さぁ、ステージへ!!


コンテスト会場では、大騒ぎになっていた。










さぁ、ステージへ!!










「ふざけないで!!」


声を荒げるのは、前女王、小日向星華。

どうしてこんな状態になっているのだろうか、会場内の様子を振り返ってみよう!!





「注目は、2年連続女王の小日向星華さんです!!3年連続という快挙をなしとげるのでしょうか!!」

「フフ…」


さすがに2年連続女王という経歴から、小日向は自信満々のようだ。


「さぁ、投票結果が出ました!!優勝者を発表します!!」


ワァァァァァ


「明日香くんだ、明日香くん!!」
「ろじこさんだよ、ろじこさん!!」


照明が落ち、薄暗くなる。


「得票数、198票!!エントリーナンバー…」

スポットライトが、パァッと照らす。


「1番!!オベリスク・ブルー3年、小日向星華さん!!」


ワァァァァァ


「3年連続女王に決まり…っと、失礼しました!!」
「えっ??」
「なんと!!得票数199票の方がいます!!」
「なんですって!?」


「明日香くんか!?」
「ろじこさんだよ!!」


「エントリーナンバー6!!オベリスク・ブルー1年、ゆにばーすろじこさん!!…って、あれ??」


「やっぱりろじこさんいない…」
「ろじこも興味なかったんじゃねーの??」
「あ、明日香くん……」


「ふざけないで!!」


そう、ここで、小日向が怒りをあらわにするのであった。


「ここにゆにばーすさんはいないのよ!?棄権扱いにはならないの!?」
「いや、しかし…」
「まってください、委員長!!まだ投票していない生徒が1人いました!!」
「えっ、本当??」
「なんだって!?一体誰だい、その生徒は!?」
「オシリス・レッド1年の、遊城十代という生徒です!!」


「アニキ、まだ投票してなかったの??」
「ああ。だから興味ないって言ったろ!!パソコンいじらないし。」


「遊城十代くん、ステージにあがってください!!」


委員の言葉に、小日向は、妖しく微笑む。


「(この1票が入ればゆにばーすと同数。所詮は1年、別に万丈目や天上院ほど強いわけでもないわ。デュエルで下してやれば、ミス・アカデミアの座は確実に私のものよ。)」


ステージに上がった十代は、票を無効にしてくれと委員長に頼んだが、あっけなく却下された。


「(ぐあ〜〜〜こんなことになるなら投票しとくんだったぁ〜〜〜……ん??全生徒、ってことはアイツも入れたってことか??)」


アイツ、とは万丈目のことである。
興味ない、と会場には現れなかったものの、ちゃっかり彼はろじこに投票しているのであった。





会場がこんな事態になっているなどつゆ知らず、委員から逃げ隠れしていたろじこたち。
見つかる!!というすんでのところ―――


ドサッ


「きゃぁぁぁあああぁぁぁあああ!!」


コマンド・ナイトが叫ぶ。
しかし、彼女は精霊なので一般人には見えず、声も聞こえない。


『(う、うるさいわよ、コマンド・ナイト!!)』
「でも、その体制は―――」


「誰ですか!!」
「生徒は全員、会場へ向かってください!!」


委員が岩場を覗く。
と同時に、赤面して直立不動になる。


「あ、あなたたち、何を…!!」
「こ、ここは学園内です…!!」


そこで初めて、ろじこは今の自分の状況を把握する。


『(お、押し倒されてるぅぅぅううう!!)』


爆発しそうなほどに顔を真っ赤にする。
しかし、万丈目は冷静だ。


「ゆにばーすを探しているんだろう。生憎、俺達は今イイトコロでね。委員長には適当に言っておけ。」


コンテストに出たくない、というろじこの気持ちを汲み取ってか、万丈目は行動を起こしたのであった。


「…い、いけません!!ゆにばーすさんには何としても出ていただきます!!」
『衝撃的なシーンを見られた揚げ句、ミスコンにも駆り出される……最悪なパターンだぁぁぁっ!!』
「ゆにばーすさんはミス・アカデミアに選ばれているんです!!さぁ、早く会場の方へ!!」


