コオロギ☆パニック
こんなラブホテル、初めてだった。
「な、なにこれ……!」
「はっ…っ!?」
値段もそこそこのホテル。一見どこにでもありそうなホテルだ。
アメニティも充実していなければ、キレイなベッドやお風呂があるわけでもない。壁にヒビが入ってるだけならまだしも、とても汚ならしい。
おまけにゴミ箱の中は、ゴミだらけ。ティッシュペーパーに雑にくるまったゴムも見える。
「……これ、前のカップル使ったまんまじゃないの?」
「みたいだな。布団に変な染みあるし……。」
私と京介はお互い顔を見合わせた。
久しぶりのデートだったのに。 こんなホテルに入ってしまうなんてついてない。
ちゃんとネットとかで調べてから来るべきだった。最悪。
「どうする?」
「どうするって、金も払っちまったしなぁ。」
「文句言って部屋変えてもらったほうがいいじゃない?」
「馬鹿。どうせどこの部屋も同じようなもんだろ。でも流石に泊まる気にはならねーな。」
一泊する予定だった。でも、こんな誰が使った後かも分からないベッドで、京介と朝を迎えるなんてまっぴらごめんだ。
しかし、お金を払ってすぐ部屋を出るのは、さすがにもったいない。それに、二人っきりになれる場所はここだけだ。
京介はあまり気乗りしなさそうにベッドに腰かけて、私に手招きした。
「京介…」
「仕方ねーよ、名残惜しいが、今夜は早めに切り上げよう。」
私は、はぁー、とため息をついて京介の腕の中に収まった。
「ふぅ……んぅ…」
「……ばるこ、好きだぜ?」
唾液を口の中に流し込まれて、性欲が高まる。
知ってる?キスの役割。
男の唾液には、テストステロン、女の唾液にはエストロゲンというホルモンが含まれていて、男女はお互いの生殖能力を感じ取るんだって。
人間の身体って、本当に良くできてると思わない?
こんなロマンチックとは程遠い場所でも、しっかりと京介を感じることができる。
京介の片手が、服の中に侵入してくる。胸をやんわり揉まれて、さらに期待してしまう。
「脱げよ……?」
「うん……。」
私たちはササッと服を取り払った。
京介の身体は細身で色白だが、ガッチリとしていて、トキメキ要素が満載だ。ペロペロしていいかな?
それに比べて、私は貧乳でごめん。
京介のチ○コは、既にそそり立っていて、我慢汁が滲み出ていた。
ポトリ。
それは我慢汁がベッドの上に落ちる音では無かった。
「ん?」
ベッドの上に何か茶色っぽいものが落ちてきた。一瞬何かわからなかった。
でも、それが、いや、そいつがカサカサと動き出した瞬間、私はそれが虫だと確信した。
「ゴ、ゴキ…ゴキブリーーーー!!!!!????」
「ゑ?」
そいつは私たちの視線に気づくと、ササッと床の上に滑り降りた。
「ギャアアアア!!!!虫!虫、虫!なんかカサカサしてる!京介エエエエ!!!!」
私は全裸のまま、ピョンピョンとベッドの上で跳び跳ねた。幸い、貧乳なので揺れるものもない。
「ばるこ、落ち着け!コオロギだよ!」
「へ?コオロギ?コオロギって、鳴くやつ?」
よく見ると、そいつはゴキブリよりも小さくて、薄い羽がついている。幸い黒光りはしていない。
だが、虫嫌いな私にとって、ゴキブリもコオロギも関係ない。頭文字のコに濁点がつくかつかないかの違いだ。
「ばるこ、とりあえず座れ!貧相な身体が際立つぞ!」
「バカ!バカ京介!うわぁあぁあ!!!!AIBOーーーーー!!!!」
「あーあー!悪かったよ、お前は魅惑の曲線美の持ち主だ!だから泣くな!」
「意味☆不明なホテルDA!もう来ないー!絶対来るかー!」
「はいはい。今度は都会のホテルに泊まろうな?」
私は京介になだめられて、落ち着きを取り戻した。
そして、私の身体はゆっくりと倒され、脚を開かさられる。切り替え早いでしょ?
くちゅり。
京介の指が、優しく侵入して、慣れさせる。いつもやってくれることだけど、飽きない。とっても気持ちのいい感覚。
指を二本に増やされて、さらにたくさんの愛液が溢れ出したのがわかる。
そっとキスを落とされると、心も身体も、彼で満たされるんだ。いつも思うんだけど、貧乳でマジごめん。
京介がゴムを取り出したその時だった。
リーンリーンリーン、ヒロロロロ〜♪
「「は?」」
コオロギが鳴き始めたのだ。それはロマンチックというよりは、何かの茶番のようであった。
「……………。」
なんていうか、かなり……
ヒロロロロ〜♪
場違い。
「……京介?」
いつまでも挿入してこない京介を、私は物欲しそうに見上げた。
「わりぃ。」
「へ?」
「萎えた。」
「へぇええぇぇ!?」
いつもは途中で萎えたことなんてなかったのに!
確かめるべく、急いで京介の股間を握ったら、確かに萎んでいた。
粗チンである。
「そ、そんなぁ〜〜!」
「だってよ、コオロギがムードぶち壊したせいだって!むしろ興奮するってか、ギャグセン高すぎてヤバイっていうかさ!な!?」
「うー…」
諦めきれなくて、その萎んだモノをシコッてみたが、再び立ち上がることはなかった。
相変わらず、例のコオロギはひょうきんに鳴いていた。コオロギの数は次第に増えて、部屋は大合唱だった。
私たちはコオロギの鳴き声を聞きながら服を着た。
京介は笑いたそうだったが、私の心境を察してか、必死で笑いをこらえていた。
もうたくさんだ。こんなホテル。コオロギプレイなんて誰得だよ。
そりゃあ、CD音源でスズムシとかの声が流れてくるんならロマンチックだと思うよ?
なんで部屋に本物のコオロギがいるの!ホテル従業員の陰謀なの!?
「京介、私の色気はコオロギの鳴き声に掻き消されてしまったの?それとも、京介のチ○コは勃起不全になったの?」
「ちょ、おま!今何て言った!?」
「この粗チン!いんぽ!ヤリチン!」
「ばるこ、言葉に気を付けろよ!?」
この溢れる性欲に寸止めをくらった私の心の叫びは、京介のぺ○スを侮辱することによって発散された。
初めてのコオロギプレイ。
それは、煩くて賑やかな、ほろ苦い恋だった。
お☆わ☆り
MBAという名の蟹ラッテ
万弥さまから頂きました*°
コオロギプレイネタ、かなりの無茶ぶりでしたが、音速で書いて頂きました!仕事早ぇぇぇ!
ありがとうございました!(*´ω`*)
しかもきりゅー夢だー!わーい!
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[mokuji]
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