囚蝶






覇王城の地下、そこには牢獄があった。
そこを奥に行くと、檻ではなく、重く頑丈な鉄の扉の部屋がある。
彼女はそこにいた。










囚蝶










ガンッ、ガンッ…


外側からかけられた南京錠は、いくら強く扉を叩いたとしても外れることはない。
それを知りながら、無駄なあがきと分かっていながら、彼女はただ扉を殴り付ける。


『っ…このっ…!!』


手は赤く腫れており、扉を叩く旅に激痛が走る。
それでもなお、彼女はその手を止めようとはしない。


―――抵抗を止めたとき、私は覇王のものになってしまう…!







数週間前。


『……みんな、どこ行っちゃったんだろ…』


異世界に来る時、ばるこだけは別の場所に飛ばされていた。
一人、森の中を迷うばるこ。

そこへ、覇王の手下であるバオウが姿を現した。


「そこの女…デュエリストだな。」
『誰ッ!?』
「ん??そういやこいつ…おいお前、名前は何だ??」
『ど、どうして名乗らないといけないわけ…??』
「ちっ、反抗的だな……まぁ良い。これからデュエルで消すやつの名前なんか聞いても、忘れるだけだ……なぁ、ばるこ??」
『私の名前を…、っ!!』


そこで、ハッとする。


「カマかけただけだよ。まんまと引っ掛かりやがって。」
『!!』


バオウはニヤリとばるこを見下すように笑った。


「お前がばるこだな…一緒に来てもらおうか。」
『うっ!!』


バオウがばるこのみぞおちに拳を入れると、ばるこはいとも簡単に意識を手放した。





『っ、う……』


目を覚ますと、ばるこはベッドに寝かされていた。
その部屋は狭く、今ばるこが寝ているベッド以外に何もない。
手錠などの拘束具は何も装着されてはいないが、扉は鍵がかかっており、外には出られそうにない。





そして、現在に至る。





カツン…カツン…


何者かの足音が聞こえる。
そしてそれは、だんだんばるこの方に近づいてくるようだ。
それと同時に、ばるこは青ざめる。





ガチャ…


鍵が開けられ、鎧を着た人物が部屋に入ってくる。


「いい子にしていたか、ばるこ??」
『…覇王…!』





覇王と呼ばれた人物は、ばるこの真っ赤な手を見る。


「…また、お前は…。」
『……っ』


無駄なことを、と言って傷口をペロリと舐めると、痛みと共に、何かゾクッとするものをばるこは感じた。


『は…離して!!』


掴まれていた手をバッとはじいて、覇王と距離をとる。
狭い部屋なので、それはあまりにも短いが。


「逃げても無駄だ。」
『や、ぁッ!!』


体力の弱ったばるこを捕まえることは、覇王にとって、赤子の手を捻るようなものだった。


『んっ…!』


奪うように口付けをし、犯すように舌を入れる。
ばるこは力無く覇王の胸板を押し返して抵抗するが、それは逆に彼をそそらせる以外の何ものでもなかった。


完全に力の抜けたばるこは、されるがままになっている。
覇王はいとも容易に彼女の服を脱がせ、下着も剥ぎ取ってしまった。
あらわになった胸と秘部をばるこが隠そうとすると、覇王は彼女の両手を掴み、それを阻止する。


『やだっ、恥ずかしい…』
「晒せ。俺にだけ…」


生まれたままの姿を覇王に見られ、それだけでばるこの体は熱を帯びる。


『も、やめてっ…!!』
「何故だ??見られているだけで感じているんだろう??」
『そんなこと、ない』
「確かめてみるか??」


覇王はばるこの秘部に指を入れ、それと同時に舌で胸の方を攻めた。


『っや、ぁ!!』
「っクク…体は正直と言うことか。」
『ち、違っ…あ、はぁっ…』


声も指も、覇王の全てがばるこの理性を崩しかけていた。


「入れるぞ。」
『やっ、ぁん…!!』


ばるこは一瞬体を弓なりにし、ただ必死に声を押し殺そうとする。


「っく…声…出させてやる」


覇王は激しく腰を打ち付ける。


『ひぁ、ん…やだぁ、やだぁっ…!!』
「お前は…俺のものだ…!!」
『あぁ…―――っ』


一際高い声を上げて、ばるこは果てた。覇王と共に。





覇王は乱れた自分の服を整えると、また明日来る、とだけ告げ帰っていった。
残されたばるこの瞳からは、涙がとめどなく零れる。
それが悲しみの涙か、快楽の涙なのかは本人にも分からない。





ガンッ、ガンッ…


彼女は今日も、自分を痛め付けながら、逃げ出そうする。
逃げられないのは分かっている。
抵抗をやめたくないだけなのだ。




―――せめて心だけ、あの人への心だけは守りたい…どれだけ身体を奪われようとも。


そう、見えない明日を夢見て。





カツン…カツン…


「今日も楽しませてもらうぞ。」
『……』





++ END ++





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