上空奇襲





「ばるこ、ついて来るな。」
『何でよ、オブライエン!!私だって十代を助けたい!!』
「危ないだろう。俺とエド、亮が覇王城に乗り込む。お前はその間、村に隠れているんだ。」
『やだぁー!!オブライエンのバカっ!!うわぁぁぁん―――!!』










上空奇襲










『エドもヘルカイザーもオブライエンも許してくれなかったし…』


ばるこは、オブライエン達に黙って村を出ようとする。


「「「ばるこさん〜〜〜!!」」」
『ドキッ!!…踊る妖精さん!!』
「どこに行くのですか。村で待っているよう言われたのでは??」
『う、海神の巫女さんも……止めないで。私は…』
「私たちには、あなたを守るという役目があるのです。」
『…オブライエンと約束を??』
「ええ。だから、私はあなたを行かせるわけにはいかないのです。それに、私たちもあなたが心配です。」


きっと、何を言っても通してもらえないだろう。

そう思い、ばるこは1枚のカードをデッキから取り出した。


『ごめんね、私は行くわ!!ベビードラゴン召喚!!私を乗せて覇王城まで飛んで!!』


ばるこはすぐさまカードから現れたベビードラゴンにまたがるが、ベビードラゴンは困った顔を見せる。


「ガウ〜…」
『と、飛ばない…何でぇ!?私、重い!?ワイバーンの戦士は乗せるじゃん!!』
「ばるこさん!!行ってはダメです!!」

『くっ…しかたない。出てこい”地を這うドラゴン”!!』
「ワシは…空を飛べないのだが。カードに書いているだろう。」


地を這うドラゴン
レベル4通常モンスター
攻:1600 守:1400
力が弱り、空を飛べなくなったドラゴン。しかしまだ攻撃は強い。


『間違えたッ!!』
「バカ者!!」
「ガウガウ!!」
『くっ…こうなったら、2体のモンスターを生贄に、出てこーいっ!!トライホーン・ドラゴン!!』



バキィッ


凄まじい威圧感と共に現れた、攻撃力2850のライホーン・ドラゴンは、召喚されたと同時に、ばるこの頭を殴った。


『!?!?!?!?…殴った!?』
「愚か者が!!わたしのどこに羽が生えていると思っているのだ!?」
『しまった!!トライホーンドラゴン羽生えてねぇぇぇ角しか生えてねぇぇぇ』
「「「「………。」」」」


ばるこのあまりの失態に、海神の巫女たちは、もはや何も言えなかった。





『ええい!!羽がなければ走れば良いのよ!!トライホーン・ドラゴンなら威圧感あるから他のモンスターも寄ってこないだろうし。』
「わかった。」



ズシーン…



ズシーン…



『…遅っっ!!そんなんじゃ覇王城に着く前にオブライエンたちに見つかるって!!』
「付き合ってられん!!わたしは帰る!!」
『ああっ、せっかく召喚したのにぃ!!』



トライホーン・ドラゴンは、デッキに戻っていってしまった。



『ふ、良いわ。最終手段よ!!”砦を守る翼竜”カモァーーーンヌッ!!』
「グワァ〜〜〜ッ!!」


勢いよく飛び出した砦を守る翼竜は、足で#生焼け#を鷲掴みにすると、上空高くに舞い上がった。


『え、これ…??……いやぁぁぁ〜〜〜っ!!高い高いっ!!』
「グァッグァッ」
『絶対落とさないで……ん…??』


バサッ
バサッ


砦を守る翼竜を追うように、2体のモンスターが飛んでくる。


『…うん??』
「キシャァァァ!!!!」
『だぁぁぁーーー!!!!なんじゃありゃーーー!!!!』



ばるこが首だけで後ろを振り返ると、まさに砦を守る翼竜の真後ろを飛ぶ2体のデビルドラゴン。


攻撃力は1500。
砦を守る翼力の攻撃力を100ポイント上回る。



『しかも2体…。』
「グワゥ!!」
『え??何??』
「グワゥグワゥ!!」
『諦めるなって??…そうね。デビルドラゴンが出るってことは、覇王城に近づいているからよね。……でも近くね?なんかデビルドラゴン近くなってね?あいつら速くね?』


