さっきのカップルの彼女が別の男を連れてきた




城之内さんと先ほどのたこ焼き屋さんに来たら、たこ焼き屋のおっちゃんは微妙な顔をしてた。

きっと、こう思っているに違いない。











さっきのカップルの彼女が別の男を連れてきた









しかし、今後いつ会うかもわからないようなおっちゃんにわざわざ弁解するのも面倒なので、何も言わなかった。

近くの公園のベンチに座って、買ったたこ焼きを食べる。


『どうですか?美味しくないですか?』
「ん!うまい!ろじこ、ここに来て間もないのによく見つけたな!」


へへ、さっきダイナソーに教えてもらったんです☆などとは言えず、あたかも自分が見つけましたと言わんばかりに、でしょ?と笑っておいた。


「喉乾いたな。ろじこ、ちょっと待っといてくれ。飲みもん買ってくるよ。」
『え、そんな、悪いですよ!』
「いいっていいって!」


任せとけ!と、城之内さんは向こうの自販機まで歩いて行った。
もちろん後ろ姿もかっこよかった。


「よぉろじこ。今日はいつもみてぇにワイルドじゃなくて可愛いじゃねぇか。」


背後から声が聞こえ、首筋をツーっと触られる感触がした。


『ひぃぃっ!サトシ!違う、サトシとちゃう!誰や!』
「サトシって誰だよ!…よぉ、宿主が世話になってるな。」


獏良くん-ほんわか+いかつさ=誰?


「バクラだ。よろしくな、ろじこ。」
『はぁ、あぁ…よろしく、バクラ。』


バクラはお構いなしに私の横に座り、肩を抱く。


『ちょ、ちょっと!チャラい!』
「いいじゃねぇか、ちょっとくらい。」
『チャラ男怖いーーー!』


城之内さん助けてえええ、と叫んでいると、ちょうど良くジュースを買った城之内さんが戻ってくる。


「おま!バクラ!ろじこに何してんだ!離せー!」
「よぉ。なんだぁ?ヤキモチか?」
「な!ちげーよ!」
『何なんこれー!』


バクラは散々城之内さんをからかった挙句、楽しそうに、ろじこまたな!とおでこにチューして去って行った。


『何やったんや…』
「大丈夫か?ろじこ。」
『え、あ、はい!』


嵐のように現れて去って行ったな…


「ったく、バクラのやろー…ろじこ、気をつけろよ!」
『は、はい!あ、たこ焼き!冷めちゃいますね、食べましょう!』
「おう!ほら、お前のジュース。」
『あっありがとうございます!』


城之内さんからジュースを受け取り、私はたこ焼きのパックのフタを開けた。


『はいっ、城之内さん!あーん?』
「お、おま、」


私がたこ焼きを爪楊枝で刺して差し出すと、城之内は顔を赤くしてビックリする。


『あは、食べないなら私もらっちゃいますよ。』


私はたこ焼きを口に運び、パク、と食べる。


「あ、おい、俺にもくれよ!」
『はい、ちゃんと食べてくださいね、あーん!』
「ん。」


もう一度差し出したたこ焼きを、城之内さんはパクリと食べる。


「おお、うまいな!」
『でしょ、良かったー!』


城之内の笑顔にホッとしながら、私たちはたこ焼きを食べ終える。


うーん…これ夕ご飯食べれんのかなー。


「そーいやろじこ、今日は何か違うな?」
『え?違いますか?』
「うーん、何というか、いつもよりこう…ワイルドというよりマイルドっていう」
『それいつものジャケット着てないっちゅーことですよね?』
「おお!」
『は、はは…』
「でもよ…似合ってるぜ。」
『!!!!』


ドキ、と心臓が高鳴る。










「鬼柳!ろじこをこの時代に戻す方法がわかったぞ!」
「本当か、遊星!」
「ああ!この前ろじこのD・ホイールと通信がつながって、解析していたんだが、その通信を通してわかった。」
「早速やってみてくれ!」
「ああ!」


城之内さんと幸せな時間を過ごしつつ、私は京介のことも忘れてはいなかった。


これは浮気じゃないのー違うのーーー!!!
なんて、都合よすぎ?


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