Whiteen*Blacky






服と共に、彼は心まで白くなってしまったようだ―――










Whiteen*Blacky










「ばるこ、愛している。」


急に真面目な顔をしたと思ったら、彼は突然愛を囁き始めた。


『え、あ、うん…』
「…また話半分に聞いているだろう!?」
『そ、そんなことないよ。ちゃんと、愛している、って言葉聞こえたよ。うん、ありがと。』
「ならば、ばるこも応えろ。」
『な…何、どうやって??』
「どうやって、ってお前…」


青いときは完全なる自分至上主義者。

黒いときは完全なるハジケキャラ。

白いときは―――


「私も愛しているわ、とか。」
『うへぇ…無理。』
「…何故だ…!?」


急に、シュン、とうなだれる準。


「ばるこは、俺のことを好いてはいないのか…??」
『そ、そうじゃないけど…』


えぇッ、何この人可愛い!!


「じゃぁ、俺にも愛を囁いてくれ。甘く、とろけるほどに!!」
『じゅ、準が甘くとろける、とか言うとキモイよ…!!』
「…やはり、ばるこは俺が嫌いなんだな…」
『ち、違うよ。むしろ逆なんだけど…逆なんだけどぉ…!!』


愛している、だなんて言葉を頬を染めながら言う準を、私は知らない。
いつもならば、私が甘い言葉を求めても、「ええい!!言わなくても分かるだろうが!!」と言って照れつつも相手にしないか、「フッ、行動で示してやろう。」とか言って破廉恥なことをしでかすか―――
間違っても、俺が嫌いなのか、というような言葉を涙目で訴えかけてくることなどはない。

でも、私の目の前にいるのは、紛れも無く準であり、他の誰でもない。

何だか…可愛い。
やっぱり可愛い。





「ばるこ以外、何も見えない。」


「俺は…ばるこがいなければ生きていけないんだ…」


「ばるこがいればあの星を掴めるだろう。」


「結婚してくれ。」


「ばることの子が欲しい……よし、しよう。」




散々、聞き慣れない甘い囁きを聞かされ、私の体力も限界に近い。
最後のはいつもの準と変わりないが。



『ホントに、どうしちゃったの。準。』
「…変か??」
『これが変じゃなかったら世界の終わりよ。』
「…やはり、俺のこと嫌いに…」
『うわぁぁごめんってー!!準が大好きよー!!』
「フッ。そんなストレートに言うな、照れるだろうが。」
『…もう何、こいつ…ッ』


斉王様とか言うわ、光の結社に勧誘してくるわ…揚げ句の果てにはこれだ。
まぁ、ぶっちゃけ白い準は可愛い。
何だかか弱くて虐めたくなる気もしないではない。


『あ、そう言えば。十代にね、デートに誘われちゃったの!!』


もちろん、嘘。
それに、十代はデートって単語知らなさそう。


「何だと??チッ…後でシメておくか。」
『………え??』
「何だ??」
『今、何か言った??』


何だと、の後に。
シメるだとか聞こえたんですけどね。


「いや何も…そんなことはいい。ばるこ、俺を…捨てるのか??」
『え??』


少し俯き気味だが、瞳が潤んでいるのが見える。
そして、その手を私の手に重ね合わせ―――


「…捨てないでくれ…」


きゅーーーん☆
めちゃめちゃ可愛いですやーん!!


『ああん、ごめんなさい準!!やっぱり準が大好きー!!』


ガバッと準に抱きつく…

が。


『……』


わさわさ…


…腰の辺りをまさぐる準の手の感触。


『ちょっと??』
「ばるこ…愛しい。」
『な、何??』
「柔らかい髪も、長いまつげも、タコ焼きがつくれそうな頬も、そして今すぐ鷲掴みにしたくなる、む『わー!!!!』
「叫ぶほど恥ずかしいのか??照れるな、可愛い奴め。」
『もう!!馬鹿!!早くこの手、のけて!!』
「…俺のこと、嫌」
『あー!!分かった!!もう、好きにして!!』
「…ほう。」
『…ハッ!!』


しまった、というように準の顔を見遣る。


「なんだ??(ニヤリ)」
『(……ぎゃーす!!)』


あれ…あれぇッ!?
さっきまでアナタ白くなかったですか!?
何、何今の一瞬いつもの準じゃん!!


「仕方のない奴だな、発情して。」
『な、な…ッ!?誰よあんたー!?』
「フッ、俺の名を忘れたとは言わせんぞ。一、十、百―――」


青いときは完全なる自分至上主義者。

黒いときは完全なるハジケキャラ。

白いときは…―――





「さぁ、ホワイト寮に帰るぞ。」
『…私、ホワイト寮じゃないんですけど。』


「好きにして、良いんだろう??」





完全なる、性格ツートン男だった。


『やーだー!!やっぱり性格の白い準が良いー!!』
「ええい、知るかッ!!」





++ END ++


yamaneさまへ捧げます*°



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