フィールとは




『〜♪』


私にもデュエルディスクが支給された。

嬉しくて、眺めたり、腕につけて鏡で見たり。













フィールとは











「ろじこ…?」
『げ!!』



鏡に映った、デュエルディスクを構えている自分を見て惚れ惚れしていたところを、まさか誰かにに見られてしまうとは。

京介くんは、小馬鹿にしたような表情で立っている。



「何、鏡の前でポージングしてんの?ぷぷ。」
『まさか見られるとは…だって、感動して!』
「確かに、俺も最初はすげーって思ったしな、お前の気持ちも分かるぜ!…よし、デュエルだ、ろじこ!」
『京介くん…!』
「京介、でいいよ。お前のデュエルディスクを使った初めてのデュエル。俺が相手になってやるぜ!」
『よっしゃ、かかってきなさーい!』



デュエル場以外でのデュエルは禁止されているので、私たちはデュエル場に走った。



「あれは…鬼柳と、ろじこ?」



途中、ジャックくんとすれ違った気がしたが、私は初めてのソリッド・ビジョンが楽しみすぎてデュエルのことしか頭になかった。





『私はプチ・テンシを召喚!装備魔法、銀の弓矢を装備ね!…おぉ〜!!』


プチ・テンシが立体に現れる。
思わず歓声を上げてしまう。



「はは、本当嬉しそうだな。でもな、ろじこ!そう感動ばかりしてられないぜ!俺のターン!」
『!!』



京介は場のモンスターを生贄に、上級モンスターを召喚する。



「いけ!シザーハンズ・ドラゴン!プチ・テンシを攻撃だ!」
『っきゃあぁっ…!!!』



ドドド…!


体に衝撃が走る。



『っく…な、何これ…!?』
「それが、フィールだ。」
『ふぃーる…?』



私が口を開けたままにしていると、その背後から声がした。



「おや、鬼柳くんに先に言われてしまいましたね。」
「あ、阿久津所長!」
『所長!』
「ろじこちゃん、それがフィール。私たちが日々実験・研究しているものです。」



阿久津所長は、デュエル場に設置されている球体のようなものに手を置く。



「これはフィール発生装置。あなたたちのデュエルでは、あなたたちの力に反応して、このフィール発生装置がフィールを発生させるのです。」
『・・・?』



「このフィール発生装置を小型化してデュエルディスクに組み込めば……未来のエンターテイメント……君たちの力……決闘龍に相応しい者を……」





ぽかーん



阿久津所長は目を輝かせて語ってくれたが、しかし残念ながら、私の頭に入ってきた言葉は一部だけであった。



『結局……フィールって何だ……?』



「そのうち分かるだろ!さぁろじこのターンだぜ!」
『はっ、そうそう!まずはそのシザーハンズ・ドラゴンを何とかしなきゃね!』



私は目線を所長から京介に移す。



『私はハッピー・ラヴァーを召喚!』
「伏せカードもないのに攻撃表示…!?行け、シザーハンズ・ドラゴン!」
『この時!手札からオネストの効果発動!ハッピー・ラヴァーの攻撃力はシザーハンズ・ドラゴンの攻撃力分アップする!』
「何っ!」
『返り討ちよ!!いっけー、私のフィールうううう!うおー!気持ちーー!気持ちで勝負ーーー!』
「いや、ろじこ、フィールってそういうもんじゃ…」
『え!?違うの!?』





「ふん…見る価値も無かったな。」



私たちの知らないところでデュエルを見ていたジャックくんは、ふんと鼻を鳴らすとデュエル場を後にした。





『ま、負けた…』
「大丈夫か?」



京介はしりもちをついている私に手を差し伸べる。



『…だいじょーぶ。』
「はは、そう拗ねるなよ。お前なら練習すればすぐフィールを使えるさ。」
『ぐぬぬ…今に見てなさいよー、絶対にいつか京介を私のフィールでぶっ飛ばしてやるわ…!』
「はっ、できるものならな!」



ちくしょーー!



私は京介へのリベンジを誓った。





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