蒸し暑い部屋





コン、コン…


「ばるこか??」
『ジム??入るよ……キャーーー!!!!』










蒸し暑い夜










ばるこ――ジムの彼女が、夜遅くに彼の部屋に訪れることはそう珍しくなかった。
むしろ、そうでないほうが珍しいと言える。

ばるこは普段のように、一応ノックで断りを入れてから彼の部屋のドアを開ける。
そう、これがいつもの光景。
しかし、部屋の中にいた人物は、違った。


『な、何であんた上半身裸で、しかもズボンはいてないの!?』
「No Problem.パンツははいている。」
『いや、まぁ、そこは大丈夫だけど…いつもならちゃんと着てるじゃん!!』
「フゥ、今日は一段と蒸し暑いからな。今日本で流行りの、クールビズ、というやつを試してみたんだ。」
『そっか…てっきり間違った方向に目覚めたのかと思ったよ。』
「たとえそうだとしても、ばるこはそろそろ見飽きたんじゃないか??」
『なっ、そんなこと…!!』
「ははっ、冗談だ。」
『やっぱ変態!!』


顔を真っ赤にして、ベッドに座っているジムの隣に、ばるこもチョコンと座る。

服を着ていても何となく分かるが、ジムの体はしなやかに筋肉がついており、男らしい。
それを裸の状態、しかも間近で見て、ばるこの心臓はさらに鼓動を速めた。


「どうした、ばるこ??」
『ジムの体……エロっ。』
「What!?何を言い出すんだ…??」
『っていうかね、クールビズと称して、肉体美を見せてくれるのは良いんだけど、別に布面積を減らすだけがクールビズじゃぁないよ。』
「そうなのか??」
『うん。例えば、ネクタイをつけない――まぁジムには関係ないけど、それとか、通気性の良いブラウスとかスーツを着たり。』
「I see.知らなかったよ。ただ脱げば良いものだと思っていたが。」
『まぁ、脱ぐのが一番手っ取り早そうだけど。…でも、それはこの部屋内だけにしてね??』
「それは、俺の裸を他人に見せたくないという、ばるこの独占欲ととって良いのか??」
『ち、違うって言ったら嘘になるけど…。』
「フッ、それは嬉しいことだな。もちろん、ばるこ以外には見せないことにするさ。」
『ってか、それ以前に、人前でそこまで脱げば捕まるからねって話!!』
「心配性だな、ばるこは。この程度なら問題ないさ。何も…ナニも陳列していない。」
『……』


ケロッと問題発言を言ってのける留学生に頭を抱える、ばるこ。

ーーこの人、こんなんだったっけ!?


「さて、ばるこ。」
『ん、何??』


何かを思い付いたように、ばるこを見るジム。
その目を見れば、だいたい何を考えているのかが分かる、ばるこは瞬時に青ざめる―――


『あんたまた良からぬことを……!?』
「暑くないか、ばるこ??っていうか、暑いだろう。暑いに決まっているよな。」
『え、な、何…―――!?』


ヤバイ、とばるこが思ったときにはもう既に遅かった。
視界が反転する、と感じたときにはもう既に、ばるこにジムが馬乗りになっていた。


『どういうこと…??』
「ばるこ、うっすら汗かいている。」
『そうだけど……ね、ジム。まさか、あんた……』
「Yeah.ばるこにもクールビズを体感して欲しくてね。」
『じょ、冗談でしょ。』
「本気さ。」


たいてい、この体制になればばるこは観念してジムに身を委ねる。
それを知ってか、彼は妖しく笑みを浮かべた。





―――翌日。


『…クシュン!!』
「どうした??ばるこ??」
『か、風邪引いたみたい…』
「…クールすぎたか??」
『…もう一生ジムの前で脱がない。』
「What!?そ、そんな!?」
『っていうか、もう夜にジムの部屋行かない…クシュン!!』
「…!!!!」


以来、彼は暑い夜は素直にクーラーをつけるようになった。





++ End ++




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