ノンストップ☆ハプニング




青春に、休んでる暇なんて―――










ノンストップ☆ハプニング










「ろじこ、大変よ!!」
『なっ、何!?』


ろじこ一人のんびり歩いていると、電光掲示板を見ていた明日香が通り掛かったろじこを呼び止める。


「午後の実技デュエルよ。」
『それがどうしたの??実技デュエルなら頻繁にするじゃない。』
「組み合わせが決まったわ…あなたと、」
『えっ、まさかいつかの割……いやいや、そんなハズないよね、あいつはもう出番の終わったキャラなんだから。』
「慌てる前に、掲示板を見なさいよね…」
『ご最もですね。うーん……!?』


本日の実技デュエル



ゆにばーす ろじこ VS 万丈目 準





決まった組み合わせを上から順に見ていくと、確かにろじこは自分の名前を見つけた。
そして、相手の名前も―――


『ひぇぇぇーッ!!』
「えぇ、そう驚くと思っていたわ。」
『えっ、これ…何??』
「何、じゃないわよ。見てのとおり、あなたは午後の実技デュエルで万丈目くんと戦うのッ!!」
『偶然、はたまた運命か!?神様のいたずら…いえ、これはクロノス教諭のいたずらよーぉッ!!』
「ちょ、ちょっと落ち着いてろじこ…!!」
『まずい…これはまずいわ…』
「そういえば、ろじこのそのデッキは万丈目くんと作ったものだったわね。」
『うーん、調整しようかなぁ…でも、変に触ったらデッキおかしくなっちゃうし…』
「そうね…でも、持ってるカードの中で微調整はした方が良いわよ。」
『じゃ、そうしよっかな。』





ろじこと明日香が談笑しながら廊下を歩いていると、向かいから万丈目が歩いてくるのが見えた。


『あっ、万丈目くん…!!』
「…ゆにばーすか。」
『実践、頑張ろうねッ!!このデッキも、早く万丈目くんと戦いたいと思って……』
「わざわざ負けるために何を頑張るんだ??」
『え??』
「ちょっと、万丈目くん!!そんな言い方…!!」
「手の内を明かしたデュエリストと戦う価値など…無い。」
『…!!』


万丈目は冷たく言い放ち、ろじこたちに背を向ける。


『ちょ…ちょっと!!』
「…!!」


ろじこは万丈目の袖を強く掴んだ。


『今、私とデッキを侮辱したこと…ちゃんと覚えておくことね…!!』


涙が零れるのを堪え、ろじこは出来る限り睨む。


「……勝つ気でいるのか??フン、好きにしろ。」
『上等。』


そして万丈目は去って行く。
ろじこはじっとその背を見ていた。


「そんなケンカ腰にならなくても…まぁ、あの言い方はいかがなものかと思ったケドね。」
『うん、だよねだよねー…私もついカッとなっちゃった…。』
「でも、万丈目くんがああ言ったのも、ろじことのデュエルを意識しているからよ。」
『そうかもしれないけどさ、私とんでもないこと言っちゃったー…』


「しかも思いッきり睨んでましたよ、ろじこ。」


いつの間にかデッキから出て来たコマンド・ナイトにもツッコミを入れられ、ろじこは頭を抱えるのであった。


『とりあえず……明日香、デッキ調整の手伝い、お願いしてもイイ??』
「勿論よ。」
『ありがとう!!…あ、まだ売店開いてるかな??パック買いたいんだ。』
「!!…デッキを変えるのね??」
『ううん。メインはそのままにしておくよ…このデッキで、勝ちたいの。』
「OK。まだ間に合うわ、行きましょ。」
『うん…!!』





カードの知識も豊富で、資料もたくさん持っているだけのことはあり、明日香のアドバイスは、ろじこのデッキ調整においてとても参考になる。

そしてさらに―――


「これ止めてさ、このカード入れようぜ!!すげー俺好み!!」
「オイオイ、十代。これはろじこくんのデッキだぞ??」
「何でだよ三沢ぁ。ろじこも戦士族使いじゃん。」
『いや、三沢っちの言う通りだよ十代!!戦士族っつっても、それヒーロー専用のカードじゃない!!』
「あ、そっか。」
『あ、そっか。…って、ちょっと!!まさか十代、戦士族はヒーローだけだと思ってない!?なめんなコラー!!』
「だから、悪ぃって!!だいたいお前、コラとか言うなよなー!!」
『何をぅ!?…てかすごい大人数だよね!!テーブル狭っっ』


ここは食堂。
始めはろじこと明日香が二人でデッキをいじっていたのだが、たまたま通り掛かった十代、翔、三沢が参加したため、五人で四人用のテーブルを囲んでいる。


「へぇ〜…ろじこさんって、魔法と罠カードの割合結構高いんスね。」
「そう言えばそうね。」
『え、そーなの??こんなもんかと思ってたケド…』
「それはマズイぞ、ろじこくん。」
『え??』
「あいつ…万丈目は、魔法・罠を無効化するカードを持っているだろ??」
『あっ…光と闇の竜……』
「そうだ。それを考えると、これは不利だぞ。」
『自分のデッキのことで精一杯だったから、気がつかなかった…』
「そのための、仲間じゃねーか!!」
『さっすが十代、良いこと言うーッ!!って、十代は特に何もしてないでしょー!!』
「おお。上手くなったのな、ノリツッコミ。」
「もう。その辺にしておいてあげなさいよ、十代。ただでさえろじこは錯乱しやすいんだから。」
『えぇッ、私そんな精神的に弱いですか!?』




『よぅっし、ギリギリ間に合ったー!!』


食堂にろじこの安堵と歓喜の入り交じった声が響いた。


「思ったより時間かかったわね。」
「ああ。いや、それも十代とろじこくんが言い合いするからだよ。」
「それがなければ、あと30分は早く終わってたっス…」
『あ、あの…その…すみません……』
「まっ、これでろじこが勝てたらさ、俺達も昼休み返上した甲斐があるぜ。」
「ああ。十代の言う通りだな。」
『みんな…ホントにありがとう…!!』
「じゃ、午後の実践デュエル頑張ってね。私たちは一足早く観覧席に行くわ。」


ポン、とろじこの肩を軽く叩くと、明日香は食堂を出る準備をする。
それに続き、十代たちも席を立った。


バイバーイ、と手を振って見送ると、ろじこは落ち着くために、店員にココアを頼んだ。


「…良い仲間を持ちましたね。」
『コマンド・ナイト。』
「さ、落ち着いて。あと10分くらいしたらデュエル場に向かいましょう。」
『はーい。』





ろじこがデュエル場に行った頃には、すでに、ろじこの前の何組かの実践デュエルが始まっていた。


『わー…あとどれくらいで私の番??』
「3組くらいではないでしょうか??きっとすぐ回ってきますよ。」
『むむー…』


緊張した面持ちでデュエル場を睨むろじこ。
そんな彼女の肩をポンっと叩く人物―――


「やぁ。今日は万丈目とデュエルだそうじゃないか。」
『あ、さ、割…君……??』
「心配しないでくれよ。今回は邪魔なんてしないから。」
『わ、私に何か用…??』
「ああ。ちょと……ね。」
『………??』





++To be continued++





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