恋してもデュエルに容赦なし!!
私はね、この恋もこのデュエルも、大切にしたいよーーー
恋してもデュエルに容赦なし!!
万丈目とのデュエルを待つろじこの前に現れたのは、割込太郎である。
『割くん…私もう、デュエルの準備しなきゃ。』
「万丈目とケンカしたのか?」
『!…か、関係ないじゃない…!』
「ゆにばーすくん、俺はね、君を諦めるわけじゃないよ。でも、君が万丈目を好きな気持ちを邪魔するつもりだってもう今はない。」
『…?』
「きっと、万丈目は不器用だから、君にキツく当たってしまったんだね。」
『でも、昨日まではそんな感じじゃ…』
「ははっ、男は馬鹿なんだよ。」
『わかんないなぁ…』
ろじこは困ったような顔をする。
ただでさえ、昨日まで優しかった万丈目に今日は冷たく接されたことに困惑を覚えていた。
「次のデュエルを始めるノーネ!」
クロノスからデュエルが始まることが放送で伝えられ、ろじこと万丈目の名前が呼ばれる。
『きた…!』
「あぁいうタイプは不器用だからさ。」
『う、うん?わかった…』
ありがとう、と割に告げると、ろじこはデュエル場にかけていった。
「ふぅ…何で俺が二人の仲を取り持たなきゃならないんだよ。まぁ俺のお節介だけど。」
ろじこがデュエル場に上がると、向こうにはすでに万丈目が立っていた。
ドキ…
ろじこは万丈目と目が合わせられない。
『(まぁ万丈目くんが不器用らしいのはわかるけど、でも…)』
ろじこはチラリと万丈目を見る。
万丈目はいつもの冷静な表情でろじこを見ていた。
「ゆにばーす、5ターンで終わるなど情けないデュエルをするなよ。」
『……ふん。』
「ろじこ、万丈目の言葉に揺らがずに頑張りましょう!」
『そうね、コマンド・ナイト…!行くわよ!』
「『デュエル!!!』」
二人がディスクを構えると、デュエルが始まる。
『私からよ!ドロー!』
ろじこが手札を1枚引く。
『お決まりのパターンだけど行くわよ!コマンド・ナイト!!』
「はい、ろじこ!」
ろじこはいつものように切り込み隊長を召喚し、その効果でコマンド・ナイトを特殊召喚すると、連合軍で攻撃力を上げる。
「ふん、想定内だ。」
『早く光と闇の竜を召喚しないとデュエルを終わらせるわよ?』
伏せカードはないが、ろじこの場には攻撃力が2000のモンスターが2体いる。
1ターン目からのろじこのカードの引きに、観衆はおおっと声を上げる。
「今日もろじこくんは調子がいいな。」
「おお!ろじこのやつやるなぁ!」
「でもろじこさん、やっぱりいつもより機嫌悪そう…」
「そうね、心配だわ。…それと、万丈目くんも、いつ光と闇の竜を出すのか…。」
ろじこと万丈目のデュエルを観戦する三沢、十代、翔、明日香。
万丈目のターンが始まり固唾を飲んでろじこを見守っている。
「俺のターン…ドロー!」
万丈目がデッキからカードをドローする。
そして、モンスターとカードを1枚ずつ場に伏せる。
「俺はモンスターを裏側守備表示でセット、カードを1枚伏せてターンエンドだ。」
『遠慮なく行くわよ、私のターン!』
ろじこはカードをドローすると、切り込み隊長に指示を出す。
『切り込み隊長でモンスターを攻撃!』
「ふん。」
『レッド・ワイアームを撃破!!』
「レッド・ワイアームを破壊した相手は500ポイントのダメージを与える!」
『うぁっ…このくらい!コマンド・ナイトでダイレクトアタック!』
「ぐぅっ…!ここでリバースカードオープン!ダメージ・コンデンサー!」
ダメージ・コンデンサーの効果により、万丈目は受けたダメージ2000ポイントより低い攻撃力をもつモンスターをデッキから召喚できる。
「ウィッシュ・ドラゴンを召喚!」
『!!それは…』
ろじこはごくり、と唾を飲み込む。
万丈目LP2000
ろじこLP3500
周りの生徒は、攻撃力700ウィッシュ・ドラゴンを見て、おいおい本気かよ、など飽きれた声を出している。
「ま、万丈目くんの場にはレベル2のモンスターが1体…ろじこの攻撃が終わったとはいえ、一方的なデュエルになりそうッスね…」
「待って、翔くん。ろじこ、余裕の表情どころかちょっと厳しい顔をしてるわ。」
「ろじこー!そのままやっちまえー!」
「しかし十代、これは嫌な予感がするぞ。」
ろじこも同様、嫌な予感を感じていた。
『…私はカードを伏せてターンエンド。』
「ふん、覚悟しろよ?俺のターン!ウィッシュ・ドラゴンを生贄に捧げることで、ドラゴントークンを2体特殊召喚する!」
『きたわね!』
「2体のドラゴントークンを生贄に…さぁ出て来い!光と闇の竜!!」
万丈目の手に持つカードが光り、ろじこの前に光と闇の竜が立ちはだかる。
『や、やば…!』
「光と闇の竜、切り込み隊長を攻撃!シャイニングブレス!!」
『っあ…!!!』
万丈目LP2000
ろじこLP2700
切り込み隊長が墓地に送られ、コマンド・ナイトの攻撃力は1800になる。
『ま、まさかこんな早く出るなんて…いや、すぐに墓地に送ってやるわ!私のターン!』
「デュエルは誰にも頼らず勝てるものじゃないわよ。ねぇ、ろじこ。」
ろじこを見つめながら明日香がつぶやく。
『私はライトロード・マジシャン ライラを召喚!ライラを裏側守備表示に戻す効果を発動するけど、この効果は光と闇の竜の効果にやって無効にされるわ。』
「そのカードは…見たことなかったな。」
『天使族じゃなくても光属性モンスターのことは明日香に聞けってね!』
ろじこは明日香のアドバイスで、このカードをデッキに入れていたのである。
魔法使い族のライラは、ろじこの連合軍の効果を活かしつつも、光と闇の竜の効果を強制的に発動させられる。
『私のターンは終了。ただ、エンドフェイズ、デッキから墓地にカードを送るライラの効果が発動されるわ!これを無効にして光と闇の竜の攻撃力は1800になる!』
「俺のターンだ!」
万丈目は光と闇の竜でライラを攻撃する。
万丈目LP2000
ろじこLP2600
『ライラは破壊されたけど、光と闇の竜と私のコマンド・ナイトの攻撃力は互角…!』
ろじこは万丈目を睨む。
『光と闇の竜は確かに攻撃力が高い。そしてカード効果の"発動"を無効にする強力な力がある。でも、攻撃力を底上げするような"持続効果"は無効にできない。…だからこそ、中途半端に攻撃力を削られると厄介よね。』
負けじと万丈目もろじこに言葉を返す。
「挑発のつもりか?俺はお前の浅はかな考えでは倒せんぞ?」
光と闇の竜、コマンド・ナイト。
万丈目とろじこのエースモンスターの対峙に、デュエルを見る生徒は盛り上がりを見せるのであった。
+To be continued+
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