委員の言葉にキョトン、とするろじこ。


『…え??』
「今頃、前女王の小日向さんが発狂しているはずです!!私たち委員会を助けると思って!!」
「ふっ、やはり選ばれたか。ゆにばーす、主役だぞ。」
『うう……行く。』
「よし!!急ぎましょう!!」


委員たちは、大急ぎでろじこを会場へ連れていった。

取り残された万丈目、コマンド・ナイト。


「ありがとう、マスターに投票してくれて。」
「なっ、俺は別に投票など…!!」
「何か、そんな気がしただけだ。押し倒したのは許しがたいが。では、また。」


礼儀正しく、45度の角度で一礼をし、コマンド・ナイトはろじこの後を追って言った。


「あの精霊…ゆにばーすには使って、何で俺には敬語使わないんだ…??」





「さぁ、ゆにばーすさん、こちらです!!」
『うへぇ、汗だくのままステージに上がるの…あれ??』


ステージの入口には、明日香が立っていた。
その足元にしゃがみ込んでいる、二人の委員。


「待ってたわよ、ろじこ。」
『いや、その前にその委員の人たち…大丈夫??』
「私はミスコンなんかに興味ないって言ったのに、無理矢理ステージに上がらせようとするから…」
『ぶ、武力行使??』
「そんなんじゃないわよ。」


眉尻を下げて否定する明日香だが、明らかに委員は気を失っている。
恐らく、みぞおちに一発入れたのだろう。


「事前に謝ったから大丈夫よ!!それより、どうやら前女王はあなたと戦う気満々のようね。」
『え??』


そこで初めて、ろじこはここ会場での騒ぎについて聞いた。
十代は結局ろじこに投票し、2票差でろじこの女王は決まりかと思われた。
しかし、この場にいないという理由から、小日向がろじこの票を無効にするよう抗議したのだ。


「星華!!星華!!」
「ろじこ!!ろじこ!!」


会場は異例の事態に、コールと共に盛り上がる。


「私はあなたと小日向のデュエルを楽しみにして、ここで待ってたのよ。」
『私がこなかったらどうしてたの。』
「ミスコンに選ばれたと聞いて、ろじこが来ないわけないわ。あなた、相当な目立ちたがりでしょ。」
『そ、そうかな…』
「だから、こうして来たんでしょ??さ、暴れてくるのよ、ろじこ!!」


グッと親指を立ててウインクをする明日香をよそに、ろじこは少し戸惑いステージへ向かう。


「さぁ、ろじこ。勝負所ですよ!!」


やっと追い付いたコマンド・ナイトがろじこを後押しする。


『(コマンド・ナイト……楽しそうだね。)』
「会場は二人の戦いに大盛り上がりしてますからね。ろじこが暴れるにふさわしい舞台です。」
『みんなして暴れる暴れるって…』


少しうなだれて見せるろじこだが、これが彼女の本性ではない。
ステージに上がると性格が変わるだとか、デュエルになると性格が変わるだとかいうわけではない。
自分の感情に素直なだけである。


「お、おまたせしました!!ゆにばーすろじこさんの登場です!!」


ワァァァァァ


『主役は遅れて登場するものでしょー!!』
「ろじこ!!ろじこ!!」


片手を上げて、会場に呼び掛けるろじこ。
彼女の登場により、会場がさらに盛り上がりを見せる。


「やっと来たっすね、ろじこさん!!」
「待ち侘びたぞ、ろじこくーん!!」
「三沢くん、さっきまで明日香さん明日香さん言ってたじゃん。」
「やっぱりろじこは来たか…相当な目立ちたがりだせ、あいつ。」


「あなた、何のつもり!?」
『小日向センパイ、遅れてすみませんでした。』
「謝って済む問題じゃないわ!!こんな茶番やめてくれないかしら!?」
『ですよね、分かってます。ここはデュエル・アカデミア。全てはデュエルで決めましょう。』
「ふっ、そのつもりよ。…いいわね、委員長。」
「はっ、はい…」





女の戦いが、今、始まる―――


『「デュエル!!」』





++ To be continued ++






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