帰り道の約束





ホント、分かりやすい二人なんだから―――










帰り道の約束










「そう、彼女たちは男の話をしているのさ…!!」
「な、何だって!?」
「誰が気になるとか、誰が好きだとか…きっと、そんな話だ。」
「そうだったのか……気になる。」


得意そうに話すラブと、それに熱心に耳を傾ける三沢。


「まだ話してるっす…」
「フン、くだらん。」
「ろじこたちまだかな〜…もう腹ペコだぁ〜。」


呆れる翔と興味なさ気な万丈目、十代に関しては食べ物以外頭にないようだ。


「ふふーん、興味があるのは彼女たちの話ではなく、ろじこただ一人だ!!ってことかい??」
「なっ…!!」


ラブはニヤニヤと笑いながら万丈目に話をふっかける。
そして取り乱す万丈目。


「ほぉ、図星。」
「くっ、貴様…!!」
「うん、確かに可愛かったな。ろじこの水着。」
「その前に、呼び捨てをやめろ!!」
「Why??ミーには…いや、アメリカじゃこれが普通さ。」
「貴様は普通かもしれんが俺は不快……って、何だその目は!?」


先ほどよりも一層ニヤっとするラブに、万丈目は眉をひそめる。


「万丈目くん、分かりやす…」


翔が苦笑いを浮かべる。


「ヤキモチ…ってやつだな。」
「う、うるさい!!」
「じゃぁキミもろじこをファーストネームで呼べば良いじゃないか。」
「く、くだらん!!」


プイ、とそっぽを向くが、万丈目のその視界に半笑いの三沢が入る。


「な、何だ…」
「本当はろじこくんのことを名前で呼びたいんじゃないのか??」
「貴様には言われたくない!!」
「そうっすね。三沢くんも明日香さんのこと呼び捨てに出来ないっすよね。」
「うっ、お前ら……」


そこで、彼らはタイミングよくろじこたちが帰ってくるのが見えた。


「おぉッ、待ってたぜー!!」
『お待たせー。はい、十代。』


ろじこから食べ物を受け取り、今日一番の笑みを見せる十代。


先ほどまでしていた話も忘れ、他のメンバーも、彼女たちが買ってきたものをつまみながら会話をする。


そして、ゲームを何戦かして、小さなビーチバレー大会はお開きとなった。


「疲れたけど楽しかったな!!」
「そうね、十代。体育以外でこんな動くことってないから、楽しかったわ。」
『…はっ!!』
「どうしたの、ろじこ??」
『泳いでないじゃん!!プールなのに泳いでないじゃん!!』


しまったぁーッ!!と頭を抱えて嘆くろじこ。
十代と明日香は、そこで初めて気付くが、そこまで気にしていないようだ。


「まぁ…泳ぎにしたわけじゃないしな。」
「いいじゃない、また来ましょう。」
『ううう〜〜〜』


そして、温泉施設の入口で待ち合わすことにして、それぞれは更衣室に向かった。


「お待たせ。…ごめんなさいね、言葉通り、ホントに随分待ったでしょ??」
「んー…結構待ったぜ。」
「十代。女の子は身支度に時間がかかるんだから、ここは”丁度来たところ”って言うもんさ。」


明日香の申し訳なさそうな問いに十代が普通に答えると、ラブがチッチッと人差し指を振って十代にアドバイスする。


『へー、ラブは女の子に詳しいんだねー!!』
「いや、その、ろじこ…その言い方だと、ミーがプレイボーイみたいじゃないか。」
「あら、違うの??」
「おいおい、マックまで……」
「って言うか、ろじこ。こんな遅くなったのはろじこのせいなんだからねー」
『うっ…』


ギクッとした顔を見せた後、ろじこは申し訳なさそうに一同に『ゴメンね』と謝った。


「ろじこクンが??…一体どうしたんだい??」


三沢が尋ねる。


『そっ、それは…』
「ろじこ、プールで泳ぎたいって駄々こねてたのよね。」
「えぇ。もう閉館時間だっていうのに。」


明日香とマックに口々に言われ、ろじこは何も言えずにいた。


「ま、またいつでも来たい時に来れるわよ。」
『って説得されたんですよねー。だから、明日!!って言ったら拒否られたんですよねー。』


ぷぅっと頬をふくらますろじこ。


「はいはい。また気が向いたら一緒に泳いであげる。」


明日香がなだめると、それを合図にしたかのように、一同はそれぞれの寮へ向かって歩き出す。


『気が向いたら……って、一体いつなのよぉ……』


小声で呟くが、ろじこの声はみんなには聞こえていないようだ。


「…そんなに泳ぎたいのか??」


しゅん…としてみんなの少し後ろを歩くろじこに話し掛けたのは、万丈目だった。


『…今それを私に聞くってことは、行っても良いってことになるわよ??』
「フッ。そのつもりだが。」
『!!』


一瞬にして、ろじこの表情がパアッと明るくなる。


『い、良いの!?私、明日行きたいとか言っちゃうよ!?』
「明日は授業があるじゃないか。」
『放課後!!』
「少ししか泳げないが…良いのか??」


少ししか泳げないばかりか、万丈目と一緒にいられる時間も少ない。
それに気付くろじこは慌てて首を横に振った。


『だ、だだだだ駄目ッ!!もっと一緒にいた……あ、』


ろじこはとっさに口を塞ぐ。


『いや、その…せっかく一緒に行ってもらうのに、そんな少しの時間じゃぁ失礼っていうか、ねぇ…??』


慌てて弁解するが、”一緒にいたい”と言いかけた言葉は既に万丈目の耳に入っている。
万丈目としては内心ニヤけまくりなのだが、柄ではないので、それに気付かれぬよう落ち着いたように振る舞う。


「そうだな。じゃぁ、来週末でどうだ??1週間くらい待てるだろう??」
『うー……待つ!!』


来週末、と聞いて眉尻を下げるろじこだが、それでも嬉しそうだ。
それを見た万丈目は、どこか微笑ましい気持ちになる。


『楽しみだなぁー』
「あぁ、俺もだ。」





会話こそ聞こえないが、そんな二人を見て明日香は呆れたように笑う。


「こうなると思ったのよね。」
「どうしたの、アスカ??」


マックが明日香に尋ねた。


「ろじこと万丈目くんよ。」
「あぁ…何話してると思う??」
「聞かなくても分かってるくせに。」
「ふふっ、そうね。」


そして二人はくすくすと笑う。





嬉しそうに笑うろじこは、二人が何を話しているかなど知りもしない。





++To be continued++






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