きりゅーさん、テクニシャンです!
仕事で疲れた旦那さんのマッサージをする奥さん、それってすごいほんわかシチュエーションだと思うし憧れる!
しかし今、正反対のことが起こっているのでした
きりゅーさん、テクニシャンです!
『っく、きくぅぅぅぅ』
「お前おっさんみてぇだな。」
ベッドにうつぶせで寝そべる私、そしてその私の上に馬乗りになって、肩から背中にかけてマッサージしてくれる鬼柳。
鬼柳は意外と、意外と力加減が上手く、痛気持ちいいくらいの強さで指圧をしてくれる。
あーん、いい!
『鬼柳ぅぅ、あん、いい…』
「何だよ気持ち悪ぃ。」
『すごく、いい…』
「そうかいそうかい。」
変な声出すな、と言いながら鬼柳はぐりぐりと背中を指で押す。
『った!え、何、痛い!そこ痛い!』
「お前、結構張ってるな。」
『ほぅ、わかりますか。』
「何で俺より働いてねーくせにろじこのが疲れてんだよ。」
『確かに!ははっ!』
言われてみれば、私より鬼柳のほうが、次の領地争いのチームを探したり情報収集したり動き回っているというのに。
元気だね、鬼柳。
「しっかし案外ろじこも働いてんのかもな。見えてないだけで。」
『ちょっと!』
まるで私が毎日そんな働いてないよーに見えるみたいな言い方!
しかし鬼柳が、うんうんお前も頑張ってんのなー、なんて頭をなでなでしてくれるもんだから、黙って許してしまった。ちくしょう!
それから小1時間、私は鬼柳にマッサージしてもらうのであった。
『・・・』
「おい」
『・・・』
「おい!」
『・・・はっ!』
「お前」
『寝てた!』
「まじかよ!さっきから黙ってるからおかしいとは思ったんだよ。」
『快適すぎて・・・』
「お前が何も言わねーからいつまで続けたらいいかわからなかったじゃねーか。」
『あはは、ごめん鬼柳。もー大丈夫だよ。』
私は立ち上がり、うーん、と背伸びをする。
おお、スッキリだ!
『うーん、ありがとう鬼柳!めっちゃスッキリした!』
「おう、そりゃ良かった。」
『鬼柳まじでマッサージ師の才能あるよ!みんなにも鬼柳がテクニシャンだったって言っとくね!』
「誤解されるから何かそれやめろ。」
『えー。』
よし!体も軽くなったことだし、明日から鬼柳のためにしゃかりき働くことにしよう!
鬼柳にありがとうと伝え、私は寝ることにした。
次の日。
「おい鬼柳」
「なんだよクロウ。」
「お前昨日ろじこに何したんだ?」
「・・・は?」
「いや、ろじこが、『鬼柳ってばすごいの!』とか言ってたぞ。」
「あいつ馬鹿か。」
鬼柳、またマッサージしてね!
+fin+
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