Yakyu-Ken
『……は??』
ジムの言葉を聞いて、ばるこは固まる。
Yakyu-Ken
『な、何でそんな言葉を知ってるの…??』
「十代に教えてもらったんだ。日本の伝統的なゲームだと。」
さかのぼること30分前。
岩を見ていたジムのそばを十代が通る。
「Hey,十代。」
「よぉ、ジム。探してたんだ!!」
「Why??」
「留学生ってことは、デュエルだけじゃなくて、日本文化も学ばなきゃな!!」
「あぁ、それは是非知りたいな。十代が教えてくれるのか??」
「おぉ!!」
十代は真剣な顔で、「野球拳」と一言言うだけだった。
「What??聞いたことの無い単語だ。」
「これは、昔からある日本の伝統的なゲームなんだ。」
「へぇ、一体どんなゲームなんだ??」
「それは…教えられない。」
「教えてくれるのと言ったじゃないか。」
「残念だが…俺の口からは言えない。そうだ!!ジムの彼女のばるこなら、教えてくれるぜ♪」
「そうなのか??」
「あぁ!!」
「分かった、聞いてみるよ。Thank you,十代。」
「おぅ、じゃぁな!!」
あの、エロ野郎…!!
ばるこは十代への怒りを覚えた。
『ふぅ…あのね、ジム。』
「Yeah??」
『私の口からも、野球拳については答えられないわ。』
「Why??知らないのか??」
『えっ、う、うーん、知らなくはないんだけど…』
「そういや、十代が歌を教えてくれたよ。」
『!?』
「や〜きゅう〜する〜なら〜このくら〜いにしなしゃんせ〜」
口ずさむどころか歌い出し、さらには踊り出すジムに、ばるこは頭を抱える。
『何でそんな歌えるの!?』
「ははは、物覚え早いんだ。」
『覚える必要ないよ!!』
「さぁ、教えてくれ。歌まで覚えたのにゲームのルールを知らないんじゃ意味ないしな。」
キラキラと目を輝かすジムに、ばるこはただ困惑するばかりであった。
はぁ、とため息をつき、ばるこは諭すようにジムに話す。
『……あのね、ジム。』
「ん??」
『野球拳ってのは、ちょっと破廉恥な宴会奥義なの。だから、あまり教えたくない…』
「What!?は、破廉恥だって……是非、教えてくれ!!」
『(やっぱり食いついてきた―――!!)や、やだ……』
「教 え て く れ !!」
ズイッとに近寄るジムに、反射的にばるこは後ずさる。
『う…分かった、教える。教えるけど、しないからね!?』
「Sure」
『…ジャンケンをして、負けたら服を一枚ずつ脱いでいくの。それで、全部脱いでイヤーンっつーゲーム。』
「それは……良いな。」
『良いのかよ!!サイテー!!今も言ったけど、しないからね!?』
ジムから少し距離をおき、身構えるばるこ。
よっぽど信用がないのかとジムは苦笑する。
「…分かったよ、ばるこ。俺もばるこには嫌われたくないからな。」
『ジム…!!』
気難しい表情をしていたばるこの顔は一変し、安堵したように笑ってジムに抱き着く。
『ジム素敵!!大人!!物分かり良い!!大好き!!』
「全く、表情がコロコロ変わるな、ばるこは。」
『さ、問題は解決したし、あとは十代をしばきに……ん??』
お尻のほうに、わさわさとした感触をばるこは覚える。
『な、何、ジム…』
「野球拳などしなくても、俺はばるこを簡単に脱がせられるからな。」
『……やっぱサイテー!!』
その後しばらく、ジムと十代はばるこに口を聞いてもらえなくなった。
―――数日後。
「ばるこ、脱衣麻雀、って何だ??」
『もぅ、知らない!!』
++ END ++
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