かませ!!愛のアタック





勝負水着、入りまーす―――










かませ!!愛のアタック










「っしゃー!!みんな揃ったな!!」
『おーッ!!』


温泉施設にある、海を模倣した温水プール。
新しく作られたということで、混んではいないが、そこそこ人は集まっている。

十代、翔、三沢、万丈目、ろじこ、明日香、そして留学生のマックとラブが集まった。


『(わー…万丈目くんの海パン姿だぁーッ!!)』
「…なーに興奮してるの??」


万丈目に見とれてぼやーっとしているろじこを、明日香が小突く。


『うほっ!!…べ、別に何も…』
「ふふっ。せいぜい襲わないようにね。」
『だ、大丈夫だよぉ……』
「あ、そうだ、十代。チーム分けはどうするの??」
『ビーチバレーだから、二人一組だね。』
「おぉ!!」


明日香とろじこが尋ねると、十代はどこからか、あみだくじ引きを取り出した。





「よーし、チームは決まったようだな!!」


マックと##NAME1##、明日香と三沢、十代と万丈目、翔とラブがそれぞれ組になった。


「フフ。頑張りましょ、ろじこ。」
『おーッ!!よかったー、マックのアタック喰らわなくて済んで…』

「よろしくね、三沢くん。」
「あ、あぁ…!!」

「よりによって相手が十代か…」
「っしゃー!!頑張ろうぜ、万丈目!!」

「ど、どうしよう。僕、下手なのに…」
「大丈夫さ。楽しもうぜ、ショウ!!」


浜辺には、初めからご丁寧にビーチバレーのコートが立てられている。
ボールも、十代が体育館から借りてきた。


「おい、ろじこ。まずは俺達で試合しよーぜ!!」
『オッケー!!』


初めは、十代と万丈目のチームと、ろじことマックのチームが試合することになった。


「サーブはこっちからね。行くわよ!!」
『マックいけいけー!!』
「そーれッ!!」


バチコーン!!


一歩も動けない、十代と万丈目。


「うぉー、何だ今のサーブ!?」
「ちっ、油断したか…」
『ナイスサーブ、マック!!』
「フフ。まだまだ行くわよ。」


悔しそうな十代と万丈目。
それに対して、ろじことマックは順調な滑り出しである。


「はぁ〜相変わらずさすがだな、マック。」


ラブが感嘆のため息をつく。
明日香もそれに頷く。


「体育の授業のときも彼女はすごいわね。」




「ふっ!!」


バチーン!!


マックのサーブが十代を襲う。


「うおっ!!」


十代は何とかレシーブし、ボールはろじこコートに一発で返る。


「ろじこ、トスお願い!!」
『オッケー!!』


マックがレシーブしたボールをろじこが高く上げる。


「っはぁ!!」


バーン!!


「っく…!!」


万丈目が飛び付くも、ボールはものすごいスピードで地面に叩き付けられる。


「す、すごい…一体時速何キロなんだ…」


三沢が地面で計算をし始める。


「うっ…悔しいけどすげぇ」
『でしょー、十代!!体育のときとか、マックはこれを容赦なく私の顔に叩き込んでくるんだから!!』
「何ぃッ!?」
「あ、あれは違うわ!!わざとじゃなくてアクシデントよ…!!」


