Happy*Valentainday!
アジトに、普段は絶対にないような、甘い匂いが立ち込める。
そう、今日はバレンタイン!
Happy*Valentainday!
「おおー、すげえいい匂いだな!」
『おっはー京介!』
京介はチョコレートの甘い匂いに誘われ、アジトの寝室から起きてきた。
本当は、あらかじめ作っておいて、今日サプライズでプレゼントしようと思っていたのだが、知らないうちにバレンタイン当日になっていたのだ。
いやぁ、計画性って大切よねー!
ということで、朝ご飯にと思い、アツアツのフォンダンショコラでも作ろうと、私はキッチンでチョコレートを溶かしている。
『ちょっと待っててね。』
「待てねー、ろじこ早くー」
京介はキッチンに立つ私を、後ろから抱きしめる。
女の子の憧れるシチュエーション…!!
『ちょ、京介…!』
「何照れてんだよ。」
『だ、だって、動けないし、その…』
「んー、しかしまじでいい匂いだな。ろじこもチョコレートの匂いするぜー…」
『っ!』
髪、耳、首筋と、順番に顔をうずめられていくので、私は小さく肩を揺らした。
「はは、ろじこお前ほんとそこ弱いよな。」
『ば、ばか!あんまり邪魔するとあげないからねっ!』
「おー怖ぇ。」
京介はおとなしく体を離すと、テーブルに座る。
調理中に抱きしめられていると邪魔だが、離れると、それはそれで少し寂しいものである。
『できた…!』
「ろじこー!待ってたぜ!」
『はいっ、アツアツのうちに食べてー!』
テーブルにできたてのフォンダンショコラを出し、私はいつもより近い距離で、京介の横に座る。
「おぉ…!すげぇな、ろじこ。」
『サテライトじゃこんなの滅多に食べれないでしょ?早く開いてみてー!』
「じゃぁ早速…」
京介がフォークを入れると、中からトロっとチョコが流れ出す。
「おぉ!すげぇ!うまそー!」
『やった、うまくいった!』
「ん、ろじこ。」
『え?』
何も乗っていないフォークを差し出す京介。
…食べさせろ、とゆーこと?
私はフォークにショコラと添えていたイチゴを乗せる。
『…はい、京介。あーん?』
「ん!」
パク、とフォークを口に入れると、京介の表情がゆるむ。
「うめぇ…!」
『ほんと!?やったぁ!』
ありがとうな、と頭をよしよし撫でられる。
私の期待していた笑顔を向けられ、幸せを感じた。
『もっかい、あーんしてあげる。…はい?』
「ん。」
もう一度、ショコラを差し出すと、京介はそれを口に入れる。
そして、京介は私の頭を抱え、顔を近づける。
『んっ!』
口移し。
そして甘い京介の舌が私の舌に絡み、口の中に、よりチョコレートの甘さが広がる。
「な?うまいだろ?」
『お、美味しい…』
ニッと笑う京介。
私はただただ顔を赤くしていた。
Happy!Happy!
Valentainday*°
+fin+
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[mokuji]
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