ひたすらに逃げていたばるこ達だが、ついに追いつかれる。
ばるこは覚悟を決めて、デュエルディスクを構えた。


『砦を守る翼竜を生贄に…―――』


砦を守る翼竜が生贄に捧げられ、ばるこは宙に投げ出される。



『っ…カース・オブ・ドラゴンを召喚ーーー!!』


必死にばるこが叫ぶと、空の彼方からカース・オブ・ドラゴンが飛んでくる。


「ギャァァァァオ!!」
『デビルドラゴンを撃破よ!!ヘル・フレイム)!!』


ボンッ
ボンッ


カース・オブ・ドラゴンは必殺技でデビルドラゴン2体を倒すと、すぐさま落下中のばるこの元へ飛び、背に乗せる。



『…ふぅ、助かった…ありがと、カース・オブ・ドラゴン。さ、覇王城まで急ぐわよ!!』





しばらくすると、まがまがしい雰囲気を醸し出す覇王城が見えてきた。


『あれが、覇王城……』


城の周りにはモンスターが張っている。
空にも何体ものモンスターが見張るように飛んでいるが、カース・オブ・ドラゴンは闇属性モンスターなので、たいして怪しまれないようだ。
しかしおそらく、門から強行突破は無理であろう。



『あれっ??』


鉄壁かと思われる城塞に、ばるこはたった一部だけ侵入できそうな入口を発見する。
テラスのような構造で、おそらくここから近くの町の様子が見られるようになっているのだろう。



『あそこからなら入れるかも…カース・オブ・ドラゴン、行くわよ!!』



ばるこが掛け声をすると、カース・オブ・ドラゴンは猛スピードで突っ込もうとする。




『えっ、このまま突っ込む気ぃぃぃ!?』


ばるこは必死で背にしがみつきながら、何かを見つける。



『あっ、今テラスに出て来たのって……十代!!っていうか覇王!!っていうか十代!!』



十代――覇王を見つけ、カース・オブ・ドラゴンは彼を目がけて更に加速する。



『げっ、激突するつもり!?と、止まって〜〜〜!!』



しかし、スピードは増すばかりであった。

ぶつかる―――しかし、すんでのところでカース・オブ・ドラゴンは急に垂直方向に上を向いた。


『……は…??』


すなわち、ばるこは背から滑り落ちることになる。



『ほ、本日二度目の空中落下ぁぁぁーーー!!』



今度こそ、死ぬ。

そんな気持ちがばるこの頭をかすめた。









バフッ



「…全く、世話の焼けるやつだ。」


いわゆる、お姫様抱っこ、という体制で覇王に受け止められる。


『……十代、会いに来たの。ラ○ュタじゃないの。』
「それを言うならシー○…いや、その、当たり前だろう。戦いにきたというものならインフェルノ・ウイングで消してやったところだ。」


覇王のツッコミのなかに、ばるこはかつての十代を垣間見た。
そして、そっぽを向く覇王の照れ隠しにも笑えた。



「しかし、何も上空から攻めることはないだろう。言えば迎えに行ってやったものを。」
『どうやって言うの??PDA使えないよ。』
「…愛があれば、できる。」
『十代なら良いけど、覇王が愛とか言うなっていうか何というか…』
「う、うるさい!!」




ガバッ


『お、お馴染みの効果音……やっぱりこうなの??結局こうなの??』
「俺も…だいぶばること会ってなかったからな。」
『ほ、他の人…モンスターとしてないでしょうね??』
「ふ。当たり前だろう。ばるここそ、誰にも手を出されてないだろうな??」
『ダイジョーブ!!』
「そうか、なら良い…ばるこ、俺はお前と一つに…」









チュンチュン…



『(夕方にここに来たとしても、そのまま朝を迎えてしまった…どんだけ……)』
「すー。すー。」
『(……私の身体、もつかなぁ。)』



隣で満足そうに寝息を立てている男を見つめ、ばるこは恐怖を感じるのであった。











++ END ++





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