万丈目が、驚きと怒りと哀れみの入り交じったように叫ぶので、マックは慌てて弁解する。





ゲームは続き、圧倒的な差でろじことマックが勝った。


「どう、アメリカ仕込みのアタックは??」
「くっそー、悔しいぜ!!」
『でも良い試合だったよね。』


そしてろじこはチラリと万丈目の方を見る。


『(…あっ、目が合った…)』
「……」


プイ


『(目ぇ反らされたぁーッ!?)』


「次は僕たちの番っす!!」
「ハハハ、マックたちに負けてられないな。」
「さ、勝ちましょ!!」
「あ、明日香クンとビーチバレーが出来るなんて…」


翔とラブ、明日香と三沢がそれぞれコートに入る。


しゅん、とうなだれているろじこ。


「??…どうしたの、ろじこ。」
『マック…目ぇ合ったのに、反らされたぁ…』
「え、誰に…あ、いいえ…彼ね。」
『ショックぅぅぅ〜〜〜嫌われたんですかね??』
「フフ…果たしてそうかしら。」
『え??』
「ろじこは気がついていないのね。」
『な、何…』
「鈍感なところもチャームポイントだけど、今回ばかりは危険だわ。」
『私けっこー勘鋭いよ。』
「どこが!?…彼、最初からあなたのことチラチラ見てたわよ。」
『マジですかッ??』
「マジですとも。きっと、ろじこの水着姿が気になって仕方ないのよ。でも恥ずかしくて目は合わせられないようね。周りから見ればバレバレだわ。」
『だったら…嬉しい、かな。』
「その一番大袈裟にした例が、彼ね。」
『三沢っち??』
「えぇ…大丈夫かしら、ミサワ。」
『何で??』
「アスカの水着姿を前に、恍惚状態よ。」
『あは、あはは…』




『なかなかコンビネーション良かったね、明日香。』
「そう??」


なかなか白熱した試合だったが、明日香が三沢をリードしたお陰で翔とラブを下した。


「なぁ、何となくさ、腹減らねぇ??」


ぎゅるる、とお腹を鳴らして十代が言う。


『何となく、じゃなくて確実にお腹減ってんじゃん。』
「あはは、悪ぃ悪ぃ。」
『ま、私も小腹が空いたし、何か買ってくるよ。』
「私も行くわ。マックも行きましょ。」
「そうね。ろじこだけじゃ大変そうだし。」


3人は、並んで売店へと向かう。


「合コンで言うなら…」


取り残された男性陣。
一番に口を開いたのはラブだった。


「…別にこれは合コンじゃないっす。」
「まぁまぁ、聞こうじゃないか。」
「…三沢くん…」
「ああ。こう女性陣が集まって野郎から離れる―――もちろん、何の話だか分かるな??」
「ふん、くだらん。」
「何って……食べ物の話か??」
「アニキと万丈目くんには振ってはいけない話題っすね。」
「教えてくれ、デイビット!!彼女たちは何の話をしているんだ…!?」


その頃、ろじこたちは―――


「良かったわね、ろじこ。」
『ん、何が??』
「万丈目くんの上半身が見れて。」
『な、な、な、何を言うの、明日香…!!』


フライドポテトやおにぎり、唐揚げなどを両手に抱えて売店から出たところであった。


「マンジョウメもろじこの水着が見れて喜んでるはずよ。」
『もぅっ、マックまで!!』
「それにしてもろじこ、ちゃんと水着選んだのね。」
「ろじこは優柔不断なの??」
「数日前までどんな水着にしようか迷っていて、形は決めたものの、昨日までどの色にしようか迷ってたのよね。」
「へぇ…よく決められたわね。」
『その…えぇと…』


少し頬を染めて目を反らすろじこ。
その様子から、明日香とマックは悟る。


「あぁ、そういうこと。」
「フフ…ピーンときたわ。」
『な、何……』
「ろじこ、どの色が好きか聞いたのね、彼に。」
『わー!!分かっても言わないでー!!』
「照れてる照れてる。」
『ふ、二人ともからかわないでよー!!』
「ゴメンゴメン、ろじこからかうと面白いから、つい…」
『つい、じゃなーいッ!!』
「そこもチャームポイントよ、ろじこ!!」
『何でもチャームポイントにするなぁぁ!!』
「ほら、急ぎましょ。みんなが待ってるわよ。」
「ハリーアップ、ろじこ!!」
『ま、待ってよぉ……って、私って何でいつも置いていかれるの!?』


彼女たちは少々駆け足で戻っていく。





++To be continued++






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