モーニングコール
目覚めはあなたの声で―――
モーニングコール
A.M.6:00
ろじこの携帯がけたたましい音を鳴らし、着信を知らせる。
『ん…な、何!?何の音!?』
「忘れたのですか??ろじこ。万丈目が、ろじこが遅刻しないようにモーニングコールすると言っていたではないですか。」
『あ…ああ、そう…って、今日は日曜日じゃない!!』
「さ、早く出てください。」
コマンド・ナイトに急かされるままに、ろじこは自分の携帯を手に取り、通話ボタンを押す。
『はい…もしもし、万丈目くん??おはよう!!』
「ああ、おはよう。ちゃんと起きれたんだな。」
少し意地悪く挨拶を返す万丈目。
『そりゃぁ、電話鳴ったら起きるよ!!…まぁ、休日まで電話してくれるなんて思ってなかったから、ビックリしたけど…』
「ああ、悪い。さすがに土日は電話しない方が良いか??」
『えっ、そんなことないよ!!休みだからって昼まで寝てたら、遅刻(ギリギリ)癖は治らないんだって。』
「それもそうだな……って、今まで休日は昼まで寝てたのか!?」
『すっ…すみませんっ!?』
「いや…いい。…そういえば、体調はどうだ??」
万丈目の問いに、ろじこは一瞬戸惑う。
『隊長…??…ああ、私のデッキの切り込み隊長のこと??』
「…いや、ちが……」
そして、ろじこの突然のボケに、万丈目はたじろぐ。
それをよそに、少し熱くなるろじこ。
『相変わらずの活躍ぶりよ!!1ターン目に彼とコマンド・ナイトと連合軍の永続魔法があれば、まず負け無しだからねっ!!』
「寝ぼけているのか??風邪は治ったのかと聞いたんだ。ったく…まぁ、その様子では元気になったようだな。」
『あっ、そっちね!!うん、おかげさまでっ!!』
「それは良かった。……ゆにばーすの戦術も聞けたしな。」
『え??』
「連合軍対策に、サイクロンをデッキに入れておく。…デュエルが楽しみだな。」
フッと、意地悪そうな笑みを浮かべている万丈目を、ろじこは容易に想像できた。
『…お手柔らかに。』
「同じブルー生ならば、デュエルに手加減はなしだ。」
『うへぇ…実技デュエルで一生当たりませんように…』
「フッ。では、これからも休日の日も電話するぞ。」
『あ、うん!!』
「じゃぁな。」
『はーい、ありがとー!!』
電話を切り、フゥ、と息をつくろじこ。
『……何か、不思議。』
「何がですか、ろじこ。」
携帯を胸に抱き、窓の外を見つめる。
『つい最近知り合ったと思ったら、今こうして電話したりする仲になってるんだもん。』
「進展の早いカップルは冷めやすいのだそうです。」
『誰よ、そんなこと言ったの!?……って、だからまだ私たち、付き合うとかそんな関係じゃ…!!』
「まだ、ですか…ということは、いずれは…」
『は、恥ずかしいから言わないで!!』
「自信アリ、ですか。」
『そ、そんなんじゃないよ…ただ、両想いになれたら……って、バカ!!』
「ひぃっ!!」
照れのあまり、コマンド・ナイトに向けて枕を飛ばすろじこ。
コマンド・ナイトは精霊なので枕が当たることはないが、一応避ける。
―――二人のペースで良いと思います。
コマンド・ナイトはそう思ったが、敢えて口にしなかった。
―――その頃、ブルー男子寮。
「ふぅ…」
万丈目が携帯を片手に、切ない表情で窓の外を見つめる。
「あいつは俺のことを、どう思っているのだろうな。」
まるで独り言のように、光と闇の竜に問い掛ける万丈目。
第4話からろじこの想いを知っている光と闇の竜は、背後から万丈目を見つめる。
「…フッ。聞いたところで、光と闇の竜、お前が知っているはずがないな。…独り言だ。」
万丈目は光と闇の竜の方を一瞥し、自嘲的に笑った。
―――いやいや、知っていますからね!!
光と闇の竜は話さないが、もしこれがコマンド・ナイトならば、即座にツッコミを入れるだろう。
しかし、光と闇の竜はじっとしている。
ただその目は、大丈夫だ、と言うように万丈目には思えた。
「まぁ、良い。明日の予習でもするか。」
携帯をポケットにしまい、万丈目は机に向かうのだった。
++To be continued++
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