月が綺麗ですね




サテライトの冬は寒い。
もう私死ぬんだ。寒くて死ぬんだ。
この冷たい世界で・・・











月が綺麗ですね










『きりゅーたん、来たよー』
「何しにだよ。」


夜、どうしても眠れなくて、いやむしろ永遠の眠りにつきそうで、私は自室を出て京介の部屋に来た。


「あと3秒で寝れるところだったのによぉ。」
『ごめんね、京介。一人じゃどうしても寒くて。』
「って冷てぇ!お前すげー冷てぇ!俺の布団に入ってくんな死ね!」
『そんなひどい!死ねはないじゃない!いやもう死ねって言われなくても寒くて死ぬわ!このままだと死ぬわ!』


部屋に入ってすぐ京介の寝ているベッドに潜り込んだ。
そしたら怒られた。


それにしても京介のベッド暖かい。
これは寝るのにベストだ。

・・・と思ったら私が冷たいのか、すぐ布団の中は冷めた。


「せっかく30分前からベッドに入って布団が温まったってぇのにろじこは・・・」
『よし、じゃぁいっちょ2人で温まることすっか!あ、これは京介のセリフだけどね!』
「あぁ俺のセリフだなそれは!何だよそういうことかよ早く言えよろじこは恥ずかしがり屋さんだな!」
『わー違う違う!』


今にも襲って来そうな京介を押しのけようと両手を出すと、その手をぎゅっと握られた。


『京介?』
「うわ、手ぇすげー冷えてる。お前いつもこんななの?」
『だって寒くて・・・』


京介にがばーっと抱きしめられた。
えっ?えっ?


「あんま体冷やすなよ、風邪ひくぞ?俺が温めてやるよ。」
『京介、』


よしよし、寒かったなー、なんて頭を撫でられるから、さっきまで冷てぇ死ねとか言ってきた京介が嘘みたいだ。
あと、温めてやる、とはやらしい意味ではなく、そうして抱きしめてくれるということだったので、それも嘘みたいだ。
何これ、すごい幸せー。


それなのに私ってば、密着する京介の体温、筋肉、それより何より硬く当たる大きくなったモノばかり気にしてるんだから信じらんない。
私のばかばか、せっかくやらしいこと抜きに胸キュンする場面だったのに!


『きょう、すけ』
「なんだよ?」
『あのっ、あのっ』
「あん?」


私が顔を真っ赤にさせて口ごもるので、京介は察したようだ。


「何、言わなきゃわかんねーよ。」


ニヤリと笑った京介は、そう言いながらも私に股間を押し付けてくるから本当にタチが悪い。
私も京介のアレが気になってから、もう頭の中が京介に抱かれることでいっぱいになっている。
ばか!本当にばか!!


「ちゃんと俺に伝えられたら満足させてやるぜ?」


そう耳元でつぶやく京介。
ぶっちゃけ京介が満足って単語使うと本当に笑っちゃうんだよムードもぶち壊しだよ。笑うの耐えるけど。
ええぃもう言うしかない!


『きょーすけぇ・・』
「ん?」

『月が、綺麗ですね』

「・・・?」


京介は困った顔で天井の欠けている部分から空の月を見つめ、おぉ、などと曖昧な返事をしている。


あー、京介、本とか滅多に読まないから通じてないや。


『その昔、まだ日本に英語が広まっていない頃、I love you.を月が綺麗ですね、って訳した人がいたのよ。』
「ほう、深いな。つまりろじこが今言った、月が綺麗ですねっつーのはつまり」


『やらせろってことだ。』


・・・


「お前、サイテーだな。」




こんな彼女でごめんね京介!
でも京介のことは大好きだから!


+fin+




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