集中できないじゃん〜〜〜!!)』


チラ、と斜め後ろの辺りに座る明日香を見る。
他の友達と授業を受けていた明日香だが、ろじこの視線に気がつくと、クスッと笑う。
別に、黒い笑みでも何でもないのだが、ろじこは何となく「後で話聞くわよ」と明日香が言っているように思われた。


『(絶対今の私の顔、ニヤけるのを耐えててキモくなってるよなぁ……万丈目くんはどんな顔で授業受けてるんだろ。)』


今度は隣に座る万丈目を見る。
すると、すぐさま万丈目はそれに気付き、ろじこを見るとフッと笑う。


『(あはははーーーん!!今、目が合った上に笑いかけられた!?)』


頬に熱を感じ、どうしてもニヤついてしまうのを堪えられないので、ろじこは机に伏した。


『寝るに寝れないけど、今の顔は絶対に見せられないよなぁ〜…』


授業が終わり、万丈目に『じゃぁね』と言うと、ろじこはすぐさま明日香の元に駆け寄る。


ろじこと明日香は食堂へ向かった。
きっと昼休みは質問責めになるだろう―――





++To be continued++





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