仮想立体触感研究所




仮想立体触感研究所、通称V・S・F・L ーー


ここでは、24時間監視体制の元、フィールの実験・研究がなされている。



この実験・研究が、将来のデュエルの発展、エンターテイメントに繋がると、私たちはそう聞かされていた。


朝起きて、デュエルをして、夜になると休む、その繰り返しの日々。

いかなるときも自分の行動は監視されている。



そんな閉ざされた世界で、私たちは出会った。













仮想立体触感研究所












「今日からここがろじこちゃんの新しいお家よ。」
『・・・』
「緊張してるのね、でも大丈夫。ここにはろじこちゃんと同じくらいのお友達がたくさんいるから。」





私は事故で両親を亡くした。
施設に預けられた私だったが、施設は同じような子供が多く、供給が需要に追いつかないような状態であった。
いつまでも施設では暮らせないーー

施設の人に紹介されたのが、ここ、仮想立体触感研究所である。



「と、いうことで…ろじこちゃん。私たちは、あなたがこの研究所で生活するのはどうかと考えてるの。」
『か、仮想立体触感研究所…』
「ええ。ろじこちゃん、昔からよくデュエル好きだったわよね。」
『う、うん…』
「…追い出したいわけじゃないの。でも、ここを必要としてる子供はたくさんいて…」
『分かってるよ。一人になってしまった子が、私よりも小さい子が、たくさんいるんだよね…』
「ろじこちゃん…」
『私、デュエル好きだし、大丈夫!ここに行ってみる…』



大きくてキレイな施設。

私は今日からここで暮らすんだ。
大好きだった施設のお母さん、友達、みんなと離れて…



『お母さん、今までありがとうございました。私、良い子にしてるから、安心してね。』
「ろじこちゃん…ううっ……」



涙を流す施設のお母さんと離れ、私は研究所に入った。





「君がろじこちゃんだね、待っていたよ。」
『・・・!』



施設に入ると、黒髪で前髪を伸ばした男性が柔らかな表情をして待っていた。



『あ…』
「はじめまして、ろじこちゃん。私は阿久津。この研究所の所長をしている。」
『あ、は、はじめまして…今日から、よろしくお願いします。』
「礼儀正しい子だね。こちらこそよろしく。さぁ、案内するよ。」
『はい…!』



阿久津所長に案内され、研究所を回る。


食堂、寝室、様々な部屋を回り、最後にデュエル場にやってきた。

自分と同じくらいの年齢の子供たちがデュエルをしている。



『わぁ…!モンスターが…!』
「ふふ、驚いたかい?」



私が施設で友達とデュエルしていた時は、カードを並べるだけであった。

しかし、ここではモンスターが具現化している。



「みんな、腕にデュエルディスクというものを付けてデュエルするんだ。そしてモンスターはあんな風に立体に見える。そして、ダメージは立体触感として、自分にも衝撃が与えられるんだ。」
『す、すごい…!よくわからないけど。』
「大丈夫、ろじこちゃんもデュエルをすればすぐわかるよ。さぁ、みんなに君を紹介しよう。」



阿久津所長に連れられ、デュエル場の中に入る。

デュエルをしていた子供たちが一斉にこちらを見る。

受け入れてもらえるだろうか?と、緊張する。



「今日から君たちと一緒にフィールの完成に協力してくれる、ろじこちゃんだ。みんな、仲良くしてあげてくれ。」
『あ…、ろじこです。よろしくお願いします。』



自分の名前を名乗る。
シーンとした空気が痛い。



「俺は鬼柳京介!よろしく。」



一番にこちらに向かってきてくれた、水色の髪をした少年が手を差し出す。



『あ、ありがとう!よろしく…!』



そうすると、次々と他の子たちが挨拶に来てくれる。


私は、この鬼柳京介という少年と、もう一人、金髪でちょっと愛想の悪いジャック・アトラスという少年が特に印象に残った。





研究所での生活が、始まった。





+Continue+





[ 1/4 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -