いわゆる5W1H






@誰がA何をBいつCどこでD何故Eどうしたか

…ちゃんと明確に伝えましょうね!!










いわゆる5W1H










「……はぁ…」


深くため息をつくのは、この異世界を支配する王。


「いかがなされましたか、覇王様。」
「ああ…スカルビショップか。」
「最近ご気分が優れていらっしゃらない様子ですが。」
「ばるこがな…」
「あの小娘…いえ、ばるこ様がどうされたのですか。」
「……ないんだ、先月辺りから。」
「な、何ですとーッ!?」


スカルビショップに衝撃が走る。


「ああ……先月から一度も、俺にかまってく「ないんですか…本当に、先月から…!!」
「あ、ああ…??」
「どうされるおつもりなのです!?」
「どうって、お前……だから悩んでいる。」
「そ、そうでございました…いや、しかし、ばるこ様のためにも決断は早い方がよろしいかと…」
「決断…だと??」
「ええ、そうです!!」


遠くを見つめる覇王と、固唾を飲むスカルビショップ。
張り詰めた空気の中、覇王は考え込む。


「(決断…とは、ばるこを手放すか否かということか??)」

「(しかし、覇王様も不注意でいらっしゃる。この遠征で忙しい時期にあの小娘を孕ませるなど…)」


そう、お気づきの通り、二人は勘違いをしている。


「いや、決断ならば最初から変わってなどいない。ばるこは絶対に手放さん。」
「ばるこ様はそれでよろしいでしょう。し、しかし、次の世代はどうするのです…!?」
「次の世代だと…??いや、考えていなかった。(何だ、次の世代とは…)」
「な、何ですとー!?そのような心構えが今回のような結果を生むのです!!(ちゃんと考えて避妊ぐらい…ったく今時の若者は!!)」
「な、何ッ!?落ち度は俺にあると言うのか!?(かまってもらえなくなるような事、俺が何かしたか!?)」
「明らかにそうでございます!!(覇王様がゴムさえ…―――)」
「そうか…分かった、謝ろう。」
「…!!…」


ヘナヘナと地に座り込むスカルビショップ。
覇王の謝る、というのは、スカルビショップの中では、謝るから堕ろしてくれと言うものだと解釈されたらしい。

その時―――


『覇王、いるー??』


ひょっこりと、どこからやって来たのか、ばるこが現れた。


その瞬間、泣き出すスカルビショップ。



「っく…ぐぅ…」
『えーッ!?何泣いてんですか、スカルビショップ!?』
「さっきから、取り乱すわ泣くわで騒がしい奴だな…」
『覇王が泣かせたんじゃないの!?』
「俺は別に……そうだ、ばるこ。」
『うん??』
「……すまない。」
『え??』


突然の覇王の詫びに、ばるこは目を丸くした。
と同時に、スカルビショップの顔が真っ青になる。


「やはりいけません、覇王様ー!!」


そして彼は涙ながらに叫んだ。


『な、何…どうしたの!?』
「覇王様、早まってはいけません!!もう一度冷静に考え直しましょう!!」
「ばるこに謝れと言ったのはお前だろう!?」
『え、私今から何を謝られるの!?』
「新しい生命を、そう簡単に捨て去るなど非道もいいところ!!」
「…新しい生命、だと??」


覇王は心底驚いた様子でばるこを見る。

「本当か、ばるこ!?」
『いえいえいえ。まず話の脈絡がイマイチ掴めないんですけど。』
「覇王様、おっしゃったではないですか!!ばるこ様が先月から…その、いわゆる”ない”と…」
『私ーッ!?んなことかけらほども言ってないって!!』
「しかし、覇王様は確かにそうおっしゃいましたぞ!!」
『根拠がないでしょう!?』
「いや、あの、俺は……」
「だから、謝って堕ろしてもらうと、そうおっしゃったではないですか!!」
『マジ!?別に身篭ったりしてないけど、だったらサイテー!!』
「だから…」
「覇王様!!」
『覇王!!』


思いも寄らない展開に戸惑う覇王であったが、心にもないことを言われ、そろそろ限界のようだ。


「人の話を……聞けぇ!!!!」
『ひぃッ、覇王が怒ったぁ!!』
「す、すすす…―――!!」(←すみません、と言いたいらしい)


そして真っすぐにばるこを見る。


「…ばるこ。」
『なぁに??』
「俺は、ばることの間の子ならば…是非欲しいと思っている。」
『は、はぁ…』
「ばるこの両親にも挨拶をしに行く。」
『えぇッ…その格好で!?』
「……」
『あ、いや、どうぞ続けてください。』
「だが…今言いたいのはそんなことではない。」
『うん??』
「最近は遠征続きで、寂しい思いをさせてしまった。」
『それは…そうだね。』
「最近ばるこがつれないのも、それに怒っているからだろう??」
『違うと言ったら嘘になるけど…でも、怒ってるんじゃなくて、寂しさから当たっちゃうの、ゴメンね??』



少し俯いて謝るばるこを、覇王はそっと抱きしめる。


「いや…俺も、すまなかった。」
『ううん…でも、何がどうなって、覇王とスカルビショップは話を食い違えたの??』
「ああ、それなんだが。」


二人――まだ抱き合った状態で――にじっと見つめられ、スカルビショップは少したじろぐ。


「な、何でしょうか…??」
「すまなかった。先月からばるこがかまってくれない、と言う意味だったのだが…」
『いやでも確かに、”ない”だけ言われたら、アレがない、って勘違いするよね。』
「も、申し訳ございません…」
『まー、誤解も解けたことだし。スカルビショップ、明日は覇王休ませてねッ』
「…と、言いますと??」
「分かった。明日はばることゆっくり過ごすとしよう。」
『ありがと!!』


しかし、スカルビショップはまだ心にモヤモヤが残っているようだ。


「腑に落ちんような顔をしているな。」
『えー、やっぱり反対なの??』
「いいえ、そんなことは……しかし、この勘違いが実際起こりませよう、ゴムだけは…―――」
『ご、ゴムっ…!?』
「心配するな、毎日使用している。」
『それじゃぁ毎日してますって言ってるのと同じよ!?』
「本当のことを言って何が悪い??」
『ばっ…馬鹿、サイテー!!』
「(…言うんじゃなかった…)では、私はこれで退室致しますので。」
「ああ、ご苦労。任しておけ、今日も装着する。」
『もういいよ!!』


なんだかんだ言って、覇王城のみんなは仲が良かったりする。


ばるこも、遠征続きだった覇王に対し、冷たく当たっていたが…

解決した今はラブラブなようだ。




++ END ++




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